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【2019年4月1日施行が迫る!!】働き方改革関連法案で残業時間はどう変わるの?わかりやすく解説!

働き方改革
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編集長より子
編集長より子
『お金節約.com』編集長「より子」です。

お正月に、家族とか友だちで集まったとき、

「ウチの職場も働き方改革で残業時間が減っちゃって…」

みたいなお話を聞いた人も多いのではないでしょうか?

『働き方改革』は、日本政府が推進してきた〇〇改革シリーズのなかでも、いちばん定着してきてる感じがありますよね。

じつは、働き方改革関連法案の施行は4月1日、けっこう迫ってきているんです。

働く側にとって一番影響があるのは、残業時間についての規制が強化されること!

働き方改革関連法案の施行で、残業時間はどう変わるのか?わかりやすく解説します!

『働き方改革関連法案』は8つの改正法案の総称

まずは『働き方改革関連法案』について、ざっくり全体を説明しますね。

『働き方改革関連法案』は、正式名称「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」、2018年6月29日、参院本議会で可決・成立しました。

『働き方改革関連法案』は、合計8つの労働関係の改正法案の総称なんです。

『働き方改革関連法案』を構成する8つの改正法案

  1. 労働基準法
  2. 労働安全衛生法
  3. 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
  4. じん肺法
  5. 雇用対策法
  6. 労働契約法
  7. 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
  8. 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

『働き方改革関連法案』は、この8つの改正法案で構成されているのですが…。

この8つの改正法案が関係して、3つの柱(目的)を達成するとしているんですね。

『働き方改革関連法案』の3つの柱

  1. 第一の柱:働き方改革の総合的かつ継続的な推進
  2. 第二の柱:長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等
  3. 第三の柱:雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

この3つの柱は、それぞれカバーする領域・目的が分かれています。

【雇用確保】第一の柱:働き方改革の総合的かつ継続的な推進

第一の柱は、労働力不足への対策です。

少子高齢化の影響もあり、働く人を増やさないと労働力不足になる!という危機感があるわけですが、ココの解決を目指したものです。

外国人材の確保も含めて、議論が行われている部分です。

【残業抑制】第二の柱:長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等

第二の柱は、残業時間を減らすことです。

日本の職場環境は労働時間が長いことが特徴で、生産性も低いと指摘されてきました。

いま『働き方改革』という言い方がされるとき、多くの場合はこの部分を指していると思います。

【格差是正】第三の柱:雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

第三の柱は、雇用形態による格差の是正です。

正社員と非正規社員の格差が、近年おおきな社会問題となっていますよね。

基本的に、差別されている側の非正規社員の待遇を引き上げることで、格差の縮小を目指しているものです。

『働き方改革関連法案』には、雇用促進、残業抑制、格差是正の3つの柱があるのですが、今回は「残業の抑制」に絞って解説しますね!

『働き方改革関連法案』で36協定が改正

『働き方改革関連法案』の8つの法改正の中でも、労働基準法の改正は、私たち労働者にもっとも影響が大きいものの一つです。

残業時間については、労働基準法の第36条が大きく影響を与えていました。

労働基準法の第36条にもとづく労使の協定、いわゆる36協定(さぶろくきょうてい)が変わるのです。

36協定(さぶろくきょうてい)とはどういうもの?

労働基準法第32条(労働時間)

  1. 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
  2. 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

労働時間は、このように労働基準法の第32条で定められています。

残業とは、この法定労働時間を超える部分で、法律的には「時間外労働」と呼びます。

時間外労働が違法行為にならないためには、それを定めた根拠法(ルール)が必要になってくるのですが…。

現在の労働基準法では、次の3つのケースで時間外労働のルールを定めています。

  1. 労働基準法第33条1項【災害その他避けることができない事由が生じた場合】
  2. 労働基準法第33条3項【公務員が公務のため臨時に必要がある場合】
  3. 労働基準法第36条【労使協定を書面で締結し、所轄労働基準監督署長に届け出た場合】

民間企業で働く人が時間外労働できるのは、3番目の労働基準法第36条に基づく労使協定を書面で締結しているときのみです。

労働基準法第36条に基づく労使協定を略して、36協定(さぶろくきょうてい)と呼んでいるんですね。

36協定(さぶろくきょうてい)で定められた限度時間

1日について 一部の業務を除いて制限なし
1日超3ヶ月以内の期間について 設定する期間によって異なる(1か月なら45時間まで)
1年について 360時間まで

これが基本の枠組みで、この部分は4月1日以降も変わりません。

これって本当~?自分は月に45時間以上、残業してるけど…。

そう思った人も多いはず。

じつは、さらに「特別条項」が設定できるんです。

限度時間を超えられるのは1年につき6回までと定められているので、特別条項は、1年のうち6か月間にだけ適用される特別な条件と考えて良いです。

特別条項を付けた36協定を「特別条項付き36協定」と呼びますが、何らかの形で特別条項を付けている企業は多く、これが長時間労働を許す原因となってしまっています。

1年のうち6カ月は月45時間の残業制限が入る、ここは現在も4月1日以降も変わりません。問題は残りの6か月、特別状況が適用される部分です。

「特別条項」(2019年3月31日まで)

1日超3ヶ月以内の期間について 制限なし(ただし「限度時間」を超えられるのは1年につき6回まで)
1年について 制限なし

制限無し…。

はうあ!

という漫☆画太郎先生のキメ台詞が聞こえてきそうな脱力感ですよね…。

例えば、労使協定で「繁忙期には月200時間まで労働させることができる」などと記載しておけば、

  1. 1年のうち6カ月は制限かかかり、45時間x6=270時間
  2. 残りの6カ月は労使協定のまま、200時間x6=1200時間
  3. 年間の残業時間は1470時間に!

などという設定も可能になります。

もちろん労使協定ですから、雇われる側の合意が無ければ成立しないのですが、一般的には雇う側の立場の方がはるかに強いですよね。

法的な上限規制が「事実上」無いという状態なら、どうしても長時間労働が常態化してしまいます。

「特別条項」(2019年4月1日から)

1か月について 100時間未満
かつ複数月の平均80時間まで
(いずれも休日労働を含む)
1年について 720時間まで

基本となる月45時間の残業制限を外れる、「特別条項」が適用される6か月間についても、上限時間が設定されました。

さらに、「休日労働を含む」こと、「複数月の平均80時間まで」というのも重要な改正です。

休日労働を含むことで時間外労働の正しいカウントが可能に

改正前、2019年3月31日までは、休日労働は時間外労働のカウント対象外です。

例えば、日曜日を法定休日に定めている会社は、日曜日の労働時間は、時間外労働にカウントされません。

もし月曜日から土曜日の時間外労働の合計が45時間で、そこに加えて、毎週日曜日に12時間労働(4週間で48時間)させていた場合、月間の時間外労働は103時間になるはずです。

  • でも、改正前の現状では、36協定上の時間外労働は「45時間」とカウントされてしまいます。
  • 2019年4月1日以降は、休日労働もカウントされるため、上記の例の場合でいうと、正しく「103時間」とカウントされます。

特別条項の「1ヶ月100時間未満」を超過するため、これは違法行為という判断になるわけです。

これは非常に大きな改善ポイントだと思います!

複数月の平均80時間まで

2019年3月31日までは、複数月の平均は管理対象外です。

例えば、時間外労働を90時間した月が6カ月連続した場合のケースで考えてみましょう。この場合、ほかの半年に時間外労働が発生無ければ、次のようになります。

  1. 1か月の制限は、100時間以内なのでクリア
  2. 年間の制限は、90x6=540時間でクリア
  3. しかし、特別条項に該当する複数月の平均が80時間以上でNG

複数月の平均を管理対象とすることで、特定期間に残業が集中することを回避することができるのです。

36協定の特別条項改正

 働き方改革関連法案で残業時間はどう変わるの?まとめ

働き方改革関連法案で、残業時間はどう変わるのか解説してきましたが、いかがでしたか?

今回紹介したこと
  • 働き方改革関連法案の施行は4月1日と近づいてきています。
  • 普通に会社勤めしている人にとって、最も影響があるのは残業時間の制限が強化されることです。
  • 現状でも36協定という労使協定が結ばれているのですが、特別条項が「制限無し」であることで、事実上、残業時間は青天井となってしまっています。
  • 4月1日の改正で、特別条項にも制限時間が設定されます。
  • 4月1日の改正では、休日労働もカウントされ、複数月の平均も管理対象となることも重要な改正項目です。

客観的に考えて、残業時間については、かなり改善されることが期待できると思います。

おそらく皆さんのお勤め先でも、4月1日の働き方改革関連法案の施行に向けて、制度変更があり、社内での説明会などが開催されていると思います。

今回の説明が、働き方改革関連法案の理解を進めるうえでお役に立てたら嬉しいです♪

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