7月14日から、家賃支援給付金の申請受付が開始となります。
家賃支援給付金は基本的に事業者向けの給付金で、持続化給付金の家賃支援版とでも言うべきものです。
新型コロナウイルス感染症の影響拡大による経済対策として、事業者の家賃補助に対象を絞って実施されます。
家賃支援給付金を個人事業主が申請する場合の注意点について解説します!
『家賃支援給付金』は持続化給付金の家賃支援版
家賃支援給付金は、持続化給付金の家賃支援版とでもいうべき性格の給付金です。
持続化給付金では売上(事業収入)を補助することが目的でしたが、家賃支援給付金は経費としての家賃を補助することが目的となっています。
資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主のなかで支給要件を満たす事業者が対象となります。
法人については基本的に顧問税理士と相談のうえ申請対応を進めるでしょうし、助言も得られるものと思います。
そのため、当記事では個人事業主に絞って、注意点等を解説することにしますね。
家賃支援給付金の給付対象資格
家賃支援給付金の給付条件は、持続化給付金の初期条件と非常に良く似ています。
- 2019年12月31日以前から「事業収入」があること
- 2019年12月31日以前に開業届を提出していていること
- 2019年の確定申告を終えていること
- 事業のための賃料の支払いが発生していること
これらが必須条件となります。
個人事業主の場合、著述業など頭脳労働が主体で賃料支払いを費用計上していないケースもあるかと思いますが、そういう場合は給付の対象にはならないということですね。
家賃支援給付金の売り上げ減少要件
こうした条件を満たしつつ、その上で売上減少要件をクリアしている場合に給付対象となるわけですが、売上減少要件については持続化給付金よりも若干緩和されています。
家賃支援給付金の売り上げ減少要件は、2019年5月から12月までの事業収入と比較して
- いずれか1か月分の売上が前年同月比で50%減
- 連続する3か月分の売上合計が前年同期比で30%減
このどちらかを満たしていることが必要となります。
家賃支援給付金の対象とならない職業が設定されている
持続化給付金と同様に、風俗営業等により規定される一部の職業については家賃支援給付金の給付対象外となります。
この辺りの除外条件も含めて、事実上、持続化給付金のプラスアルファ施策となっていることが分かりますね…。
将来的に家賃支援給付金の給付対象となる可能性がある人
2020年以降に起業した人、雑所得や給与所得で事業収入を確定申告している人については、7月14日の申請開始時点では対象外となっています。
ただし、将来的に給付対象に含める可能性があることが公表されています。
拡大要件に該当する可能性がある人は、給付対象が拡大されるのを待つことになります。
『家賃支援給付金』の申請をする際の注意点
家賃支援給付金は、その名の通り家賃支払いを支援するものですから、そもそも家賃を費用計上していない場合は給付対象となることはあり得ません…。
逆に言うと、家賃を費用計上している場合は、持続化給付金の給付対象となっている人であれば給付対象となる可能性が高いと言えます。
ただし、家賃支援給付金ならではの注意点もあります。
【注意点①】住居兼事務所のケースは事業用の地代・家賃として税務申告している部分のみが給付の対象
個人事業主の場合、住宅兼事務所となっているケースも多いのではないかと思います。
その場合、これは大前提部分に属することですけれども、事業用に用いる面積を案分した上で地代・家賃として費用計上し、確定申告を行っている必要があります。
【注意点②】管理会社・大家さんにも給付通知が郵送される
家賃支援給付金の給付を受けた場合、給付金は直接自分の口座に払い込まれます。
自分に対してその給付通知が来るのは当然ですが、物件の管理会社・大家さんにも給付通知が郵送されることになります。
賃貸契約上「居住用に限る」などと明記されている物件については、管理会社や大家さんに事前に承諾を得ておいた方が無難となるかも知れません。
【注意点③】賃貸借契約が親族取引でないこと
賃貸借契約が転貸・自己取引や親族取引である場合には、家賃支援給付金の給付を受けることができません。
個人事業主について言うと、転貸・自己取引は少ないと思いますが、親族取引となっているケースはあり得るかと思いますので、注意しておいた方が良いでしょう。
【注意点④】地方自治体から家賃支援を既に受けている場合
地方自治体から既に何らかのかたちで家賃支援を受けている場合、家賃支援給付金の給付額が減額される可能性があります。
都道府県や市町村レベルから、新型コロナウイルス感染症対策として家賃支援を受けている場合については、十分留意しておいた方が良いでしょう。
『家賃支援給付金』の給付金額
家賃支援給付金の給付金額については、資料を参考に、自分ケースでどのぐらいになるのか試算して見ることをおすすめします。
持続化給付金以上に、法人と個人事業主では給付額に開きが出てくるように思います。
住居兼事務所ケースの試算例
- 家賃総額:10万円
- 事務所部分:3万円(30%を費用計上している場合)
- 家賃支援給付金:12万円(3x2/3x6)
個人事業主の場合、とくに住居兼事務所のケースなどでは、上記のように家賃支援給付金の金額規模はかなり限定的になる場合も多くなるのではないでしょうか。
書類等を準備する手間もかかりますので、それに要する時間とリターンを比較検討することも必要になってくるかと思います。
家賃支援給付金については、経済産業省の特設サイトに詳しい内容がまとまっていますので、必ず内容を確認してから申請するようにしましょう。
【参考資料】参考になるYoutube動画の紹介
最後に、家賃支援給付金についてYoutube上で参考になる動画をご紹介しておきますね。
【7月14日受付開始】家賃支援給付金を個人事業主が申請する場合の注意点【まとめ】
家賃支援給付金が7月14日から受付開始となること、個人事業主が申請する場合の注意点について解説しました。
- 7月14日から、家賃支援給付金の申請受付が開始となります。
- 家賃支援給付金は持続化給付金の家賃支援版とでも言うべき性格のものです。
- 新型コロナウイルス感染症の影響拡大による経済対策として、事業者の家賃補助に対象を絞って実施されます。
- 個人事業主が住居兼事務所としているケースでは、事業用の地代・家賃として税務申告している部分のみが給付の対象となります。
- 本人だけでなく、賃貸物件の管理会社・大家さんにも給付通知が郵送されることになります。
新型コロナウイルス感染症の影響が長引くなかで、家賃支援給付金の給付が始まることは、非常にありがたいことかと思います。
既に持続化給付金を申請して給付を受けている人にとっては、かなり似たような申請の流れとなりますが、いくつか押さえておくべきポイントもあります。
まずは経済産業省の『家賃支援給付金』特設サイトにて大きな流れをつかみましょう!