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家計調査報告2018年(平成30年)8月分が公開!【今年の夏の消費状況は?】

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編集長より子
編集長より子
『お金節約.com』編集長「より子」です。

10月5日、家計調査報告2018年(平成30年)8月分が公開されました。

二人以上世帯の消費は前月比で2.8%増、今年の集計では、最も高い伸び幅を見せています。

何の消費が伸びているのか?また、逆に出費が控えられているものは何なのか?

一通り見てみましょう!

家計調査報告は総務省統計局が実施する統計調査

家計調査報告は、総務省統計局が実施する統計調査です。

総務省統計局が選定した世帯に協力してもらい、毎日の家計の収入や支出を記録。その結果を取りまとめて、国民生活の実態を家計の面から明らかにしようとする調査です。

家計調査報告は、国の最も基本的で、重要な統計調査の一つです!

家計調査の結果は、景気動向の判断指標として不可欠なものですし、国や地方自治体の政策立案や、大学・民間団体での分析などにも幅広く利用されているんです。

家計調査報告のメリット

家計調査報告のメリットは、まず何よりも信頼性が高いことです。

家計調査報告は、指定統計として認可されている基礎資料です。国の景気動向の把握、消費者物価指数の品目選定のための基礎資料として利用されています。

個人消費を、消費者側から品目別に調査集計したデータは家計調査報告のみです。

ここはすごく重要なポイントで、政策立案とか、学術研究の分析、民間企業の戦略立案に至るまで、多くの人々が一次情報として家計調査報告を参照しています。

国や地方自治体、民間企業まで、家計調査報告を参考にして次の行動を起こしているということなんです!

「指定統計」とは、政策の運営等の基礎情報として特に重要なものとして、総務大臣が「指定統計」に指定した統計のことを指します。

家計調査報告のデメリット

家計調査報告のデメリットは、調査対象の世帯数が限られるということです。

細かなデータを正確に申告してもらう必要があり、調査対象とできる世帯の数は限られます。調査対象の世帯数は約9,000世帯となっています。

確かに、毎日超厳密に家計簿をつけ続けなくてはならないとしたら…。

それができて、かつ調査にも協力してくれる世帯となると、非常に数は限られるということは想像が付きますね。

調査世帯数が限られることから、特に高額商品(自動車や大型家電)の動向にはブレ幅も大きいという指摘があります。

国もデメリットは理解していて、5年に一度調査世帯数を60,000世帯程度まで大幅に増やした全国消費実態調査が実施されています。

調査世帯数が少ないというデメリットは、自動車や高額家電品には現れ易いということは、あらかじめ理解しておくと良いです!

家計調査報告の公開予定日

平成30年(2018年)8月分 平成30年10月5日
平成30年(2018年)9月分 平成30年11月6日 ※同日7~9月期の集計、総世帯・単身世帯についても公表
平成30年(2018年)10月分 平成30年12月7日
平成30年(2018年)11月分 平成31年1月11日
平成30年(2018年)12月分 平成31年2月8日 ※同日10~12月期の集計、平成30年平均の集計、総世帯、単身世帯についても公表
平成31年(2019年)1月分 平成30年3月8日
平成31年(2019年)2月分 平成30年4月5日

赤字以外の日程は、全て「二人以上の世帯」の調査結果公表日です)

家計調査報告は年間の公表予定があらかじめ決められています。

民間企業のエコノミストとかは、皆さんこの日は一大イベントになるわけですね…。

公表予定に従って、本日10月5日、家計調査報告2018年(平成30年)8月分が公開されました。

家計調査(二人以上の世帯)2018年(平成30年)8月分の概要

消費支出(1世帯当たり  292,481円)

前年同月比 実質2.8%増加 名目4.3%増加
前年同月比(変動調整値) 実質2.8%増加 名目4.3%増加

実収入(1世帯当たり  510,437円)

前年同月比 実質3.6%増加 名目5.2%増加
前年同月比(変動調整値) 実質0.6%減少 名目0.9%増加

 用語解説

実質値 物価水準の変動の影響を除去した増減率のこと
名目値 支出金額を前年の同じ時期と比較した増減率のこと
変動調整値 調査方法の変更の影響による変動を調整した推計値

全体を要約すると、実収入は実質的に微減または横這いですが、消費支出は明らかに増加したという状況です。

過去3年間の消費支出実質増減率(前年同月比)の推移

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2017年 -1.2% -3.8% -1.3% -1.4% -0.1% 2.3% -0.2% 0.6% -0.3% 0% 1.7% -0.1%
2016年 -3% 1.3% -5.3% -0.4% -1.1% -2.3% -0.5% -4.6% -2.1% -0.4% -1.5% -0.3%
2015年 -5.1% -2.9% -10.6% -1.3% 4.8% -2% -0.2% 2.9% -0.4% -2.4% -2.9% -4.4%

(総務省統計局『家計調査(家計収支編)時系列データ(二人以上の世帯)』より作成)

こうして見ると、規則的な動きは少ないですが、強いていうと夏・冬のボーナス支給時期には若干消費が上向く動きが感じられるか…。というぐらいかと思います。

それにしても、明らかに前年前月比が下落している赤字部分が多いわけで、少子化に伴って国内経済は縮小傾向であることが良く分かりますね…。汗

2018年(平成30年)8月、消費支出増に最も影響したのは『交通・通信費』

項目 実数 実質増減率 寄与度
交通・通信 46,687 15.1% 2.14%
(1)交通 6,418 0.6% 0.01%
➀自動車等関係費 27,202 28.7% 2.08%
②自動車等購入 9,000 94.1% 1.55%
③自転車購入 343 -17.9% -0.03%
④自動車等維持 17,859 11.0% 0.60%
(2)通信 13,067 1.3% 0.06%

(総務省統計局公開資料より作成、寄与度は構成比から見た指標)

交通・通信費が寄与度2.14%と最も大きく、そのなかでも自動車等関係費が寄与度2.08%、自動車等購入費が1.55%となっています。

簡単にいうと、車を購入した人が増えたということですね!

2018年(平成30年)8月、消費支出減に最も影響したのは『交際費』

項目 実数 実質増減率 寄与度
交際費 11,088 -10.6% -0.46%
贈与金 7,889 -20.5% -0.71%
他の交際費 3,198 28.6% 0.25

(総務省統計局公開資料より作成、寄与度は構成比から見た指標)

交際費が寄与度-0.46%と最も大きく、そのなかでも贈与金が寄与度-0.71%となっています。

贈与金は、『一般社会の慣行による自発的現金支出。持参金など世帯への譲渡金も含む。ただし,仕送り金,慰謝料は除く。』と規定されています。

具体的には、「せん・香典・見舞金・謝礼金・祝儀・持参金・結納金・財産分与金・遺産分与金」などがあげられます。

リクルートブライダル総研「結婚トレンド調査」(出典「ゼクシィ 結婚トレンド調査2017調べ」)

リクルートのブライダル総研「結婚トレンド調査(首都圏版)」よりデータを引用しましたが、8月は結婚式が少ないことが影響しているものと思われます。

ご祝儀をお渡しする回数が(前年より)減ったということではないでしょうか。

さらに少子化が進みそうで何とも…ですね。汗

リクルートブライダル総研『結婚トレンド調査

家計調査報告2018年(平成30年)8月分が公開!【今年の夏の消費状況は?】まとめ

今回紹介したこと
  • 家計調査報告は、総務省統計局が実施する統計調査です。
  • 家計調査報告には、信頼性が高く、直接消費者側から品目別に集計した唯一のデータというメリットがあります。
  • 家計調査には、調査対象の世帯数が少なく、高額商品の動向にはブレ幅も大きいというデメリットがあります。
  • 家計調査報告2018年(平成30年)8月分の結果は、前年同月比で実質2.8%増加。
  • 内容を見ると、自動車を購入した人が増えた一方、贈与金支出が減ったことがわかります。
  • 贈与金支出の減少は、結婚式のご祝儀を渡す回数が減っていることの影響と思わます。

集計データを見ると、あらためて日本社会の状況が、数字にも反映されていることを感じます。

特に少子化の影響は相当大きいんですね…。

『お金節約.com』編集部でも、家計調査報告の数値はさらに追いかけて行きます!

今回はあくまでも概要紹介ということで、分析が進み次第、内容を追記して行きますね!