何かと話題の年金問題ですが…。
2019年4月から、「妊娠したら国民年金保険料が免除」される制度がスタートしているのをご存知でしたか?
国民年金保険料が、最大で9万8,460円も免除される制度です!
ただし…。超注意!!申請しないと全く適用されることが無いんです。
「妊娠したら国民年金保険料が免除」される制度について解説します!
「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」の概要
「妊娠したら国民年金保険料が免除」される制度、こちらの国民年金機構が用いている正式名称は『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』となります。
該当する人は単純に国民年金保険料の支払いが免除となり、支払わなかったことのマイナスも一切ない(支払ったこととしてカウントされる)という、とても有難い制度です!
できるだけ簡単に制度を解説してみますね!
誰が対象となるの?
- 国民年金の第1号被保険者
- 出産日が2019年(平成31年)2月1日以降の女性
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』は、この2つの条件さえ満たしていれば、誰でも申請・利用が可能です。
出産日が2019年(平成31年)2月1日以降であること、これは自分ごとですから、誰でも分からないはずはないですよね。
第1号被保険者という条件は良く分からないかも知れませんが…。国民年金制度の区分は、次の表のようになっています。
国民年金加入者の区分は必ず把握しておきましょう!
区分 | 保険料 | 対象者 |
第1号被保険者 | 月額16,410円 (令和元年度) |
20歳以上60歳未満の、自営業者、農業者、無業者等 |
第2号被保険者 | 報酬比例で労使折半 | 民間サラリーマン、公務員 |
第3号被保険者 | 本人負担は無し | 民間サラリーマン、公務員に扶養されている配偶者 |
(厚生労働省『平成29年版厚生労働白書』より『お金節約.com』編集部作成)
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』は、第1号被保険者が対象です。
ごく簡単にいうと、自分自身が働いていて国民年金を払っている場合と考えれば良いです。
自営業やフリーランスで働いている場合が多くなると思いますが、企業で働いているけれど厚生年金の対象にならず国民年金を払っている場合などもあります。
自分が第何号の被保険者なのかについては、役所や年金事務所、ねんきんネットからのはがきなどで必ず把握するようにしましょう!
出産する子どもが1人の場合は4か月分(6万5,640円)免除
免除額は、出産する子どもの人数によって分かれています。
出産する子どもが1人の場合は、出産日または出産予定日の前月から翌々月までの4か月間が免除期間です。
例えば、6月19日が出産日だったとすると、5月~8月の4か月間については、国民年金保険料を支払わなくてもOKとなります。
令和元年度の国民年金保険料は、月額16,410円ですから、6万5,640円の納付が免除されます!
出産する子どもが2人以上の場合は6か月分(9万8,460円)免除
出産する子どもが2人以上の多胎妊娠の場合は、出産日または出産予定日の月の3か月前から翌々月までの6か月間が免除期間です。
例えば、同じように6月19日が出産日だったとすると、3月~8月の6か月間については、国民年金保険料を支払わなくてもOKとなります。
年金月額から、9万8,460円の納付が免除される計算となります!
納付免除となっても将来給付される年金は一切減額しません
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』を利用することで、利用者が何らかのデメリットを被る可能性は一切ありません。
国民年金機構も、産前産後期間として認められた期間は保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されることを明言しています。
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』のQ&A解説
国民年金機構では、『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』についての良くある質問としてQ&Aをいくつか示しているのですが、念のため解説しておきますね。
①年金納付の免除は制度の施行日が基準
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』は、2019年(平成31年)4月からの施行となるので、施行月前後に出産した人にとっては、全期間適用とはならないケースがあるということです。
- 出産日を基準として納付免除の期間を計算したうえで
- 2019年(平成31年)3月以前の国民年金については納付義務あり
- 2019年(平成31年)4月以降の国民年金については免除対象
このように考えていくと、免除額が分かると思います。
②免除期間は国民年金を納付したものとして計算される
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』を利用して、国民年金が納付免除となっても将来給付される年金は一切減額されません。
制度の原資としては、国民年金保険を支払うすべての人が、月におよそ100円を負担することになっています。妊娠した人を社会全体で支える仕組みということですね!
③付加保険料は納付できるので安心
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』を利用しても、付加保険料は納付できる、つまり付加保険料制度を利用し続けることができるので安心です。
国民年金の付加保険料制度については、次の記事を参考にしてください。
④出産後の届出でも大丈夫
出産後に申請した場合も、同じ期間の免除が受けられるということです。
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』を知らずに、すでに保険料を納付してしまった場合は還付されます。
⑤前納した保険料は還付されます
国民年金保険料を前納している場合にも、『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』の申請によって還付されます。
国民年金を前納していても、損をすることは一切無いということです。
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』の申請方法
申請期間 | 出産予定日の6か月前から書類提出可能 |
---|---|
届出窓口 | 住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口 |
添付書類 | 1)出産前に申請する場合: →母子健康手帳など 2)出産後に申請する場合: →市区町村で出産日等が確認できる場合には特に書類は不要(ただし、被保険者と子が別世帯の場合は出生証明書など出産日及び親子関係を明らかにする書類が必要) |
記入書類 | 年金事務所または市(区)役所・町村役場の国民年金窓口に備え付け |
記入書類(ダウンロードも可) | 国民年金機構『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』 |
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』の申請方法はとても簡単です!
ただし!自動的に制度が適用されることは無く、必ず自分自身で申請が必要となります!
ここが最重要ポイントです。
出産の前後で申請時の添付書類が変わりますが極端には気にしないで大丈夫
出産の前後で、申請時の添付書類が変わってきます。基本的には、母子健康手帳を持参していれば大丈夫です。
妊娠中に離婚したなどで、被保険者(妊娠した人)と生まれた子どもが別世帯となる場合については、出生証明書などが必要になってきます。
記入書類は、国民年金機構のホームページからダウンロードもできますが、市(区)役所・町村役場の国民年金窓口にも用紙は置いてありますので、不明な点がある場合は、窓口にて確認しながら記入を進めると良いでしょう。
とにかく「申請する」ことが最重要!
じつは、第2号被保険者(企業や団体に勤めている人)については、平成26年4月から同様の免除制度がスタートしていました。
※第2号被保険者の場合は、手続きは全て会社が行ってくれて給与明細から引かれる額が自動的に減っているということになるので、気がつかない人も多いかも知れません…。
今回、第1号被保険者を対象とする『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』が整ったことで、より幅広い人が制度の恩恵を受けることになりました。
ただし、第1号被保険者の場合は必ず自分自身で申請が必要となります!
繰り返しますが、ココが最重要ポイントです。
『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』の2つの要件:
- 国民年金の第1号被保険者
- 出産日が2019年(平成31年)2月1日以降の女性
こちらを満たしているなら、母子健康手帳を持参して、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口に行って申請を済ませてしまいましょう!
「妊娠したら国民年金保険料が免除」される制度が始まっています!まとめ
妊娠したら国民年金保険料が免除される『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』について解説しましたが、いかがでしたか?
- 2019年4月から、妊娠したら国民年金保険料が免除される『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』がスタート!
- 国民年金の第1号被保険者で、出産日が2019年(平成31年)2月1日以降の女性が対象です。
- 出産する子どもが1人の場合は国民年金の納付が4か月免除、6万5,640円お得に!
- 出産する子どもが2人以上の場合は国民年金の納付が6か月免除、9万8,460円お得に!
- 『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』を利用することで被るデメリットは一切ないので、対象になっている人は必ず申請しておきましょう!
今回、第1号被保険者を対象とする『国民年金保険料の産前産後期間の免除制度』が整ったことで、より幅広い人が制度の恩恵を受けることになりました。
ただし、会社が全ての処理を行ってくれる第2号被保険者(企業や団体に勤めている人)とは違って、第1号被保険者の場合は必ず自分自身で申請が必要となります!
この点だけは忘れないでくださいね♪