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レジ袋有料化の背景にあるプラスチックごみの削減問題を解説!

レジ袋の有料化
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編集長より子
編集長より子
『お金節約.com』編集長「より子」です。

2019年6月3日、原田義昭環境相が「レジ袋有料化の早期法整備」を表明。

具体的には、小売店でプラスチック製のレジ袋を無料配布することを禁止する法案を成立させようというものです。

無料配布禁止すなわち、レジ袋が有料化されるということですが、背景には世界的なプラスチックごみ削減の流れがあります。

日本は環境問題では先進国と考えてしまいがちですが、じつはプラスチックごみの問題では世界の流れから遅れている現状があるんです。

レジ袋有料化の背景にもある、世界的なプラスチックごみ削減問題について解説します!

そもそもプラスチックごみの何が問題なの?

スーパーなどの小売店で、レジ袋を有料化する動きが拡大しているのは、プラスチックごみの削減が世界的な問題になっているからです。

日本はプラスチックごみの削減対策では世界の流れから若干遅れているのですけれど、日本もいずれ対応せざるを得ない状況にあるのは間違いありません。

まずはプラスチックごみ削減をめぐる、世界と日本の流れを確認して見ましょう!

マイクロプラスチックによる海洋汚染問題が提起

大きいプラスチックごみ 生物の窒息とか摂食障害の原因になる
小さいプラスチックごみ 体内に入ったプラスチック成分の化学物質による影響

プラスチックの特性は腐食しにくいこと、微生物によって分解されないことです。

比較的大きいプラスチックごみを間違って生物が食べてしまうと、窒息とか、それ以上餌が食べられなくて死んでしまうという問題が発生します。主に、2000年以前の段階では、この「大きいプラスチックごみ」の問題が主流でした。

典型的な例としては、プラスチックごみを食べて死んでしまうウミガメの問題などですね。これは誰でも見た目で分かる環境問題ですよね…。

ところが最近では、より小さいプラスチックごみ(マイクロプラスチック)が生物に大きな影響を与えている可能性があると考える研究者が増えてきているんです!

  1. マイクロプラスチックの成分に含まれる化学物質そのものが、生物の体に影響を与える可能性(浸出の問題)
  2. マイクロプラスチックが他の残留性有機汚染物質を吸収して、生物の体に運搬してしまう可能性(運搬の問題)

現時点では、マイクロプラスチックの問題は大きく2つの可能性が研究されています。とくにマイクロプラスチックが広く海洋中に存在することが明らかになっていて、新しいタイプの環境汚染として世界的に社会問題化しています。

世界的なプラスチックごみ削減の流れ

プラスチックごみをめぐる議論は、時系列的には次のような流れで進んできています。

  1. 当初は大きいプラスチックごみの問題が表面化し
  2. 次いで小さなプラスチックごみ(マイクロプラスチック)問題の研究が進む

とくに2000年代以降は、海洋のマイクロプラスチック汚染の問題が議論の焦点となってきています。

マイクロプラスチックによる海洋汚染の研究

マイクロプラスチックの危険性を人々が認識するきっかけとなったのは、チャールズ・モア(または チャールズ・ムーア)を中心とした研究結果です。

チャールズ・モアの著書は世界中でベストセラーとなり、日本でも『プラスチックスープの海-北太平洋巨大ごみベルトは警告する』という書名で2012年にNHK出版より刊行。

チャールズ・モアの研究が広く世に知られるようになって以降、毎年のようにG7サミットでも議題として取り上げられているんですね。

  • 2015年 エルマウ・サミットにて「海洋ごみ問題に対処するためのG7行動計画」が採択
  • 2016年 富山市で開催されたG7環境大臣会合にてマイクロプラスチックが海洋生態系に脅威であるという認識を確認

こうした流れが、国際間での合意につながっていきます。

EUとカナダは「G7海洋プラスチック憲章」に署名

2018年6月、カナダで開催されたG7シャルルボワ・サミットでは、EU及びカナダは「G7海洋プラスチック憲章」を承認・署名。

一方、アメリカと日本は、署名を行わず国際的な批判が高まりました。

日本政府は海洋プラスチック憲章に署名しなかった理由として、プラスチックごみを削減するという趣旨には賛成する一方で、国内法が整備されていないため、社会に影響を与える程度が現段階でわからなかったため署名できなかったと説明…。

日本でも国内法整備の必要性に迫られたのです。

日本のプラスチックごみをめぐる状況

日本のプラスチックごみをめぐる状況は、2つの視点から理解する必要があります。

  1. 長期的には世界的なプラスチックごみ削減の動きに適応する必要がある
  2. 短期的には中国でのプラスチックごみ処理が困難になっている状況に対応する必要がある

一番目の世界的なプラスチックごみ削減の流れについては先に説明しましたので、ここでは中国の最近の動向から解説します。

中国の廃プラスチック輸入規制の影響

中国はプラスチックごみを世界中から輸入して、世界のプラスチック・リサイクルの拠点となっていました。日本だけでなく、アジアのプラスチック・リサイクルネットワークの中心には中国がいたのです。

ところが、2017年末に中国政府は「環境への危害が大きい固体廃棄物の輸入を禁止する」方針を決め、プラスチックごみの輸入を禁止。

日本は年間約150万トンのプラスチックごみを海外に輸出し、そのうち約半分を中国が受け入れている状態でした。

中国が規制を強化したことで、他のアジア諸国も次々に輸入規制を開始。日本国内のプラスチックごみの行き場が無くなってきているという状況があるのです。

つい最近も、マレーシアが違法に持ち込まれたプラスチックごみを強制的に返送するというニュースがありましたよね…。

日本国内でもプラスチックごみ対策の動きが急ピッチで進む

将来的・長期的 2030年までにすべてのプラスチックを再利用や回収可能なものにする
直近の課題 日本国内のプラスチックごみの行き場が無くなってきている

G7シャルルボワ・サミットで定められた「海洋プラスチック憲章」は、「2030年までにすべてのプラスチックを再利用や回収可能なものにする」など達成期限付きの数値目標を含んでいます。

日本では、長期的な数値目標に加えて、中国の廃プラスチック輸入規制の影響で、日本国内のプラスチックごみの排出量を短期間で減らす必要にも迫られているわけです。

  • 平成30年6月19日「プラスチック資源循環戦略」策定を閣議決定
  • 平成30年11月13日 経団連が「レジ袋の有料化は全国一律の制度」を求める意見書
  • 令和元年5月31日「プラスチック資源循環戦略」の策定
  • 令和元年6月3日 原田義昭環境相が「レジ袋有料化の早期法整備」を表明

ここ最近、日本のプラスチックごみ対策の動きは急ピッチで進んでいるのですが、国内外の状況変化も大きく影響しているのです。

「プラスチック資源循環戦略」ではプラスチックごみの削減が主要テーマ

日本政府が策定した「プラスチック資源循環戦略」では、まず最初にリデュース、つまりプラスチックごみを削減することを掲げています。

再利用できる可能性が無い、ワンウェイプラスチックの使用を減らすために、レジ袋を原則有料化とすることを義務付けることも盛り込まれています。

既に経済界からのヒアリングも行っていて、経団連は「全国一律の制度」の元で、レジ袋を有料化とすることを受け入れています。

さまざまな環境が整いつつある中で、今回、原田義昭環境相が「レジ袋有料化の早期法整備」を表明する運びになったのですね。

レジ袋有料化の背景にあるプラスチックごみの削減問題を解説!まとめ

レジ袋有料化の背景にある「プラスチックごみの削減問題」を解説してきましたが、いかがでしたか?

今回紹介したこと
  • 日本政府がレジ袋の有料化を進めるのは、プラスチックごみの削減が目的です。
  • プラスチックごみの削減は、世界的にも大きな問題として議論されています。
  • とくに近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染についての研究が進み、主要国間で「海洋プラスチック憲章」を合意。
  • 日本はアメリカとともに現時点では「海洋プラスチック憲章」に署名しておらず、国内法の整備が求められています。
  • さらに中国の廃プラスチック輸入規制により、日本国内のプラスチックごみが行き場を失っていて、その意味でもプラスチックごみの削減は緊急の課題となっています。

ゴールデンウィークに海外旅行に出かけて、海外ではプラスチックごみの対策が進んでいることに驚いた人もいると思います。

綺麗好きの国民性なども影響していると思いますが、日本のように何でもプラスチックで包んでしまうのは、世界的にも珍しい状況なんですよね…。

プラスチックごみを削減する必要性については、多くの人が合意していると思います。

現状ではその手段として、まずはレジ袋の有料化義務化を法制度化する方向なのですけれども、『お金節約.com』編集部でも進捗状況を注意深く見守って行きたいと思います。

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