携帯料金値下げを目指した、電気通信事業法の改正案、通称『携帯値下げ法案』が3月5日に閣議決定。
日本の携帯料金は大きく値下がりするのか、注目されています。
『携帯値下げ法案』の中心は、端末代と通信料の分離プランを導入することなのですが…。
楽天モバイルネットワークは、規制対象からの除外を検討していると報道されています。
楽天モバイルネットワークは、『携帯値下げ法案』の中心、端末代・通信料の分離規制から除外されるのでしょうか?
端末代と通信料の分離によるメリットとデメリット
携帯料金値下げを目指した、電気通信事業法の改正案、通称『携帯値下げ法案』が3月5日に閣議決定されました。
同日、総務省より「電気通信事業法の一部を改正する法律案」が第198回国会に提出され、いよいよ政府主導での携帯料金値下げの動きが本格化してきています。
『携帯値下げ法案』の3つの柱
『携帯値下げ法案』の3つの柱は、次の通りです。
- 端末代と通信料の分離プランを導入すること
- 販売代理店に届出制度を導入すること
- 販売現場の監視を強め、消費者保護を徹底すること
このなかでもとりわけ大きな柱が、端末代と通信料の分離プランを導入することです。
端末代と通信料の分離によるメリット
端末代と通信料をセットにするこれまでの販売手法では、同じ通信プランでも、新機種の利用者だけが割引を受けられ、同じ端末を長く使っている人の料金は割高なままとなります。
新機種の利用者に対する割引の原資は、利用者全員の通信料から来ているため、ユーザー間での不公平を招きやすい状況があります。
端末代と通信料を完全に分離することで、得られる代表的なメリットは次の2点です。
- より公平な料金体系が実現できる可能性が高い
- 通信料については安くなる可能性が高い
端末代と通信料の分離によるデメリット
端末代と通信料をセットにする現状の販売手法は、逆の見方をすると、積極的に最新機種に買い替える利用者にとっては、支払総額以上のメリットを得ている可能性があるということになります。
とくにハイエンド端末については、10万円以上の販売価格となることが普通にあり得ますので、販売量が減少する可能性が指摘されています。
副産物として、ハイエンド端末を使用するユーザー数が減ることで、次世代通信規格(5G)の普及が日本では遅れてしまう危険性についても危惧されています。
端末代と通信料を完全に分離することのデメリットは、大きくは次の2点となります。
- ハイエンド端末の販売価格は高くなる
- 5Gの普及が日本では遅れてしまうことも危惧される
楽天モバイルネットワークに特例措置の可能性がある?
『携帯値下げ法案』が閣議決定、国会に法改正案が提出されてから、ちょっと気になる動きが報じられています。
『携帯値下げ法案』の柱は、端末代と通信料の分離プランを導入することなのですが、楽天モバイルネットワークについては、その対象外とすることも検討されていると言うことなのです。
「楽天モバイル」と「楽天モバイルネットワーク」との違い
楽天モバイル | 楽天株式会社本体が仮想移動体通信事業者(MVNO)として運営しているサービス |
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楽天モバイルネットワーク | 楽天株式会社の子会社、楽天モバイルネットワークが運営する移動体通信事業者(MNO)サービス |
ちょっとややこしいお話になるのですが、「楽天モバイル」と「楽天モバイルネットワーク」は全く別のサービスです。
楽天モバイルについては、楽天株式会社がドコモやauの回線を借りて展開している、仮想移動体通信事業者(MVNO)サービスです。いわゆる格安スマホのいちブランドですね。
楽天モバイルネットワークは、自社で回線網を構築してサービスを提供する、移動体通信事業者(MNO)サービスです。ドコモ、au、ソフトバンクと同列の回線事業者ということになります。
- MVNO(Mobile Virtual Network Operator):仮想移動体通信事業者と呼ばれ、自社では回線を持たずにキャリアの回線を借りて運営している事業者。格安スマホはこのタイプ。
- MNO(Mobile Network Operator):移動体通信事業者と呼ばれ、自社で回線網を構築してサービスを提供する事業者。いわゆるキャリアはこのタイプ。
同じ楽天グループの通信サービスですので、将来的には「楽天モバイル」と「楽天モバイルネットワーク」のサービスは統合される方向という報道も多く見られます。
楽天モバイルネットワークは脱寡占化目的で優遇?
楽天モバイルネットワークは、2019年10月のサービス開始を予定しています。
現在のソフトバンクは、旧ソフトバンクモバイル、ボーダフォン、J-PHONEの3社を前身とするもので、一番早いタイミングで事業開始している事業者は、1994年スタートです。
ソフトバンクが自社ブランド名で、移動体通信事業者(MNO)サービスを展開するようになったのが2006年のことですから、そこから見ても久しぶりの新規事業者の参入となりますよね。
楽天モバイルネットワークは、寡占化の傾向が強いと言われる日本の携帯電話業界に健全な競争をもたらすことが期待されています。
楽天モバイルネットワークに対して、端末代と通信料の分離プランの適用規制が除外されると、端末代と通信料の分離によるデメリット、ハイエンド端末の販売が難しくなることが緩和され、他社に対して独自の販売ポジションを持つことができるようになります。
総務省としては、市場の寡占化を防いで値下げ競争を促す狙いがあるものと報道されていますが、楽天モバイルネットワークのみに例外を認める動きが本格化することになれば議論を呼びそうですね…。
総務省では、新規参入事業者(楽天モバイルネットワーク)を、どの程度例外扱いとするのか、詳細は夏ごろを目処に省令などで定める見通しということです。
楽天モバイルネットワークは端末代・通信料分離プランから除外!?まとめ
楽天モバイルネットワークは端末代・通信料分離規制の例外とされる可能性があることをお伝えしましたが、いかがでしたか?
- 携帯料金値下げを目指した、電気通信事業法の改正案、通称『携帯値下げ法案』が3月5日に閣議決定されました。
- 同日、総務省より「電気通信事業法の一部を改正する法律案」が第198回国会に提出され、携帯料金値下げの動きが本格化してきています。
- 『携帯値下げ法案』の柱は端末代と通信料の分離プランを導入することです。
- 端末代と通信料の分離プラン導入で、利用者間の公平性の確保、通信料金の値下げなどのメリットが見込まれますが、一方、とくにハイエンド端末の値上がりによる5G普及の遅れなどが懸念されています。
- 楽天モバイルネットワークは今秋サービス開始を目指す第4のキャリアですが、市場の寡占化を防いで値下げ競争を促す狙いで、端末代と通信料の分離規制の対象外とする可能性が報じられています。
『携帯値下げ法案』によって通信料が下がることは嬉しいことですが、一方で、端末代が高くなる可能性があり、次世代通信(5G)普及の遅れなどの危険性も指摘されています。
『携帯値下げ法案』は、スマートフォンをあまり買い替えない人たちにとっては、通信料金の値下げメリットの方が大きく働くと予測されますが、気になるのは政治主導色がかなり強いことですね…。
楽天モバイルネットワークに対する例外措置は、一社だけの優遇措置とも捉えることができるものですから、政府がここまで介入することの是非は議論が分かれる所かと思います。
『お金節約.com』編集部としても、引き続き『携帯値下げ法案』関連を追っていきます!