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逆イールドは景気後退の予兆!?【日経平均株価にも影響を与えるイールドカーブ逆転現象を解説】

イールドカーブ
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編集長より子
編集長より子
『お金節約.com』編集長「より子」です。

2019年3月25日、日経平均株価は今年に入ってから最大の値下がり!

その背景には、景気後退の予兆とも言われる『逆イールド現象』があったことが指摘されています。

逆イールドとは、イールドカーブの逆転現象のことを意味しているのですが…。

いったい何がどのようにカーブして、逆転しているのでしょう?

景気後退の予兆とも言われる『逆イールド現象』について解説します♪

イールドカーブは債券の利回り曲線

イールドカーブ(Yield curve)は、利回り曲線とも呼ばれ、債券などにおける利回りの変化をグラフにしたときに見られる曲線のことを指します。

財務省では、『横軸に残存期間、縦軸に利回りをとり、残存期間が異なる複数の債券の残存期間と利回りの関係を表した曲線のことです。』と、超そっけなく簡潔に解説しています。

イールドカーブは通常右上がり(長期金利の方が高い)

イールドカーブは通常右上がりになります。

つまり、横軸に残存期間を取った場合、債権の残存期間が長いほど金利も高くなるという意味なのですが…。

参考までに、日本国債の取引金利の一覧を示しますが、若干凸凹があるにしても、大勢として国債の償還期限が長くなるほどに金利も高くなっていくことが分かります。

個人でのお金の貸し借りを考えても、3か月後に返してね!という場合に比べると、10年後に返します…という場合の方が金利が高くなるというのは、感覚的にも納得ですよね。

なぜなら、返済までの期間が長くなればなるほど、リスクもそれだけ高くなるからです。

「逆イールド」は長短金利の逆転現象のこと

ところが、稀に償還期限が短い債券の金利が、長期金利を上回ってしまうことがあります。これを「逆イールド」と呼んでいるんです。

「逆イールド」は、短期金利が長期金利を上回ってしまう逆転現象のことです。

2019年3月26日時点でのアメリカ国債の金利一覧を見ると、3か月ものの米国債の金利が(正確に言うと1年以下のもの全ての金利が)、10年ものの米国債の金利を上回っていることが分かります。

この逆転現象を見て「逆イールド」が発生した!と、2019年3月25日の東京株式市場には動揺が広がったわけです…。

「逆イールド」が発生すると景気後退につながる?

「逆イールド」が市場で恐れられているのは、景気後退の予兆と考えられているからです。

そのリクツを理解するために、少しだけ中央銀行の景気に対するさじ加減、実体経済のコントロール方法を説明しますね!

中央銀行は短期金利を通じて実体経済をコントロール

中央銀行は、主に短期金利を通じて景気のコントロールを行っています。具体的には、景気が過熱し過ぎてバブル的な様相を呈してくると、短期金利を引き上げて(お金を借りにくくして)景気を一旦冷却させるわけです。

経験則的に、中央銀行の短期金利引上げは、好景気が終盤に差し掛かった局面で実施されるケースが多いのです。すごいざっくり言うと、大体いつも手遅れになるということなんですが…。

一方、投資家としては、景気が後退すれば金融緩和が行われ、つまり金利が下がるわけですから、それを見越して償還期間の長い国債を買っておこうと動きます。長期金利は下がり、長期国債の価格は上昇することになりますね。

  • 中央銀行は短期金利を引き上げる
  • 市場メカニズムで長期金利が下がる

この2つの現象が、一定のレベルを超えると、短期金利が長期金利を上回るという「逆イールド」となって表面化するということなんです。

「逆イールド」は過去30年で3回あった後退局面でいずれも発生

不動産バブル崩壊 1990年8月~1991年3月
ITバブル崩壊 2001年4~11月
リーマン・ショック 2005年末~2007年半ばにかけて頻発した後、2008年9月のリーマン・ショックに突入

逆イールドが景気後退の予兆と考えられているのは、過去の事例を見ると、逆イールドが発生した1~2年後のタイミングでアメリカが景気後退期に入るケースが多いためです。

アメリカで過去30年間で3度あった大きな景気後退局面では、いずれのケースでも「逆イールド」が発生していました。

ここまで過去の事例が重なっていると、「今回も…」と市場関係者が考えてしまうのも無理はありません。

中国やユーロ圏はすでに景気の減速感が顕著ですが、そこに加えて、アメリカ経済についても悲観的な見方が出てきたことで、日本の株式市場にも大きな影響が現れたんですね。

トランプ大統領の利上反対が裏目に?

トランプ大統領やはりyouが…。(画像出典:在日米国大使館『米国大統領』より)

今回「逆イールド」が発生した背景には、3月20日にアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が、2019年は1回も利上げを行わず景気に配慮していく姿勢を示したことが影響していると考えられます。

FRBは、好調なアメリカ経済を背景に利上げ路線を続けてきたのですけれども、それが大きな転換点を迎えたと認識されたんですね。

FRBの利上げには、トランプ大統領が強い抵抗を示していたとされますから…。

ものすごく簡単にいうと、裏目った…。ということでしょうか。汗

逆イールドは景気後退の予兆!?まとめ

景気後退の予兆ともされる「逆イールド」について解説しましたが、いかがでしたか?

今回紹介したこと
  • イールドカーブ(Yield curve)は、残存期間が異なる複数の債券の残存期間と利回りの関係を表した曲線のことです。
  • 一般的に、イールドカーブは右肩上がりとなります。短期金利よりも長期金利の方が高いのが通常の状態です。
  • ところが稀に、短期金利が長期金利よりも高くなる逆転現象が発生することがあり、これを「逆イールド」と呼んでいます。
  • 「逆イールド」は、過去の事例から、景気後退の予兆と考えられています。
  • アメリカ国債で「逆イールド」が発生したことを受け、2019年3月25日の日経平均株価は今年に入ってから最大の下げ幅となりました。

株価が下がると、色々なトコに影響がありますし、何とかしばらくは今の株価を維持して欲しいところですが…。

とくに日本ではゴールデンウィークの10連休がありますので、その前に適切なタイミングで一度売っておきたいという動きが強まるとも予測されます。

今回の「逆イールド」現象だけでなく、さまざまな危険信号が点灯し始めていますので、慎重に推移を見極めたいところですね。

編集部員ふみ子
編集部員ふみ子
投資は自己責任でネ♪