2019年4月18日、自民党の萩生田幹事長代行から衝撃の発言が!
次の日銀短観の内容次第では消費増税の延期もあり得る、ということなんです。
軽減税率とかポイント還元とか、世の中いろいろ10月1日の消費増税に向けて準備を進めているわけですけれども、どうなるのでしょうか…。
ところで、次回の日銀短観が非常に注目されますけれど、そもそも日銀短観って何なのでしょう?
日銀短観とは何か?いつ発表されるか?詳しく解説します!
「日銀短観」は四半期ごとの統計調査
日銀短観は、正しくは「全国企業短期経済観測調査」と呼ばれる統計調査です。
日本銀行が四半期ごとに実施・公開している短期統計調査で、一般的に「日銀短観」と呼ばれています。
調査タイミングは、3月・6月・9月・12月の年4回。
つまり、萩生田幹事長代行が言う「次の日銀短観」とは、6月調査分を指しています!
日銀短観は景気の現状と先行きについてのアンケート調査
調査対象 | 資本金2000万円以上の民間企業の中から、約1万社を抽出 |
---|---|
調査内容 | 業績や業況、設備投資額、雇用など |
回収率 | 直近では99%以上 |
日銀短観は、日本銀行が企業に直接行うアンケート調査です。
資本金2000万円以上の民間企業の中から約1万社を抽出して、景気の現状と先行きについてアンケート調査を行うのですが、計数的な側面だけでなく、マインドについても調査を行うことが特徴です。
直近では99%以上という高い回収率となっていて、集計結果や分析結果をもとに日本の経済の現状を観測する重要な経済指数となっています。
日銀短観の発表スケジュール
2019年3月調査 | 2019年4月1日(月) 発表済み |
---|---|
2019年6月調査 | 2019年7月1日(月) ※予測 |
2019年9月調査 | 2019年10月1日(火) ※予測 |
2019年12月調査 | 2019年12月16日(月) ※予測 |
(過去実績より『お金節約.com』編集部予測)
今回は何よりも発表タイミングが重要になると思いますので、そちらを最初に解説します。
過去の実績を見ると、日銀短観3月・6月・9月調査については、翌月最初の営業日に設定されるケースが多いです。
次回6月調査分の発表日は、7月1日(月)の可能性が高いです!
12月調査だけがちょっと特殊で、月の中旬に発表となります。2019年はど真ん中の12月14~15日が週末に当たっているので、12月16日(月)ではないかと予測します。
ここ10年ぐらいは、12月13日以前に発表されたケースは無いので、その傾向を見ると、この辺りでは無いかなと思われますが…。
日銀短観のポイントは「業況判断指数(DI)」
業況判断指数(Diffusion Index:DI)は、日銀短観で発表される景気の判断指数です。
「景気が良い」と感じている企業の割合から、「景気が悪い」と感じている企業の割合を引いたものですが、アンケートの質問も、算出方法も非常にシンプルです!
まず質問と回答ですが、次のような3択で行われます。
- 質問:貴社の業況についてどのように判断しますか
- 回答:1、良い 2、さほど良くない 3、悪い
業況判断指数(DI)の算出方法も超シンプル!
- (1)景気が良い、と判断した企業の割合から
- (3)景気が悪い、と判断した企業の割合を引く
これだけ!
実際に、2019年3月調査分の業況判断指数(DI)を計算するのも非常に簡単です。
業況判断指数(DI)は製造業で大幅に悪化
日本政府が消費増税を延期するのか?実施するのか?
その判断も、基本的には業況判断指数(DI)の動向が大きな影響を与えると思われます。
まず直近の日銀短観から、現在の業況判断指数(DI)を見てみましょう!
2019年3月調査の業況判断指数(DI)
2019年3月調査分は、すでに4月1日に発表されています。画像で示したものが発表されたデータです。
ここから業況判断指数(DI)を計算すると次のようになります。
2018年12月調査 | 2019年3月調査 | ||||||||
最近 | 最近 | 先行き | |||||||
大企業 | 中堅企業 | 中小企業 | 大企業 | 中堅企業 | 中小企業 | 大企業 | 中堅企業 | 中小企業 | |
製造業 | 19 | 17 | 14 | 12 | 7 | 6 | 8 | 3 | -2 |
非製造業 | 24 | 17 | 11 | 21 | 18 | 12 | 20 | 12 | 5 |
(日本銀行『短観概要2019年3月』より『お金節約.com』編集部作成)
基本的な傾向としては、次の3点が見て取れます。
- 製造業の景気減速感が目立つ。製造業の大企業では、12月調査から3月調査で7ポイント減。
- 製造業の中小企業では、3月調査の先行き回答でマイナスに転じている。
- 非製造業は比較的堅調な推移を見せている。
現状の景気情勢は、製造業各社が不安を募らせている状況と言って良いかと思います。
業況判断指数(DI)の悪化は2四半期ぶりで、下落幅でいうと、2012年12月調査(9ポイント減)に次ぐ6年3か月ぶりの大幅下落に…。
第2次安倍政権発足後では最大の悪化ということになります。汗
業況判断指数(DI)悪化の原因は日本国外にある
製造業で業況判断指数(DI)が悪化している最大の原因は、米中貿易摩擦の激化と、それに伴う世界経済の減速懸念です。
すごく単純にまとめると、基本的に国内要因ではない、ということなんです。
国際的な貿易環境を背景に悪化している、日銀短観の業況判断指数(DI)をもとに、日本国内の消費増税の実施を決めるということになりますので…。
消費増税を延期するという論理的な根拠を、現在の業況判断指数(DI)に求めるというのは、ロジックとしてキレイにつながるかと言うとちょっと厳しいようには思います。
萩生田幹事長代行の発言を受けて野党各党の反応が報じられていますが、この点について言及している政党が無いのは残念に感じました。
【消費増税は延期?それとも実施?】7月1日公表の日銀短観で重大判断が下される可能性が!?まとめ
日銀短観について解説してみましたが、いかがでしたか?
- 2019年4月18日、自民党の萩生田幹事長代行が、次の日銀短観の内容次第では消費増税の延期もあり得ると発言。
- 与党首脳から消費増税の可能性について言及があったことで、大きなニュースとなっています!
- 日銀短観とは、日本銀行が企業に直接行うアンケート調査で、特に重要な景気判断指数は業況判断指数(DI)です。
- 業況判断指数(DI)は、「景気が良い」と感じている企業の割合から、「景気が悪い」と感じている企業の割合を引いたもの。
- 直近では製造業を中心に業況判断指数(DI)が悪化しています。ただし悪化要因は基本的に米中貿易摩擦の激化と、それに伴う世界経済の減速懸念です。
これまで、二度にわたって延期された消費増税も、今回はさすがに予定通り実施されるのでは?日本国内もそういう雰囲気だったかと思いますが…。
与党首脳から消費増税の可能性について言及されたことで、にわかに消費増税の延期についての議論が活発になっていくものと思われます。
10月1日実施となる消費増税の延期か実施かを決めるのに、7月1日発表予定の日銀短観をもって判断するということですから、あまりに直前の決定となる問題も出てきそうですね。
もし消費増税延期となれば、衆議院の解散、総選挙となる可能性も高いです。
風雲急を告げる消費増税の再延期問題…。
『お金節約.com』編集部でも、情報収集に努めたいと思います!