2019年3月22日、消費者庁はいわゆる「加圧シャツ」を販売している主要事業者に対して行政処分を発表しました。
「加圧シャツ」は、着るだけで痩せるとか、着るだけで筋肉が鍛えられる効果があるとして、主に通販の人気商品になっていましたが…。
販売上のトラブルなども報じられていましたが、消費者庁の判断は『効果ナシ』!
主要事業者に対して行政処分が課され、改善が求められることになりました。
消費者庁による「加圧シャツ」販売事業者への行政処分について解説します!
「加圧シャツ」の効果には合理的な根拠ナシ
「加圧シャツ」とは、非常に簡単にいうと、ものすごくキツイ、締め付けが強いシャツのことです。
多くの製品はTシャツ形状ですが、タンクトップとかブラトップ形状の場合もありますし、女性用にはガードル形状のものもあります。
【販売事業者の主張】「加圧シャツ」が効果を発揮する理由
加圧シャツは、多くの製品で『スパンデックス』という伸縮性に富んだ繊維を採用していて、ものすごく締め付けがキツイ一方で伸縮性にも富むとしています。
締め付ける力も強い一方で、柔軟性にも富むということで、締め付けられた身体(筋肉)の反発力も失わせることなく活用できるということなんですね。
- 着るだけで身体の筋肉を鍛えることができる
- (その筋肉が脂肪を燃焼させるので)着るだけで痩せることができる
こうした効果を謳って、「着るトレーニング」とか「着るだけでダイエット」とか、そういうキャッチコピーで販売されていたわけです。
【消費者庁の判断】合理的な根拠ナシ
一方、消費者庁の判断は、販売事業者の主張をバッサリ切り捨てています。
消費者庁では、東京と愛知の通信販売会社9社について、「着るだけで筋肉増強」とか「着るだけで痩せる」などの効果について、その根拠を調査。
9社中2社は根拠を示す資料を提出することができず、提出した7社についても『合理的な根拠を示すものとは認められない』という判断です。
商品の内容について、一般消費者に対して、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものであるという判断を下し、再発防止などを求める措置命令を行いました。
【消費者庁】景品表示法に基づいて再発防止などを求める措置命令
消費者庁は、加圧シャツの販売事業者が行っていた広告表示は、景品表示法にて禁止されている不当な表示として、再発防止などを求める措置命令を行いました。
リストの一番最初にある事業者に対して交付された書面を紹介していますが、基本的に文面は各社宛すべて同じです。
『次のとおり命令する。』という文面からも、消費者庁側の強い意志が伝わってきますね。
今回、販売事業者が受けたのは「行政指導」ではありません。より重く、違法行為に対して課され、法的な強制力を持つ「行政処分」です。
景品表示法に違反した事業者9社のリスト
当サイトでも、消費者保護の観点から、今回景品表示法に違反しているとして行政処分を受けた事業者9社のリストをご紹介しておきます。
企業名 法人番号 代表者 |
所在地 | 設立年月 | 資本金 | 対象商品 |
株式会社イッティ (7010001187341) 代表取締役 瀧本洋 |
東京都渋谷区渋谷二丁目14番18号 | 平成29年10月 | 10,000万円 | パンプマッスルビルダーTシャツ |
加藤貿易株式会社 (3010401082229) 代表取締役 加藤克也 |
東京都港区芝大門二丁目11番18号 | 平成21年6月 | 100万円 | ・鉄筋スパッツ ・鉄筋スパルタ(腹巻) |
株式会社GLANd グラン (5011001115772) 代表取締役 菅勇 |
東京都渋谷区渋谷一丁目7番5号青山セブンハイツ806 | 平成29年4月 | 50万円 | ・金剛筋シャツ ・金剛筋レギンス ・鉄筋シャツ |
株式会社ココカラケア (4013301035750) 代表取締役 上田淳 |
東京都豊島区要町3-44-6 | 平成26年7月 | 200万円 | スレンダーマッチョプラス(シャツ) |
株式会社SEEC シーク (5011001045887) 代表取締役 阿部隆太郎 |
東京都渋谷区東三丁目9番19号 | 平成17年10月 | 5000万円 | マッスルメイク(シャツ) |
株式会社スリーピース (4013301037532) 代表取締役 高橋達也 |
東京都豊島区池袋二丁目11番2号 | 平成27年8月 | 300万円 | SASUKE(シャツ) |
株式会社トリプルエス (6180001127620) 代表取締役 大村晋 |
愛知県一宮市木曽川町黒田字宝光寺33番地 | 平成29年4月 | 5万円 | ・マッスルX ・マッスルX斬 (いずれもシャツ) |
株式会社BeANCA ビアンカ (2011001098905) 代表取締役 永桶吉則 |
東京都渋谷区広尾1-10-5日興パレス広尾プラザ204 | 平成26年2月 | 200万円 | ・阿修羅圧(シャツ) ・阿修羅烈(スパッツ) |
VIDAN ビダン株式会社 (5010401132056) 代表取締役 福島亮 |
東京都港区浜松町一丁目25番11号宮下ビル2階 | 平成29年6月 | 100万円 | ・THE BEAST ・THE GHOST (いずれもシャツ) |
【悲報】加圧シャツには効果ナシ!消費者庁の行政処分で業界全滅!?まとめ
加圧シャツの販売事業者に対して、消費者庁が行政処分を行ったことをお伝えして来ましたが、いかがでしたか?
- 2019年3月22日、消費者庁はいわゆる「加圧シャツ」を販売している主要事業者に対して行政処分を発表しました。
- 「加圧シャツ」は、非常に締め付けの強い衣類で、多くの製品で『スパンデックス』という伸縮性に富んだ繊維が採用されています。
- 販売事業者は、「加圧シャツ」は伸縮性に富むことで、身体の筋肉の反発力を活用できるとしていました。
- 販売事業者は、「着るだけで筋肉増強」とか「着るだけで痩せる」というキャッチコピーで主に通販経由で拡販していました。
- 消費者庁は、実際のものよりも著しく優良であると示す行為で、景品表示法に違反するという判断を下し、再発防止などを求める措置命令を行いました。
常識的に考えれば、「着るだけで筋肉増強」とか「着るだけで痩せる」などはあり得ないことは分かるのですけれど、やっぱり騙されてしまう人も多いのが実情なんですよね…。
消費者庁によると、今回行政処分の対象となった9社が販売した「加圧シャツ」は、2017年以降およそ70万枚、最も多い会社では約20億円を売り上げていたということです。
今回の消費者庁の行政指導によって、「加圧シャツ」業界はほぼ壊滅の方向に向かうと思われます。効果が無ければ、単にキツイだけの不快なシャツですから…。
藁をもつかみたい消費者の気持ちに付け込んだ、この種の悪徳商法を撲滅するために、消費者庁にはこれからもぜひ!頑張って頂きたいです!