ホルムズ海峡でタンカーが攻撃を受け、原油価格が急騰!
何とも物騒なニュースですよね…。
でも、原油価格が高騰したらすぐにガソリンを給油した方が良いのでしょうか?
原油価格の動きは、私たちの日々の生活にも大きく影響を与えることは間違いないのですが…。
原油価格が日本のガソリン価格に反映されるまでに、およそどのぐらいの時間がかかるのか、調べてみました!
中東情勢の変化で原油価格が高騰
中東のホルムズ海峡近くのオマーン湾で13日、日本の船舶を含む2隻の石油タンカーが何者かの攻撃を受けて炎上した。ホルムズ海峡は中東産の原油を世界に向けて出荷する海上輸送の大動脈だ。攻撃の情報を受けて原油相場は即座に4%ほど上昇した。中東の地政学的リスクの高まりは、世界経済の先行きへの不安を高める。
(出典:日本経済新聞 2019年6月13日付『ホルムズ海峡でタンカー2隻攻撃、原油価格急騰』より)
2019年6月13日に発生したタンカー攻撃事件で、原油価格が約4%高騰!
もちろん船の乗組員の皆さんの安全も気がかりですけれど、石油製品の値上がりも心配になりますよね…。
ところで、そもそも日本はなぜ中東の原油に依存しているのでしょうか?
日本は石油輸入の85%を中東に依存
日本は石油輸入の85%を中東に依存しています。
日本では石油がほとんど採れないため、輸入に頼ることは仕方が無いにしても、主要国のなかでも突出して石油の中東依存度が高い状況です。
日本が中東の石油に依存しているのは、主に次の3つの理由からです。
- 中東地域は世界の原油確認埋蔵量の約半分を占めていて
- 石油産出量と国内消費量とを比較した輸出余力に優れていて
- 日本からの距離が比較的近く輸送コストを抑えられる
中東諸国は石油資源が豊富にある地域で、売る側(中東諸国)の都合と、買う側(日本)の都合が、ちょうど良く合致しているんですね。
中東の政治情勢が原油価格に直結
- 第四次中東戦争(1973年:画像8点)
- イラン革命(1970年~80年:画像9点)
- イラン・イラク戦争(1980年~88年:画像10点)
- 湾岸戦争(1990年~91年:画像11点)
- アジア金融危機(1997年:画像12点)
- イラク戦争(2003年~11年:画像13点)
- アラブの春(2010年~14年:画像13点)
安定的に中東から石油を輸入できればそれがベストなのですが、中東の政治情勢は常に安定しているわけでは無いのが悩ましいところです。
簡単に言うと、世界の中でも戦争が多い地域だということですよね…。
ここ半世紀の原油価格の推移を見ると、中東で何か軍事衝突や騒乱がある度に大きく変動していることが分かります。
ガソリン小売価格に影響が生じるまでのタイムラグ
原油価格が約4%値上がりというと、レギュラーガソリンの価格が約130円/ℓとすると、約135円/ℓになる計算に。
リッター当たり約5円の値上がりです。けっこう大きいですよね…。
仮に原油価格の値上がりが続くとして、どのぐらいのタイミングでガソリン価格に反映されるのでしょうか?
原油価格の三大指標
- ニューヨーク原油先物
- ブレント原油先物
- ドバイ原油・オマーン原油のスポット価格
世界の原油価格の三大指標はこの通りなのですが、とりわけニューヨークの先物価格は他の先物市場やスポット価格にも大きな影響を与えています。
ニューヨーク原油先物は、実質的にはWTI先物(ウェスト・テキサス・インターミディエイト:West Texas Intermediate、アメリカ合衆国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称)のことを指しています。
日本が中東から輸入する原油はアラブ首長国連邦のドバイ原油価格に左右されるのですが、このドバイ原油価格もWTI先物価格に大きく影響を受けているんです。
原油価格は約1か月後にガソリン小売価格に反映
原油価格には先物価格と現物価格の2つがありますが、どちらも日本の石油製品の価格に反映されるまでには一定のタイムラグが生じます。
これは、原油輸送がタンカーによる海上輸送となるためで、中東から日本に回航されてくるまでには、約1か月ほどの時間がかかるからなんです。
今回は楽天証券の調査結果を参照していますが、原油価格の動きが、日本のガソリン小売価格に反映されるのは約1か月後になるという調査結果が示されています。
原油価格が高騰したらすぐガソリンを給油した方が良いの?まとめ
原油価格が高騰しても、日本のガソリン小売価格に反映されるまでには約1か月かかることを解説してきましたが、いかがでしたか?
- 2019年6月13日、中東のホルムズ海峡付近で、石油タンカーが何者かの攻撃を受けて炎上するという事件が発生。
- 日本の石油輸入は中東に85%を依存しているため、この地域の政情安定は特に重要な問題です。
- 中東地域は世界の原油確認埋蔵量の約半分を占めていて、日本から比較的近く輸送コストが安いこともあり、依存度が非常に高くなっています。
- 中東地域での軍事的な衝突を想起させる出来事に対して、原油価格は即座に約4%ほど高騰!
- 原油輸送はタンカーによる海上輸送となるため、仮にこの値上げが続くとしてもガソリン小売価格に反映されるのは約1か月後です。
この週末にも、ガソリンを給油しておいた方が良いの?
そう思った人もいるかも知れませんが、仮に今回の原油価格高騰が続くとしても、ガソリンの小売価格に反映されるまでは約1か月の猶予はあるということになります。
とは言え、何ごとも早めに備えておこうという人もいるようで、今日のガソリンスタンドはそれなりに混雑していたように思います。
千葉県成田市近郊では、レギュラーガソリンが130円/ℓ前後で、それなりにお手頃価格に感じられることも影響しているかも知れません。
ガソリンの小売価格は、長い目で見ると、中東の政治情勢が大きく影響を受けることは間違いありませんから…。世界情勢もしっかり見て行こうと思います!