2019年5月14日、総務省は6月から始まる『ふるさと納税の新制度』で、大阪府泉佐野市など4市町の参加を認めないことを発表。
当初から泉佐野市などの除外は確定的と見られていたのですが、改めて総務省より線引きがなされたかたちです。
渦中の泉佐野市役所を訪問してみましたが、落ち着いた雰囲気ではありました。
『ふるさと納税の新制度』で泉佐野市などが除外される動きについてレポートします!
ふるさと納税の新基準で4自治体が除外対象に
2019年5月14日、総務省は6月から始まる『ふるさと納税の新制度』で参加希望を表明した自治体について、3段階に分けて対応を表明。
- 6月から除外(4自治体)
- 6月~9月は参加を認め、問題があれば10月以降除外(43自治体)
- それ以外の自治体は新制度に参加可能(東京都は辞退)
これで、6月1日以降の『ふるさと納税の新制度』の姿が見えてきました。
【最も重い処分】参加不可能な自治体は4つ
東京都 | ※東京都は辞退(参加申し込み自体を行っていません) |
---|---|
静岡県 | 小山町 |
大阪府 | 泉佐野市 |
和歌山県 | 高野町 |
佐賀県 | みやき町 |
6月1日以降の『ふるさと納税の新制度』について、対象から除外される4自治体は表の通りです。さらに、そもそも参加申し込みを辞退していた東京都も、ふるさと納税に参加することはありません。
『ふるさと納税の新制度』では、「指定(許可)が撤回された場合は、以降2年間は指定(許可)を受けることができない」という項目がありますので、今回除外された4自治体については、早くても2年後のふるさと納税再開ということになります。
【仮免状態?】6月~9月期については参加可能とした自治体は43
北海道 | 森町 八雲町 |
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宮城県 | 多賀城市 大崎市 |
秋田県 | 横手市 |
山形県 | 酒田市 庄内町 |
福島県 | 中島村 |
茨城県 | 稲敷市 つくばみらい市 |
新潟県 | 三条市 |
長野県 | 小谷村 |
岐阜県 | 美濃加茂市 可児市 富加町 七宗町 |
静岡県 | 焼津市 |
大阪府 | 岸和田市 貝塚市 和泉市 熊取町 岬町 |
和歌山県 | 湯浅町 北山村 |
岡山県 | 総社市 |
高知県 | 奈半利町 |
福岡県 | 直方市 飯塚市 行橋市 中間市 志免町 赤村 福智町 上毛町 |
佐賀県 | 唐津市 武雄市 小城市 吉野ヶ里町 上峰町 有田町 |
宮崎県 | 都農町 |
鹿児島県 | 鹿児島市 南さつま市 |
さらに、即時除外ではありませんが、期間限定の承認となった自治体が43あります。メディアでは「仮免状態」などとも呼ばれていますね…。
こちらの43自治体については、6月1日~9月30日間の4か月間は『ふるさと納税の新制度』への参加を承認、4か月間の実績によっては10月以降の参加を取り消す可能性もあるとされています。
残りは全て「ふるさと納税の新制度」に参加可能
2019年4月11日、東京都以外の全自治体が『ふるさと納税の新制度』への参加申込を行ったことが公表されています。
このため、今回参加が認められなかった4自治体、および4か月限定の承認となった43自治体を除いた、残りのすべての自治体は、『ふるさと納税の新制度』への参加を認められたことになります。
ただし、『ふるさと納税の新制度』では、「指定(許可)後も、過剰な広告活動は認めない」とし「指定(許可)後も、逸脱があれば指定(許可)を撤回する場合がある」とされますので、今後も行政指導の余地は残る状況です。
ふるさと納税の新基準では3割までの返礼品は容認
『ふるさと納税の新制度』は、返礼品の過度な競争に歯止めをかける目的で定められたとされますが、同時に、一定の基準を示すことで、競争が激化する危険性も危惧されています。
『ふるさと納税の新制度』の基本的な運営ルール
- 原則として返礼品は地場産品とする
- 地場産品が乏しい自治体については近隣の自治体の特産品も一部容認する
- 返礼品の返礼割合は3割以下とする
『ふるさと納税の新制度』の基本ルールでは、返礼品については基本的に地場産品とし、状況によっては近隣自治体の特産品も容認するとしています。
その上で、返礼品の割合を3割までは認めています。これまで、返礼品割合については明確な言及が無い状況でしたので「3割までOK」の新ルールのもとで、新たな返礼品競争が生まれる可能性も指摘されています。
『ふるさと納税の新制度』の規制事項
- 指定(許可)後も、過剰な広告活動は認めない
- 指定(許可)後も、逸脱があれば指定(許可)を撤回する場合がある
- 指定(許可)が撤回された場合は、以降2年間は指定(許可)を受けることができない
規制事項の中心は、「過剰な広告活動の抑制」となり、指定(許可)を撤回する場合があることが示されています。
ふるさと納税の運営については、多くの自治体が、ふるさと納税を仲介するポータルサイトを活用しています。民間企業が運営するポータルサイトは、現状ではかなり積極的な広告展開も行っていて、現時点では許容範囲を示す水準が明確でないという問題も残っています。
総務省決定翌日の泉佐野市役所を訪問
5月15日、『ふるさと納税の新制度』の参加対象から所外された翌日の大阪府泉佐野市役所を訪問してみました。
まずは南海電鉄の泉佐野駅に到着!
泉佐野市役所の2階には「情報公開コーナー」が設置
南海電鉄の泉佐野駅から15分~20分ほど歩くと、泉佐野市役所に到着しました。
市役所に入ると、職員の皆さんも普段と同じように勤務されていました。
若干雰囲気が暗い感じはしましたけれども、総務省の決定の影響か、それとも普段から落ち着いた様子なのかは判断がつきませんでした…。
泉佐野市役所の2階には「情報公開コーナー」が設置されていて、訪問者は各種公開情報を閲覧することができます。
各年度ごとの「大阪府泉佐野市予算書及び予算説明書」が並んでしました。
本年度版(平成31年度版)を見てみましょう。
「大阪府泉佐野市予算書及び予算説明書」平成31年度版はしっかり製本されていて、予算計画が記載されています。ほぼ数字(金額)中心の記述ですね。
今年度、平成31年度は、ふるさと応援寄付金(ふるさと納税)として、28億円の歳入が見込まれていることが見て取れます。
これは昨年度とほぼ同水準の金額なのですが、実態よりもかなり低い金額で予算化されている理由は分かりませんでした…。
泉佐野市のふるさと納税の獲得寄付金は、2018年度(平成30年度)実績で約497億円に達するとされます。これは泉佐野市の平成31年度一般会計予算約516億円にほぼ匹敵する金額となっています。
ふるさと納税の金額はそもそも読み難くく、歳入予算として正確に計上することが困難なのかも知れません。
泉佐野市役所1階の特産品・地場産業展示コーナー
泉佐野市役所の1階には「特産品・地場産業展示コーナー」があります。
工業製品など様々な地場産品があることが分かります。水産物では「わたりがに」が泉佐野市の特産品なんですね。
泉佐野市が「ふるさと納税」を再開するのは、早くても2年後からということになりますが、その際はこうした特産品を返礼品としていくことになるのでしょうか。
【渦中の泉佐野市役所を訪問!】ふるさと納税の新制度で泉佐野市など除外へ!まとめ
総務省が6月から始まる『ふるさと納税の新制度』で対象から除外する自治体を公表したことをお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
- 2019年5月14日、総務省は6月から始まる『ふるさと納税の新制度』で、大阪府泉佐野市など4市町の参加を認めないことを発表。
- 43自治体については、6月~9月、4か月間の参加を承認。その間の実績によっては10月以降の参加を取り消す可能性もあるとしています。
- 『ふるさと納税の新制度』の基本ルールでは返礼品を3割までは認めていて、新しい競争の原因となる可能性もあります。
- 『ふるさと納税の新制度』の基本ルールでは「過剰な広告活動の抑制」が求められ、総務省の継続的な行政指導の余地を残しています。
- 5月15日、総務省決定翌日の大阪府泉佐野市役所を訪問。各種資料などを閲覧させて頂きました。
総務省の見解が示されたことで、ふるさと納税の高額返礼品を巡る問題は、ひとつの結論が出たかたちとなりました。
新しいルールと、その参加自治体が決定し、6月1日からは『ふるさと納税の新制度』がスタートすることになります。
一方、総務省と泉佐野市との今後の関係は気になる部分です。
総務省は、泉佐野市など今回除外対象となった4自治体について、財源に余裕があるという理由から、2018年度特別交付税の3月配分額を実質ゼロとしています。
ふるさと納税の駆け込み需要で、泉佐野市が年間の一般会計予算に匹敵する額を集めたことから、長期的に特別交付税が減額され続けることになるのか…。
これからも状況を見続けて行きたいと思います。