日本は、調達した食料の約3割を廃棄してしまっている…。
この状況をご存知でしたか?
廃棄している食料の中には、本来食べられたはずの食品が多く含まれていて、「食品ロス」として社会問題にもなっています。
資源のムダでもありますし、何よりももったいないですよね…。
日本政府も、食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らす啓蒙活動を進めています。
食品ロスの現状と、家庭では「消費期限」と「賞味期限」の違いを正しく理解する必要があることを解説します!
日本は調達した食料の約3割を廃棄してしまっている
日本では、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物が、大量に発生しています。
重量換算すると、食料消費全体の3割が廃棄されていると言うんです…。
現在の日本の食品ロス・食品廃棄がどのような状況にあるのか、平成28年の政府広報に基づいて解説していきます。
日本国内では食料消費全体の3割を廃棄
日本国内における年間の食品廃棄量は、約2,800万トンと推計されています。
日本国内および海外から調達される食用農林水産物は、年間約9,000万トンと推計されていますから、約3割が食べられることなく廃棄されているんです!
廃棄された食料のなかで、売れ残りや期限を超えた食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの、いわゆる「食品ロス」は約632万トンと推計されています。
世界各地で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量は、平成26年推計で年間約320万トン。日本の「食品ロス」の方が多いという状況なんですね…。
日本の食料自給率は約4割。逆に言うと、6割は輸入に頼っています。
せっかく外貨をはたいて購入してきた食料の3割を廃棄している状況に、日本政府としても警鐘を促しています。
日本の食品廃棄は流通過程と家庭がほぼ半々
発生場所 | 食品ロスとなっているもの | 発生量 |
食品メーカー | 定番カット食品や期限を超えた食品などの返品 | 約330万トン |
製造過程で発生する印刷ミスなどの規格外品 | ||
小売店 | 新商品販売や規格変更に合わせて店頭から撤去された食品 | |
期限を超えたなどで販売できなくなった在庫など | ||
レストランなどの飲食店 | 客が食べ残した料理 | |
客に提供できなかった仕込み済みの食材など | ||
家庭 | 調理の際に食べられる部分を捨てている | 約302万トン |
食べ残し | ||
冷蔵庫などに入れたまま期限を超えた食品など | ||
合計 | 約632万トン |
(データ出典:政府広報『もったいない!食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らそう』より)
日本の食品ロスは、食品メーカーや卸、小売店などの流通過程および飲食店など家庭外での発生と、各家庭での発生がほぼ半々という状況です。
食品メーカーや卸、小売店などの流通過程の問題は、食品業界の主要各社が参加する「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」にて平成23年から検討されていて、現在では賞味期限が短い日配品の取り扱いが中心に議論されています。
各家庭については、「消費期限」と「賞味期限」の違いを理解するための啓蒙活動が、消費者庁を中心に進められています。
【流通過程の対策】「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」の活動状況
最初に、食品メーカーや卸、小売店などの流通過程の対策状況の方からご紹介します。
平成23年に始まった「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」は、個別企業では解決が難しい過剰在庫や返品等に起因する食品ロスの問題を、フードチェーン全体で解決していくために立ち上げられた会議体です。
製造業・卸売業・小売業が一同に会して、年間5回程度のペースで検討を重ねています。
平成30年度は日配品のなかでもパンの余剰生産問題を中心に議論
平成30年度は日配品のなかでも、パンの余剰生産問題に焦点を当てて議論が行われています。
確かにパンの問題はかなり重要ですよね…。
日本では、自宅でパンを焼くという家庭はまだまだ少ないので、ほとんどの場合は焼いたパンを購入するということになります。
日本の伝統的な主食であるコメと比較すると、加工済みの状態で購入することになるわけですから、圧倒的に消費期限が短いという問題があるわけです。
パン・豆腐・乳製品・納豆という日配品の区分のなかでは、約2カ月間の調査期間における余剰生産発生額(約39億円)のうちパンの占める割合は約85%(約33億円)と非常に大きなウェイトを占めています。
食パンより惣菜パンの余剰生産が発生しやすい
ワーキングチームの議論では、食パンよりも総菜パンの余剰生産が発生しやすいことが指摘されています。
確かに、食パンの需要は、朝食の食習慣の一環ですから、急に増減する可能性は少ないですよね。ある程度前もって需要を予測することができるわけです。
それに対して、総菜パンは昼食とか間食の選択肢の一つ。どうしても需要が読みにくくなる部分はあるのだろうと思います。
ワーキングチームでは、販売実績(POSデータ)を小売店と情報共有すること、小売店においては朝・夕・夜・深夜の4段階での値引きの実施などで売れ残りを少なくする工夫を講じること、などが議論されています。
【家庭の対策】「消費期限」と「賞味期限」の違いを理解する
次に、家庭で出来る対策についてご紹介していきます。
家庭で出来る、食品ロス対策としては、消費者庁も呼び掛けていますが、まずは「消費期限」と「賞味期限」の違いを正しく理解することが重要です。
その上で、適切な量を消費するように心がけて行きましょう!
「消費期限」と「賞味期限」の違いを正しく理解する
賞味期限 | 消費期限 | |
意味 | おいしく食べることができる期限(best-before)です。この期限を過ぎても、すぐに食べられないということではありません。 | 期限を過ぎたら食べないほうがよい期限(use-by date)です。 |
表示 | 3か月を超えるものは「年月」で表示し、3か月以内のものは「年月日」で表示。 | 「年月日」で表示。 |
対象の食品 | スナック菓子、カップめん、缶詰、レトルト食品、ハム・ソーセージ、卵、牛乳(注)など | 弁当、サンドイッチ、生めん、総菜、ケーキなど |
(注:牛乳の期限表示は2種類あり、超高温殺菌した牛乳は長持ちするため「賞味期限」が、低温殺菌牛乳は「消費期限」が記載されます)
加工食品は、対面販売したり、容器包装に入れずに販売したりする場合を除いては、必ず「消費期限」か「賞味期限」が表示されています。
まずは「消費期限」と「賞味期限」の違いを理解することが重要です!
- 「消費期限」は、品質の劣化が早い食品に表示されている「食べても安全な期限」のため、消費期限を超えたものは食べないほうが安全です。
- 「賞味期限」は、品質の劣化が比較的遅い食品に表示されている「おいしく食べられる期限」であり、それを超えてもすぐに食べられなくなるわけではありません。賞味期限を超えた食品については、見た目や臭いなどで個別に判断しましょう。
- 消費期限や賞味期限は、表示されている保存の方法で保存した場合の、開封前の期限です。一度開封したら、期限にかかわらず早めに食べましょう。
この3点はぜひとも覚えておいてください!
食品ロスをできるだけ少なくするという観点からは、開封前の「賞味期限」だけを見て、「賞味期限」が過ぎていたら捨てるという行為は考え直した方が良いということですね。
食品を買う時の注意点
- スーパーに行く時間と回数を決める
- スーパーにはできるだけ一人で行く
- スーパーに行くのは空腹時を避ける(とくに独身男性)
目的は、余分な食料品を買わずに済ませることです。
普段食料品を購入するスーパーはある程度決まっているはずです。特売日とかタイムセールの時間も把握しているでしょう。(把握していない人は今すぐ把握!汗)
お買物のスケジュールを決めると、自然と予算も固まってきます。
また、スーパーにはできるだけ一人で行くというのも、多くの人が実感している買い過ぎを抑えるための知恵ですよね。
とくに独身男性の場合は、スーパーに行くのは空腹時を避けることなども注意しましょう!
外食時の食べ残しを防ぐためにはドギーバックという手段も
外食のときに、思ったよりも量が多かったり、味付けが今一つ好みでないなどの理由で、どうしても食べ切れない場合があります。
飲食店では、お客の食べ残しも食品ロスの主な原因の一つ。食べる側としても、食べ残しはできるだけ減らしたいものですよね。
食品ロス問題への議論が広まった影響もあり、小盛メニューを用意する飲食店も増えています。「食べ切れないかも?」と思ったら、積極的に活用して見ましょう。
また、量が多すぎて食べ残してしまった場合には、持ち帰りができるかどうか、お店に確認してみるのも一つの方法です。
欧米の飲食店では「ドギー・バッグ」と呼ばれる残した食べ物を持ち帰る箱や袋が用意されているのが一般的になっています。海外ドラマで良く見る、アレですね!
近年は、日本でもそうした取組を実施している地域や飲食店が徐々に増えているんです。
料理を持ち帰った場合については、食中毒など衛生面の問題については、自己責任となりますので、親しくしているお店などで「ドギー・バッグ」の利用経験を積んでみるのも良いかも知れません。
ドギーバッグ普及委員会では、自己責任で料理を持ち帰ることを店側に証明する「自己責任表明カード」の普及活動などにより、飲食店や消費者に食品衛生上のトラブルが生じないよう呼びかけを行っています。
食品ロスの現状と対策を解説!まとめ
日本の食品ロス・食品廃棄問題の現状と対策を解説しましたが、いかがでしたか?
- 日本は調達した食料の約3割、約2800万トンを廃棄しているという食品廃棄問題があります。
- 廃棄食品のうち、本来食べられたはずの食品が捨てられている、いわゆる「食品ロス」は約632万トンと推計されています。
- 食品メーカーや卸、小売店などの流通過程の食品ロス対策としては、食品業界の主要各社が参加するワーキングチームが立ち上がっています。
- 家庭での食品ロス対策としては、まずは「消費期限」と「賞味期限」の違いを正しく理解することが重要です。
- 余分な食料品を買わずに済ませること、外食時に残してしまった場合にはドギーバッグを活用する方法もあります。
日本では「もったいない」という美徳があると言われますけれど、食品ロスについて言えば、まだまだ「もったいなさ過ぎる」状態ですね…。
世界の人口増加により、食料資源が枯渇する危険性が議論されているいま、何とか食品ロスを減らす工夫をする必要があります。
何よりも、各ご家庭にとっても、お金がそれだけ無駄になっているということですから。
『お金節約.com』編集部も、外食ネタは度々取り上げているので、食品ロスの問題は他人ごとではありません。
今後の食品ロスをめぐる動きも継続的にご報告するようにします!