2019年3月29日、消費者庁は「酵素ダイエット商品」を販売している主要事業者に対して行政処分を発表しました。
酵素が含まれるサプリメントなどを飲むだけで痩せるとして、数年前から主に通販の大人気商品でしたが…。
今回の消費者庁の判断は『広告通りの効果ナシ』!
主要事業者に対して行政処分が課され、改善が求められることになりました。
消費者庁による「酵素ダイエット商品」販売事業者への行政処分について解説します!
通販の定番商品に成長していた「酵素ダイエット商品」
女性にとってダイエットは永遠に終わることが無い課題。
これまでにも、数多くのダイエット方法が世に紹介されてきましたが…。
数年前から「酵素ダイエット」という言葉を聞くことが増えてきていましたよね。
その、酵素ダイエット関連の商品に消費者庁の行政処分が課されることになりました。
いったい何が問題とされたのでしょう?
販売事業者の主張と、消費者庁の判断の両方を見てみましょう。
【販売事業者の主張】酵素を摂ると代謝が良くなる
- 人間が体内に持っている酵素は加齢とともに減少していく
- 酵素が減少すると代謝が悪くなり、肥満や肌荒れの原因となる
- そのため外から新しく酵素を補充する必要がある
- 酵素サプリ・酵素ドリンクを飲むと酵素が補充でき、代謝が回復
- 代謝が回復・改善された結果、痩せる
販売事業者によっていくつかバリエーションはありますが、酵素を補うとダイエットできるというリクツの中心部分は共通しています。
単純に言うと、放っておくと酵素は減っていく一方だから、酵素サプリとか酵素ドリンクで補充して、代謝を向上させると痩せる。
女性は「飲むだけで痩せる」という言葉に徹底的に弱いものですから…。
瞬く間に、酵素ダイエットは有名ダイエット手法の一つとして認知されるようになりました。
酵素を学術的に定義すると「タンパク質の一種で、生体の化学反応を促進する効果を持つ分子」となります。
【消費者庁の判断】合理的な根拠ナシ
一方、消費者庁の判断は、販売事業者の主張をバッサリ切り捨てています。
消費者庁では、東京の通信販売会社5社について、「飲むだけで痩せる」などの効果について、その根拠を調査。
調査対象の5社は根拠を示す資料を提出しましたが、消費者庁は『合理的な根拠を示すものとは認められない』という判断を下しました。
そもそも、酵素を体外から摂り入れることに効果があるのかどうかについては、現在でも論争が続いているものです。
肯定的な立場をとる人、否定的な立場をとる人、両者での議論が続いていますが、少なくとも現時点では、理論や手法が確立されたものでは無いということは言えるかと思います。
【消費者庁】景品表示法に基づいて再発防止などを求める措置命令
消費者庁は、酵素サプリメント・酵素ドリンクの販売事業者が行っていた広告表示は、景品表示法にて禁止されている不当な表示と判断。
商品の内容について、一般消費者に対して、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものであるという判断です。
具体的には、再発防止などを求める措置命令を行いました。
今回、販売事業者が受けたのは「行政指導」ではありません。より重く、違法行為に対して課され、法的な強制力を持つ「行政処分」です。
景品表示法に違反した事業者5社のリスト
当サイトでも、消費者保護の観点から、今回景品表示法に違反しているとして行政処分を受けた事業者5社のリストをご紹介しておきます。
措置命令で課される内容は次の3点です。
- 誤認排除措置:課された事業者は、違反の事実を新聞広告などで知らせる義務を負います。
- 再発防止:再発防止策を講じて、役員および従業員に周知徹底する義務を負います。
- 不作為:今後、同様の行為を行わない義務を負います。
今回は、すでに2社は誤認排除措置については対応済みだったため、3点セットで課される事業者と、残りの2点の義務が課される事業者に分かれています。
誤認排除措置・再発防止・不作為を命じる事業者(3社)
企業名 法人番号 代表者 |
所在地 | 設立年月 | 資本金 | 対象商品 |
ジェイフロンティア株式会社 (9011001063340) 代表取締役 中村篤弘 |
東京都渋谷区渋谷二 丁目9番9号 |
平成20年6月 | 2637万円 | 酵水素328選生サプリメント |
株式会社ビーボ (2011601017223) 代表取締役 武川克己 |
東京都港区北青山三 丁目3番5号 |
平成22年9月 | 2000万円 | ベルタ酵素ドリンク |
株式会社ユニヴァ・フュージョン (8013201016211) 代表取締役 後藤健一 |
東京都港区六本木一 丁目6番1号 |
平成21年9月 | 2000万円 | コンブチャクレンズ |
再発防止・不作為を命じる事業者(2社)
企業名 法人番号 代表者 |
所在地 | 設立年月 | 資本金 | 対象商品 |
株式会社ジプソフィラ (8080401019698) 代表取締役 寺島清太 |
東京都新宿区改代町27番地4クレスト神楽坂2F | 平成25年10月 | 300万円 | 生酵素 |
株式会社モイスト (3010601038030) 代表取締役 池田英子 |
東京都江東区亀戸一 丁目4番2号 |
平成20年12月 | 1500万円 | 雑穀麹の生酵素 |
【悲報】酵素ダイエットには効果ナシ!消費者庁が行政処分を公表!まとめ
消費者庁が、酵素サプリメントとか酵素ドリンクを販売している主要5事業者に対して、行政処分を行ったことをお伝えしましたが…。いかがでしたか?
- 酵素ダイエットはここ数年で大人気になったダイエット法です。
- 主な理屈は共通していて、加齢などによって減少する酵素を外から補うことで、代謝が高められるというものです。
- 酵素を補えば代謝が高められ、結果として痩せるという宣伝文句で、多くの酵素ダイエット関連商品が販売されています。
- 医学的な見地からは、酵素を体外から補うことに効果はあるのかについては、議論が分かれている状態です。
- 消費者庁は主要5事業者に対して「広告通りの効果無し」と判断。改善を命じる措置命令を下しました。
「〇〇だけで痩せる」という商品は、怪しい~と思ってはいても、どうしても手を出してしまう心理もあるんですよね…。
ダイエットするには、入る量を減らすことと、出る量を増やすこと、それしかないと分かっていつつも、どうにも楽な方法を探してしまいがちです。要は、付け込まれやすい領域ということなのですが。
ダイエットサプリなどを販売する通販事業者は、複数回の措置命令を受けている事業者も出始めていて(今回の対象ではモイストが2回目)、企業体質に疑念を持たれかねない状況も見られます。
消費者の心理的な弱点を狙ったものと思いたくは無いですが、適切な監視の目はやはり必要だろうと思います。
『お金節約.com』編集部では、私たち消費者がより適切な判断が出来るように、今後も消費者庁の動向をお伝えして行きたいと思います!