朝晩めっきり冷え込むようになって、風邪気味の方も多いのではないでしょうか…。
ところで、街中のドラッグストアで薬を買っても税金が安くなる!
そんな制度が導入されているのをご存知ですか?
セルフメディケーション税制として、2017年から導入されている制度です。
セルフメディケーション税制について解説します!
セルフメディケーション税制は市販薬でも医療費控除が受けられる新制度
制度名 | セルフメディケーション税制(医療費控除の特例) |
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施行日 | 2017年1月1日 |
対象の医薬品 | 1700品目(平成30年9月18日時点) |
控除の上限 | 8万8千円 |
備考 | 医療費控除のために確定申告が必要 |
セルフメディケーション税制は、ごく簡単にいうと、ちゃんと健康診断を受けている人を対象に、一部の市販薬を購入した際に所得控除を受けられるようにした制度です。
ただでさえ少子高齢化で大変な状況ですから、軽い身体の不調は、市販薬でケアすることも推奨します、それを所得控除(医療費控除)で後押ししますよ、ということですね!
軽い症状なら、病院にかからずに、市販の薬で治してもらった方が財政負担も減りますからね…。医療費の財政負担を減らしたい!というのが、国の本音でしょう。汗
セルフメディケーション税制の対象となる人
セルフメディケーション税制を利用するには、「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人」という規定をクリアしないといけないのですが…。
要約すると、ちゃんと健康診断を受けていればOKということです!正確には、次のような条件が指定されています。
- 特定健康診査(いわゆるメタボ健診)
- 予防接種
- 定期健康診断(事業主健診)
- 健康診査
- がん検診
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は、厚生労働省より指定されています。
具体的には、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を対象として、厚生労働省が2か月に一度、対象商品を更新しています。
対象となる医薬品の多くには、一般社団法人日本OTC医薬品情報研究会が定めたロゴマークが入っていますので、そちらを目印にすると良いです!
セルフメディケーション税制の対象医薬品について、詳細なリストは厚生労働省のホームページを参考にして下さい。
2018年10月時点での最新版は、2018年(平成30年)9月18日公開分です。
厚生労働省『セルフメディケーション税制対象品目一覧』
セルフメディケーション税制の医療費控除額の上限
セルフメディケーション税制の所得控除(医療費控除)上限額は、次のように定められています。
対象となる医薬品の購入費用として、年間1万2000円を超えて支払った場合、その購入費用のうち1万2000円を超える額(上限金額:8万8000円)を所得控除できる。
ちょっと分かりにくいですが、整理して考えるとこうなります。
対象薬の購入額 | 年間10万円まで適用 |
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所得控除の適用範囲 | 1万2千円を超える額 |
所得控除の上限額 | 10万円(マイナス)1万2千円=8万8千円 |
セルフメディケーション税制の減税額を試算
日本一般用医薬品連合会では、セルフメディケーション税制で実際どのぐらい税金がお得になるのか、試算値を公開しています。
所得額400万円の人が、対象医薬品を年間5万円購入した場合の例では、38,000円が課税所得から控除され、最終的に年間11,400円の減税効果があるということですね!
日本一般用医薬品連合会のホームページ上から控除額が計算できるようになっていますので、ぜひ試算して見ることをおすすめします!
日本一般用医薬品連合会『知ってトクするセルフメディケーション税制』
セルフメディケーション税制の対象薬品は実際どんなふうに販売されているの?
セルフメディケーション税制の対象医薬品が実際どういうふうに販売されているのか?
そこは気になりますよね!
いくらリストが公開されていると言っても、1つひとつチェックするのは現実的ではありませんし、ロゴも実際どんな感じなのか分かりませんし…。
これは実地調査するしかない!ということで、調べてきましたのでご報告します!
ウェルシア薬局「成田三里塚店」で調査
店舗名 | ウェルシア薬局「成田三里塚店」 |
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住所 | 〒289-1608 千葉県山武郡芝山町岩山2264-8 |
営業時間 | 09:00 ~ 00:00 |
定休日 | 無し |
店舗ホームページ | ウェルシア薬局 成田三里塚店 |
ウェルシア薬局での表示方法
ウェルシア薬局の場合は、セルフメディケーション税制の対象となる医薬品に、ロゴマークを価格の上に表示しているのでとても分かりやすいです!
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品自体にも、しっかりロゴマークは入っていますね!
主要な市販医薬品はかなりカバーされています!
ウェルシア薬局の店内をざっくり見て回った感じだと、基本的に内服薬系はかなりセルフメディケーション税制の対象品目になっています。
腰痛とか、虫刺され用の塗り薬にも対象品目が多いのには驚きました!
一方で、セルフメディケーション税制の対象品目が少ないのは、きず薬などですね。さすがにこれは病院に行くべき、ということなのでしょう。
店内の様子はこんな感じです!
もちろん対象外の医薬品もあります…。
もちろん、セルフメディケーション税制の対象外の品目もあります。
元気が出る系のお薬とか、ハンドクリームなど手荒れ用のものなどは基本的に対象外ですね。
【超重要】レシートは必ず保管してください!
セルフメディケーション税制の対象医薬品を購入したレシートは必ず保管しておきましょう!最終的に、確定申告を行うときに添付する必要があります。
ドラッグストアや薬局のレシートでは、「セ」印とか「●(黒丸)」等の表現で、セルフメディケーション税制の対象医薬品が、レシート上でも判別できるようになっています。
【超重要】最終的に確定申告が必要となります!
セルフメディケーション税制の節税メリットを受けるためには、最終的に確定申告を行う必要があります。
毎年1月1日から12月31日までを課税期間として、翌年2月1日から3月15日までが確定申告の期間となっています。
医療費控除とセルフメディケーション税制の同時利用はできません
なお、1年間(1月1日~12月31日)に自己負担した医療費の合計が10万円を超えている場合は、医療費控除を申請することができますが…。
医療費控除と、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は同時に利用することはできません!
医療費10万円が一つの境界線
病院に行った方がトク | 医療費が10万円を超えれば、医療費控除が使える |
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医薬品を買った方がトク | 10万円までの医薬品購入なら、セルフメディケーション税制が使える |
あくまでも確定申告上の節税メリットを考えるなら…。
- 治療費に10万円以上かかりそうなら、病院に行った方がお得
- 治療費が10万円以下に収まりそうなら、自分で薬を買ってケアした方がお得
という考え方もできます。
それでも、健康第一で考えるのが良いと思います!
10万円の境界線は、いちおう頭の片隅に置いておいた方が良いかな…。というぐらいのニュアンスで捉えていただければ…。
セルフメディケーション税制とは?【制度解説】まとめ
セルフメディケーション税制について解説してみましたが、いかがでしたか?
- セルフメディケーション税制は、2017年1月1日から実施されている新制度。
- 健康診断などを受けていれば、確定申告で自分で買った市販薬が所得控除(医療費控除)の対象となります。
- セルフメディケーション税制の対象医薬品は約1700品目です!
- 薬局で実地調査して見ると、内服薬中心にかなりの医薬品をカバーしていることが分かります。腰痛薬や痒み止めなど、塗り薬でも対象医薬品は少なくありません。
- セルフメディケーション税制を利用するには、確定申告する必要があります。レシートは確定申告の時まで大切に保管しましょう!
少子高齢化に伴い、主に高齢者の医療費も増加していますので、政府としても色々な対策を講じています。
メディケーション税制も医療費軽減施策の一環ということですね!
今回、メディケーション税制を調査してみて、家庭の常備薬のかなりの部分がカバーされていることに改めて気がつきました。
税制上は、10万円以上は病院にかかった方がお得で、10万円以下なら自分で薬を買ってケアした方がお得になる…。そう考えることもできますが…。
制度はしっかり理解した上で、でも、現実には自分の健康第一で行動してくださいね♪