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食品ロスの一因とされる「3分の1ルール」とは?セブンイレブンが即席麺で「2分の1ルール」導入

3分の1ルール
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編集長より子
編集長より子
『お金節約.com』編集長「より子」です。

売れ残りや期限を超えた食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの食品が廃棄されてしまう「食品ロス」問題。

食品ロスが発生する背景には「3分の1ルール」と呼ばれる日本独特の商習慣があります。

これは、メーカーが製造日から賞味期限までの最初の3分の1の期間内に小売店に納品しなければならず、期限を過ぎると返品できるという慣習なのですが…。

ところが、セブンイレブンでは8月から即席麺分野で「2分の1ルール」に変更する方針を打ち出し、話題となっています。

食品ロスの一因とされる「3分の1ルール」について解説します!

「3分の1ルール」から「2分の1ルール」への動き

「3分の1ルール」は、もともとは鮮度が高い商品を消費者に提供しようとする流通業の動きでしたが、食品ロスの一因ともされるなど、弊害も目立ってきています。

まずは、「3分の1ルール」とはそもそも何なのか、説明しますね。

「3分の1ルール」は日本固有の商慣習

「3分の1ルール」とは、食品メーカーは、製造日から賞味期限までの最初の3分の1の期間内に小売店に納品しなければならないとする、日本固有の商習慣です。

例えば、4月10日製造、10月10日賞味期限の商品の場合で説明すると…

  1. メーカーは「3分の1」期限の6月10日までに小売店に納品
  2. 小売店はさらに「3分の1」が過ぎる8月10日までに販売

現状このような期限が切られているんです。メーカーは、売行きが伸びないなどの理由で、製造から賞味期限までの3分の1の期間が過ぎてしまうと(この例では6月10日を過ぎてしまうと)、小売店に商品を受け入れてもらうことができず廃棄するしかありません。

まだ食べられるものを廃棄してしまう「食品ロス」の要因の一つとして、これまでも問題視されてきました。

セブンイレブンでも、2014年11月から全店における飲料全品、菓子の一部について納品期限を3分の1から2分の1に変更。これを「2分の1ルール」と呼んでいます。

「2分の1ルール」のもとでは、この商品の例でいうと、7月10日まで小売店に納品ができることになり、条件が緩和されるわけです。

セブンイレブンが「2分の1ルール」を即席麺に導入

セブンイレブン

2019年4月10日、セブンイレブンジャパンは、8月から「2分の1ルール」を即席麺にも導入する方針を明らかにしました。

セブンイレブンでは、2018年3月~8月に北海道でカップラーメンを対象に「2分の1ルール」の実証実験を行いましたが、検証の結果、全店舗への拡大が可能と判断。

2019年2月15日からは、北海道で、全加工食品を対象に「2分の1ルール」を適用する実験も開始していて、問題が無ければ全国・全店舗への拡大も視野に入れているということです。

スーパーの対応も進んでいますが…

「3分の1ルール」から「2分の1ルール」へ変更する動きは、コンビニだけでなくスーパーでも現れ始めています。

消費者の側でも、コンビニとスーパーでは賞味期限についての考え方がちょっと違ってくると思いますので、そこがポイントになってきそうです。

消費者が購入した時点での賞味期限までの日数は短くなる

製造から賞味期限までが6カ月、180日の商品で「2分の1ルール」が適用されると、流通各段階での猶予期間(=賞味期限残期間)はこの図のようになります。

メーカーから小売店への納品期間は、3分の1の60日から、2分の1の90日に長くなります。小売店での販売期間は、現行通り3分の1の60日を想定。

この結果、消費者が購入した時点で、賞味期限が1か月ある状態となります。

非常に単純化して言うと、消費者が購入した時点での賞味期限の残期間は、「2分の1ルール」が適用されると短くなる可能性が高いということなんですね。

コンビニで購入する場合は、消費者の気持ちとして「すぐ食べる」方向性が強いと思いますが、スーパーでの買い物はストック用というケースも少なくないはずです。

消費者側の意識の持ち方も、ポイントになってきそうです。

大手スーパーのヤオコーは「2分の1ルール」を導入

流通経済研究所の試算によると小売全体が2分の1ルールを導入すれば飲料と菓子だけでも約90億円分の廃棄を減らす効果が見込めるという。
(出典:日本経済新聞 2019年4月24日付)

大手スーパーのヤオコーでは、4月から原則として全ての加工食品で「2分の1ルール」を導入。

ヤオコーだけでなく、イオン系のマルエツや光洋でも「2分の1ルール」の導入を検討しているということです。

イオン系のスーパーで導入されると、影響は大きいと思われます。「2分の1ルール」が新しい標準的な商慣習として定着していくことになるかも知れません。

食品ロスの一因とされる「3分の1ルール」とは?まとめ

食品ロスの一因とされる「3分の1ルール」について、変更の動きがあることをお伝えしてきましたが、いかがでしたか?

今回紹介したこと
  • 日本の食品流通業界には、メーカーが製造日から賞味期限までの最初の3分の1の期間内に小売店に納品することを求める「3分の1ルール」という商慣習があります。
  • 「3分の1ルール」のもとでは、期限を過ぎた商品は小売店に受け入れてもらえずメーカー廃棄となり、食品ロスの一因ともなってきました。
  • 食品ロス問題が社会問題化するにつれて、「3分の1ルール」から「2分の1ルール」に緩和しようという動きがあります。
  • 2019年4月10日、セブンイレブンジャパンは、8月から「2分の1ルール」を即席麺にも導入する方針を明らかにしました。
  • スーパー業界でも「2分の1ルール」の導入は広がってきています。ヤオコーの導入に続き、イオン系スーパーでも検討中です。

コンビニは、基本的に「その時に必要なものを購入する場」ですから、「2分の1ルール」に全面的に変更しても大きな影響は無いように思います。

やはり問題はスーパーだと思うんですよね…。

特売で買いだめするゾ!というとき、賞味期限をしっかりチェックして、より長いものをカゴに入れているという人も少なくないと思います。

スーパー側も、食品ロスに対応しようとする積極的な姿勢を示すことで、消費者に歓迎される結果となるのか?

それとも、ごく僅かではありますけれど、消費者側の条件悪化と捉えられて敬遠される結果になるのか?

現時点ではかなり微妙な気もします…。

小売全体で「2分の1ルール」を導入していくためには、社会全体で食品ロス問題についての理解をもっと深める必要があるように思います。

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