2019年5月14日、文化庁は、仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥・古市古墳群が、国連教育科学文化機関の諮問機関より世界遺産への登録勧告を受けたことを発表。
6月に開催される世界遺産委員会で正式に登録が決まる見通しが強まってきました!
百舌鳥・古市古墳群の中心は、何と言っても仁徳天皇陵古墳です。
あまりにも大き過ぎるが故に、どこをどう見たらよいのか分からないとも言われる仁徳天皇陵古墳…。
早速現地に飛び、仁徳天皇陵古墳の観光ポイントと所要時間を確認してきました!
仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥・古市古墳群が世界遺産候補に
世界遺産とは、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて世界遺産リストに登録されたものです。
世界遺産に登録されると周辺地域の観光振興につながるケースが多く、世界各地で国や自治体が、登録を目指して活動しています。
仁徳天皇陵古墳もその一つで、政府や地元の大阪府堺市が協力して世界遺産登録への動きを進めてきました。
仁徳天皇陵古墳の基本情報
正式名称 | 百舌鳥耳原中陵(もずのみみはらのなかのみささぎ) |
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天皇名 | 仁徳天皇(にんとくてんのう) |
陵形 | 前方後円墳 |
所在地 | 大阪府堺市堺区大仙町 |
宮内庁ホームページ | 仁徳天皇 百舌鳥耳原中陵 |
仁徳天皇陵古墳は、宮内庁の正式名称としては「百舌鳥耳原中陵」と呼ばれています。百舌鳥古墳群を構成する古墳の1つで、日本最大の古墳です。
前方後円墳という、円と四角を合体させた日本独自の形をしているのが大きな特徴で、教科書にも載っていましたよね。前方後円墳と言えば、仁徳天皇陵古墳を思い浮かべる人も多いでしょう。
大阪府堺市の観光ガイドでは「クフ王ピラミッド、始皇帝陵と並ぶ世界3大墳墓」と紹介されていますが、実際に誰が埋葬されているのかは明らかでないという学説もあります。
歴史的な伝承などから、宮内庁では第16代天皇、仁徳天皇の陵墓として管理していて、そのため一般に仁徳天皇陵と呼ばれているんですね。
今回の世界遺産登録の動きの中でも、宮内庁が陵墓として管理していることを踏まえて「天皇陵古墳」としています。
百舌鳥・古市古墳群を世界文化遺産としてイコモスが登録勧告
世界遺産は、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つ文化財、景観、自然などが対象となりますが、世界文化遺産と世界自然遺産の2つに分かれます。
各国の担当政府機関は、まず世界遺産の暫定リストに候補案件を登録。そのなかから、準備の整ったものを諮問機関に推薦します。仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥・古市古墳群については、2017年に日本国内での推薦が決まっていました。
各国から推薦されたものを、ユネスコ世界遺産センターが諮問機関に評価依頼を行うのですが、諮問機関は世界文化遺産と世界自然遺産で異なります。
世界文化遺産については国際記念物遺跡会議(ICOMOS:イコモス)が、世界自然遺産については国際自然保護連合(IUCN:アイユーシーエヌ)が世界遺産に値するかどうかの評価を行います。仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥・古市古墳群については、この評価段階が終わり、世界遺産として妥当であるという登録勧告が行われました。
最終的には、2019年6月30日~7月10日にアゼルバイジャンのバクーで開かれる国際連合教育科学文化機関(UNESCO:ユネスコ)の世界遺産委員会にて審議され、世界遺産として正式に登録されることになります。
百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録される可能性は非常に高い
仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥・古市古墳群については、現時点で、国際記念物遺跡会議(ICOMOS:イコモス)による世界遺産への登録勧告を受けたという状況です。まだ世界遺産では無いのですが…。
イコモスの登録勧告を受けたものが、最終的な世界遺産リスト登録に至らなかったケースは、2000年代にはいくつかの事例が見られるものの、ここ10年ほどは皆無で、全て登録に至っています。
過去の事例を見ると、仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録される可能性は極めて高いと言って良いでしょう!
ほぼこれで世界遺産への登録が決まったと思われる状況だけに、非常に大きなニュースになったのですね。
仁徳天皇陵古墳が見える場所ベスト5
世界遺産への登録勧告が行われたことが公表され、ますます注目が集まる仁徳天皇陵古墳。
仁徳天皇陵古墳を十分堪能したい!そう考えているなら、次の5つのスポットがおすすめです。
- 仁徳天皇陵古墳正門
- 堺市博物館の仁徳天皇陵古墳VRツアー
- 堺市役所21階展望ロビー
- JR百舌鳥駅南側の陸橋の上
- 永山古墳南側の陸橋の上
満足度・優先順位は、この順番の通りになります。
仁徳天皇陵古墳がある大阪府堺市の観光ガイドでは肉眼で見るスポットとして、③堺市役所21階展望ロビー、④JR百舌鳥駅南側の陸橋の上、➄永山古墳南側の陸橋の上、3か所が紹介されています。
今回はこの3か所を含めて、リストの5か所をすべて実際に見たうえで「仁徳天皇陵古墳が見える場所ベスト5」を選んでみました。
①仁徳天皇陵古墳正門
仁徳天皇陵古墳正門は、最優先に訪問すべき場所と言って良いでしょう。
仁徳天皇陵古墳は、宮内庁管理のため内部に入ることはできないのですが、仁徳天皇陵古墳正門では最も墳丘に近づくことができ、二重濠の外側堰堤まで入ることができます。
実際に古墳を訪問したという実感・満足感を得るには仁徳天皇陵古墳正門に行くしかありません。他は、仁徳天皇陵古墳を遠くから見るだけのスポットとなってしまいますから…。
②堺市博物館の仁徳天皇陵古墳VRツアー
仁徳天皇陵古墳正門に隣接する大仙公園内には、堺市博物館があります。堺市博物館で最も注目すべき展示イベントが「仁徳天皇陵古墳VRツアー」!!
仁徳天皇陵古墳を上空300mから撮影した様子を、VR(ヴァーチャルリアリティ)画像として上映しているのですが、仁徳天皇陵古墳全体の姿を確認することができます。
仁徳天皇陵古墳は非常に大きいために、肉眼で全体の姿を確認することは不可能なのですが、堺市博物館の仁徳天皇陵古墳VRツアーでは、上空から全体の姿を眺める仮想体験ができます。
③堺市役所21階展望ロビー
堺市役所21階展望ロビーは、肉眼で全体・全景を確認することにこだわるならベストのスポットです。地上80mの市役所最上階で、360度の展望が楽しめる回廊式ロビーとなっています。
仁徳天皇陵古墳についての説明展示も多く、ゆっくりくつろげる喫茶コーナーも併設。単なる展望ロビーの域を超えて満足度が高いスポットです。
ただし、仁徳天皇陵古墳があまりに巨大なため、堺市役所21階展望ロビーからでも全体の姿をつかむことは難しいところがあるんですね…。
確かに仁徳天皇陵古墳全体の姿が確認できるのですが、率直に言うと、緑が生い茂った丘陵にしか見えません。
仁徳天皇陵古墳正門と堺市博物館の仁徳天皇陵古墳VRツアー、この2か所と合わせて訪問するのがおすすめです。
④JR百舌鳥駅南側の陸橋の上
JR百舌鳥駅南側の陸橋の上は、仁徳天皇陵古墳の最寄り駅、JR百舌鳥駅に隣接する陸橋からの観測スポットです。
仁徳天皇陵古墳が近くに見えることは確かですが、この位置からは全体の姿はまったく分かりません。
とは言っても、公共の交通機関を使って仁徳天皇陵古墳を訪問する場合は、JR百舌鳥駅を利用するケースが多くなると思います。駅に行った際に、合わせて見ておくと良いのではないでしょうか。
➄永山古墳南側の陸橋の上
永山古墳南側の陸橋の上は、仁徳天皇陵古墳の北側に位置する永山古墳との間に、大阪中央環状線(国道310号線)が通っているのですが、その国道にかかる陸橋の上からの観測スポットです。
現地に実際に行ってみましたが、候補は二か所。「永山園歩道橋」と「榎橋歩道橋」です。
永山園歩道橋の方からご紹介します。大阪府堺市の観光ガイドで指しているのは、おそらくこの場所のように思うのですが、仁徳天皇陵を近くに見ることができる、という感覚は得られませんでした。
そこでさらに、もう一つの陸橋まで移動。
榎橋歩道橋の上からは、古墳に生えている樹木はかなり間近に見ることができます。と言うか、樹木しか見えません…。
仁徳天皇陵古墳が近くに見えることは確かなのですが、この位置からも全体の姿はまったく分かりません。
仁徳天皇陵古墳の外周を徒歩で一周しようという場合などに、ルートの途中で一休みして見る観測スポットとして考えておくと良いのではないでしょうか。
仁徳天皇陵古墳の所要時間毎の観光ルート5選
仁徳天皇陵古墳を観光するのに、どのぐらいの時間が必要なのか、体感値が知りたいという人のために所要時間毎の観光ルートを考えてみました。
ただし、この時間通りに回ろうとすると、かなり急ぎ足になってしまいます。基本的に、1.5倍ぐらいの時間は見ておいた方が安全かとは思います。
①30分ならJR百舌鳥駅から仁徳天皇陵古墳正門へ
JR百舌鳥駅から仁徳天皇陵古墳正門までは、約600m、徒歩7分。歩いて往復する時間と、仁徳天皇陵古墳正門を10分ほど見て終えると考えると、これが最短時間での観光ルートかと思います。
②1時間なら堺市博物館の仁徳天皇陵古墳VRツアーを追加
①のパターンに追加して、堺市博物館の仁徳天皇陵古墳VRツアーを視聴する場合は、最短でも1時間は見ておく必要があります。
堺市博物館の仁徳天皇陵古墳VRツアーは所要時間は15分ほどですが、40分間隔での上映となるので1時間で収まるのは全てが完全に上手く進行した場合のみです。
- 10:00~
- 10:40~
- 11:20~
- 13:00~
- 13:40~
- 14:20~
- 15:00~
- 15:40~
- 16:30~
基本的にこの上映時間に合わせて動き、堺市博物館に行く途中で仁徳天皇陵古墳正門に寄っていくというパターンで無いと、1時間で済ませるのは難しいです。
実際には1時間半は見ておいた方が安全かと思います。
③2時間あれば堺市役所21階展望ロビーも回れる
①・②のパターンに追加して、タクシー移動を前提とすれば、堺市役所21階展望ロビーまで2時間で回ることも可能です。
堺市博物館から堺市役所までは、約2.5km、車で約9分の距離です。このルートを2時間以内に収めたい場合は、堺市博物館の仁徳天皇陵古墳VRツアーが終了する時間を見て、タクシーを配車しておくなどの事前準備が必要になってくると思います。
堺市役所21階展望ロビーは喫茶コーナーも併設されているので、休憩も兼ねて2時間半程度は見ておくと、より満足できると思います。
④3時間あれば仁徳天皇陵古墳の徒歩周回も可能
①・②のパターンに追加して、仁徳天皇陵古墳の周辺を、徒歩で一周しようとすると、最短でも3時間は必要になってきます。
仁徳天皇陵古墳の周辺を一回りすると、2850m、約3kmです。周囲を見ながら歩くとなると、徒歩で一周するだけで1時間は必要になるでしょう。
ただし、仁徳天皇陵古墳の周辺は完全に住宅地になるので、かなり単調な風景が続くことになります。その点はあらかじめ想定しておくと良いと思います。
➄30分で堺市役所21階展望ロビーだけ訪問する方法もある
番外編的な位置づけになりますが、堺市役所21階展望ロビーに行って、仁徳天皇陵古墳を眺めるだけという方法も無い訳ではありません。
南海電鉄の堺東駅から堺市役所までは、約300m、徒歩4分。歩いて往復する時間と、堺市役所21階展望ロビーにエレベーターで昇る時間を考慮して、展望ロビーをやはり10分ほど見て終えると考えると、30分で収まるかと思います。
おすすめコースは3時間程度の予定で①~③を巡回
おすすめコースは、3時間程度の予定で①~③を巡回することです。
- 仁徳天皇陵古墳正門
- 堺市博物館の仁徳天皇陵古墳VRツアー
- 堺市役所21階展望ロビー
この順番で回って、最後に堺市役所21階展望ロビーの喫茶コーナーで、感想などを話し合いながら休憩する。何人かで観光するなら、これが一番のおすすめコースかと思います!
一人旅などで、堺市博物館の他の展示をじっくり見たいという場合は、最初に堺市役所21階展望ロビーを訪問してしまうパターンも良いと思います。最初に全体像を見てから細部を見て回るパターンですね。
- 堺市役所21階展望ロビー
- 仁徳天皇陵古墳正門
- 堺市博物館の仁徳天皇陵古墳VRツアー
堺市博物館は、仁徳天皇陵古墳VRツアー以外の展示内容も充実していますので、こちらのパターンも満足度が高いと思います。
【観光ポイント・所要時間を完全解説】世界遺産候補となった仁徳天皇陵古墳が見える場所はどこ?まとめ
世界遺産候補となった仁徳天皇陵古墳について、観光ガイド的にまとめてみましたが、いかがでしたか?
- 2019年5月14日、文化庁は、仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥・古市古墳群が、イコモスより世界遺産への登録勧告を受けたと発表。
- 過去10年の事例を考えると、仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録される可能性はかなり高いと言えます。
- 仁徳天皇陵古墳は日本最大の前方後円墳で、観光地としても有名ですが、あまりに巨大で全体の姿を掴みにくい所があります。
- 今回、大阪府堺市の観光ガイドが奨める観光スポットを全て回ってみましたが、仁徳天皇陵古墳正門が一番のおすすめです。
- 大阪府堺市の観光ガイドが奨める観光スポットの詳細と、おすすめルートをまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみて下さい!
過去の事例を考えると、仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録される可能性は極めて高いと思われます。
2019年6月30日~7月10日にアゼルバイジャンのバクーで開かれるユネスコの世界遺産委員会で承認されれば、晴れて日本で23番目の世界遺産に!
今年の夏休みは、仁徳天皇陵古墳の周辺は大混雑となるのではないでしょうか…。
限られた時間のなかで、仁徳天皇陵古墳を最大限しっかり見るためにも、今回の観光ガイドをぜひ参考にしてみて下さい!