新型コロナウイルス感染症の対策用品として、首からぶら下げるタイプの空間除菌用品が販売されていますよね。
アレって本当に効くの?
誰でも感じる疑問かと思うのですが…。
消費者庁は、一般消費者に対して実際のものよりも著しく優良であると示す「優良誤認表示」に該当する可能性有りと判断。
2020年5月15日、販売事業者5社に対して行政指導を実施したことを公表しました。
消費者庁が『身につけるだけで空間除菌』などと表示して販売する5社に行政指導を実施したことをお伝えします。
消費者庁が『空間除菌用品』販売事業者5社に行政指導
2020年5月15日、消費者庁は、『身につけるだけで空間除菌』などと表示して、空間除菌用品を販売する事業者5社に対して行政指導を実施したことを公表。
一般消費者に対して実際のものよりも著しく優良であると示す「優良誤認表示」に該当するおそれがあるための措置ということです。
行政指導の対象となった商品
消費者庁は、携帯型の空間除菌用品(二酸化塩素を利用した空間除菌を標ぼうする商品であって、首に下げるなどして使用するものをいう。)の表示に関し、景品表示法に違反(同法第5条第1号(優良誤認表示)に該当)するおそれがあることから、5事業者に対し、再発防止等の指導を行いました。また、SNSを通じて一般消費者への注意喚起を行いました。
今回の行政指導の対象となった商品は、二酸化塩素を利用した携帯型の空間除菌用品。
首からぶら下げるタイプのものなどで、空間除菌カードなどと呼ばれて販売されています。新型コロナウイルス感染症の影響が拡大してから、あちこちで見かけるようになっているかと思います。
Amazon・楽天などでも同じような商品が多数販売されていますね…。
行政指導の対象となった事例
- 身につけるだけで、空間のウイルスを除去
- 身につけるだけで1㎥の空間除菌
- 携帯することで、オフィスや会議室などで除菌・消臭できます
- 通勤時の予防として、除菌・消臭いたします
- 電車やバスの中、各種施設の中などで、空間に浮遊するウイルス・菌・臭いを除去します
行政指導の対象となった、広告表示の事例としては上記5つの事例があげられています。
表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料がないおそれがある。
と指摘され、表示根拠として示された資料も不適切という判断です。
当該表示の根拠とされる資料は、狭い密閉空間での実験結果に関する資料であることがほとんどであり、風通しのある場所等で使用する際には、表示どおりの効果が得られない可能性があります。
つまり、限定的な環境で効果が見られたという実験結果を、拡大解釈的に商品の宣伝文句として用いていたため、一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示す優良誤認表示に該当する可能性があると判断され、今回の行政指導措置となったということですね。
二酸化塩素は空間除菌にも効果があるの?
今回の行政指導を受けた商品は、『二酸化塩素に殺菌効果があること』を殺菌効果の根拠として表示していました。
二酸化塩素に殺菌効果があること自体はその通りのようなのですが、空間除菌について効果があるのかどうか?という点は現時点で結論が出ていないように見受けられます。
二酸化塩素がウイルス除去・除菌効果をもたらす仕組み
二酸化塩素は、酸化作用によりウイルス・細菌のタンパク質を変化させることが確認されているということです。
ウイルス、細菌の構造が変わることで、その機能が低下すると考えられていて、この作用をもってウイルス除去・除菌効果があるとされているのですね。
二酸化塩素除菌の仕組みについては、社団法人日本二酸化塩素工業会の解説が参考になると思いますので、次のリンクにてご紹介しておきます。
二酸化塩素を利用した製品には過去にも同様の事例が
二酸化塩素の効果を利用した、ウイルス除去・除菌製品にはさまざまなタイプのものが販売されていますが、過去にも同様の行政指導が行われています。
最も有名な製品は、大幸薬品が発売している『クレベリン』ではないかと思いますが、2014年に大幸薬品を含む17社に対して、消費者庁が今回と同様の優良誤認表示のおそれがあることを指摘、行政指導が行われた経緯があります。
二酸化塩素の効果を利用した製品については、少なくとも、これまで複数回に渡って販売事業者が消費者庁から行政指導を受けた事実があり、そのなかには最も有名なブランドの商品も含まれていたことは知っておいた方が良いように思います。
消費者庁が『身につけるだけで空間除菌』などと表示して販売する5社に行政指導を実施【まとめ】
消費者庁が『身につけるだけで空間除菌』などと表示して、二酸化塩素の効果を利用した「携帯型の空間除菌用品」を販売する5社に行政指導を実施したことをお伝えしました。
- 新型コロナウイルス感染症の対策用品として、首からぶら下げるタイプの除菌用品が販売されていますが…。
- 2020年5月15日、消費者庁は、一般消費者に対して実際のものよりも著しく優良であると示す「優良誤認表示」に該当する可能性があると判断。
- 販売事業者5社に対して、消費者の誤解を招くことが無いよう、表示内容を改めるよう行政指導を実施したことを公表しました。
- 今回の行政指導は、限定的な環境で効果が見られたという実験結果を、拡大解釈的に商品の宣伝文句として用いたことに対する指導措置です。
- 二酸化塩素の効果を利用した、ウイルス除去・除菌製品にはさまざまなタイプのものが販売されていますが、過去にも同様の行政指導が行われた経緯があります。
二酸化塩素にはウイルス除去・除菌効果があるとされますが…。
これまで複数回に渡り販売事業者が消費者庁から行政指導を受けている事実を考慮すると、誇大広告・便乗商法の温床となりやすい素地があるように感じます。
常識的に考えて、
あやしい商品は避ける
ということに尽きるのではないでしょうか。