感染症対策として家庭で消毒しようとしても、消毒用アルコールはどこも品薄状態…。
厚生労働省では、消毒用アルコールが無い場合、次亜塩素酸ナトリウム液で代用できることを紹介しています。
市販の塩素系漂白剤からつくることができるということで、これは取り組んでみなくてはと思ったわけです。
ハイターで次亜塩素酸ナトリウム液を作ってみた体験レポートです!
【確認】次亜塩素酸ナトリウム液の有効性について
「ハイターから消毒液を作る」という体験談が、しばらく前から話題になっていますけれども、実際に効果があるものなのかどうかが気になりまして…。
手始めに、次亜塩素酸ナトリウム液が消毒用に有効なものなのかどうか、まずは公的なエビデンスを調査してみることにしました!
厚生労働省と経済産業省が『次亜塩素酸ナトリウム液』の効果を共同で広報
厚生労働省と経済産業省は、次亜塩素酸ナトリウム液の消毒効果を共同で広報しています。
ハイターなど家庭用の塩素系漂白剤から次亜塩素酸ナトリウム液を作る方法も紹介されていて、多くの場合はココが出典になっていると思います。
厚生労働省と経済産業省のなかでは、次亜塩素酸ナトリウム液について一定の限定的な用途での使用が推奨されていることには注意した方が良いです。
- 一般的な手洗いは石けんやハンドソープを用いる
- 食器・手すり・ドアノブなどの消毒には次亜塩素酸ナトリウム液も活用できる
という使い分けが示されています。詳しくは次のリンクを参照してください!
『次亜塩素酸ナトリウム液』と『次亜塩素酸水』との違い
先ほどの厚生労働省と経済産業省の資料では、ハイターなど家庭用の塩素系漂白剤から作ることができるものを次亜塩素酸ナトリウム液と呼んでいます。
ここでちょっとややこしい話ですが、消毒を目的とした主成分が同じものに、次亜塩素酸水と呼ばれるものがあるんですよね…。次亜塩素酸水は、2002年に食品添加物としても認められています。
次亜塩素酸ナトリウム液と次亜塩素酸水は、ともに次亜塩素酸により消毒効果を得るものですが、次亜塩素酸水と呼ばれるためには、JIS規格に定められた専用の生成装置から作られたものである必要があります。
次亜塩素酸ナトリウム液と次亜塩素酸水は、基本的に別のものとなります。
『次亜塩素酸水』は手指の消毒にも使えるの?
JIS規格に定められた専用の生成装置から作られた次亜塩素酸水について、手指の消毒に使えるのかどうかについては、国会での質疑にて政府見解が示されています。
4月10日時点での政府見解としては、『手指の消毒に活用することについての有効性が確認されていない』ということです。
この点は、厚生労働省と経済産業省が示している資料との整合性も取れていますね。
【続報】『次亜塩素酸ナトリウム液』と『次亜塩素酸水』の有効性の違い
2020年5月29日、製品評価技術基盤機構(NITE)は、「次亜塩素酸水」について「現時点では新型コロナウイルスへの有効性は判断できない」との中間結果を公表しています。
NITEは、次亜塩素酸ナトリウム液が消毒対策として有効であることは前提として議論しつつも、消毒目的で販売されている「次亜塩素酸水」製品については判断を分けています。
また、報告書の中では、特に「次亜塩素酸水」を噴霧することは推奨できない点も強調されています。空間除菌を謳う製品には要注意ということですね…。
詳しくは次の記事を参考にしてください。
ハイターで次亜塩素酸ナトリウム液を自作!
ここからは、ハイターで次亜塩素酸ナトリウム液を作る流れをレポートしますね。
準備したものは3点です。
- 衣料用ハイター
- 1リットル入りからペットボトル
- 500ml容量の霧吹き
最初にハイター公式サイトの情報からお伝えします。
【作り方】花王の公式サイトを参照
ハイターの製造販売元、花王の公式サイトでは、ハイターから次亜塩素酸ナトリウム液を作る方法を掲載しています。
花王の公式サイトを見ると、ハイターの次亜塩素酸ナトリウム濃度は、製造から時間が経過するにつれて薄まっていくことが分かります。購入日には要注意!ということですね。
その他、主な注意事項は次の通りです。
- 衣料用の「ハイター」と台所用の「キッチンハイター」どちらでもOK
- 主成分である次亜塩素酸ナトリウムは、常温保管でもゆっくり分解が進む
- 購入から3年以上経過した製品は使用を推奨できない
- 非常にアルカリ性の高い製品であり、取扱には十分注意が必要
- 薄めた液をスプレー容器に入れて噴霧することは推奨できない
今回は霧吹きを用意しましたが、直接噴霧する目的では無く、タオルとかティッシュに吹きかける湿らせるモトのボトルとして使う方向で考えました。
【材料購入】衣料用ハイターの方が安価
花王の公式サイトでも、衣料用の「ハイター」と台所用の「キッチンハイター」どちらでも次亜塩素酸ナトリウム液をつくるためには問題無いということで、安い方はどちらか調査。
近所のスーパーのお値段を見ると、10円ほど衣料用ハイターの方が安価なことが判明!
今回は衣料用ハイターを利用して見ることにしました。
ハイターから次亜塩素酸ナトリウム液を作るのは非常に簡単
ここからは、ハイターから次亜塩素酸ナトリウム液を作る実際の流れを、写真を中心に解説します。
一番気を付けるのはハイター原液の取り扱いです!
※撮影用に置いていますが、実際にはキャップもボトルも、それぞれ手持ちした方が安定して注げるはずです。
今回素手で取り扱ってしまったのですが…。汗
※ご自分でトライする際には、ゴム手袋などを使用することをおすすめします!
ちょっと前でもご説明しましたが、メーカーの花王でも、ハイターから次亜塩素酸ナトリウム液を作る場合、スプレー容器に入れて噴霧することは推奨しないと明記しています。
とは言え、このままでは量の調節が難しいこともありまして…。
噴霧する目的では無くて、タオルとかティッシュとかに吹きかけて湿らせるモトのボトルとして、霧吹容器を利用することにしました。
自分で作ってみて改めて気がつきましたが、ハイターから作った次亜塩素酸ナトリウム液はほぼ完全に無臭です。
飲料用の水と全く判別がつかないので、ハイターから作った次亜塩素酸ナトリウム液を入れたボトルには何かしらマークを付けて誤飲防止策を図った方が良いです!
最後にご注意ですが、ハイターなど塩素系漂白剤は、酸性用液と混ぜると非常に危険です。いわゆる『まぜるな危険』というアレですが、下記リンクは必ず読んでおくことをおすすめします!
【体験レポート】花王のハイターで消毒用『次亜塩素酸ナトリウム液』を自作してみました!【まとめ】
花王のハイターで次亜塩素酸ナトリウム液を作る流れを体験レポートしてみました!
- 感染症対策として家庭で消毒しようとしても、消毒用アルコールはどこも品薄状態ですが…。
- 厚生労働省では、消毒用アルコールが無い場合、次亜塩素酸ナトリウム液で代用できることを紹介しています。
- ハイターから作ることができる次亜塩素酸ナトリウム液は、次亜塩素酸水とは厳密には異なるものです。
- 次亜塩素酸ナトリウム液の使用用途としては、身近なモノの消毒に用いることが推奨され、手指の消毒用途としては推奨されません。
- ハイターから次亜塩素酸ナトリウム液を作ることは非常に簡単ですが、十分気を付けて作業を進めて下さい!
ハイターから作った次亜塩素酸ナトリウム液は、身の回りのモノを消毒する用途には十分活用できることが、厚生労働省・経済産業省の広報資料でも示されています。
消毒効果について、公的機関のお墨付きがついているのは安心できる点ですよね。
ハイターから次亜塩素酸ナトリウム液を自作すると、消毒液としてのコスパも非常に良いこともメリットの一つかと思います。
ただし!自分で作る場合には、注意点も忘れないようにしてくださいね!
- 肌や目に付着しないように十分に注意!
- 酸性溶液と絶対に混ぜない!
- 誤飲防止対策も忘れずに!
色々工夫を重ねて、この困難な時期を乗り越えて行きましょう!