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道路交通法の改正で「ながら運転」厳罰化!危険行為につながると反則金では救済されないので注意!

改正道路交通法
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編集長より子
編集長より子
『お金節約.com』編集長「より子」です。

2019年5月28日、改正道路交通法が、衆院本会議で可決・成立しました。今回の法改正の軸は2つあります。

1つは運転中にスマートフォン・携帯電話を使う「ながら運転」の厳罰化。

もう1つはシステムに運転を任せる自動運転「レベル3」実用化に向けた法整備です。

どちらも私たちの生活に大きな影響を与える可能性があるものですが、とくに「ながら運転」の厳罰化の影響は大きいと思われます。

5月28日に衆院本会議で可決・成立した「改正道路交通法」について解説します!

道路交通法は一般市民に最も身近な「行政刑法」の一つ

道路交通法は、自動車とかバイクを運転して道路を走行する際に守らなければならない法律です。運転免許を取得する時には、教習所で必ず習うものですね。

道路交通法は、行政法規における義務違反に対して刑罰を科す行政刑法の代表例でもあります。道路交通法に違反して反則金を払った経験がある人も少なくないのでは…。

私たち一般市民も、違反すると反則金を支払わなくてはならないということもありますし、何より安全運転のためにも、道路交通法の改正状況を把握しておくことは重要です!

近年は毎年のように法改正が実施

改正年 代表的な改正内容
2000年 チャイルドシートの使用義務化
2002年 酒酔い運転、酒気帯び運転の罰則強化
2004年 走行中の携帯電話等の使用の罰則強化
2005年 バイクの高速道路での2人乗り解禁
2006年 駐車違反取締りを民間委託・放置違反金制度の導入
2007年 飲酒運転に対する罰則の強化、救護義務違反(ひき逃げ)に対する罰則の強化
2008年 後部座席のシートベルト着用義務化
2009年 高速・自動車専用道でのあおり行為(車間距離保持義務違反)の罰則強化
2012年 転回禁止の規制場所を除いて、右折矢印信号での転回(Uターン)が可能に
2014年 運転に支障を来す疾患の運転免許証の取得・更新時の虚偽申告に対する罰則化
2015年 自転車の交通違反について、罰則規定の強化
酒気帯び運転等の交通事故で人を傷つけた場合も、運転免許の仮停止の対象に
2017年 高齢運転者対策の強化
2019年 走行中の携帯電話等の使用(ながら運転)の罰則強化

道路交通法も、昔は、ヘルメット義務化とかシートベルト義務化とか、数年に一度の改正だったのですが、1990年代からほぼ毎年のように改正される状況になってきています。

2000年以降の主な改正内容を表にしてみましたが、基本的には飲酒運転に対しての罰則が継続して強化されていることが目立ちます。

自転車走行に対する法規制の強化とか、高齢運転者対策の強化も時代の流れですね。

運転免許の更新時には、道路交通法の改正内容についての講習が行われますが、更新間隔は3~5年に一度ですから、最近の改正内容は把握していない場合もあると思います。

おおきな流れはぜひ把握しておいてください!

「罰金」と「交通反則通告制度」の違い

罰金 告知書(通称:赤切符)、重大な交通違反が対象
交通反則通告制度 交通反則通告書(通称:青切符)、6点未満の軽微な交通違反が対象

道路交通法に違反した場合、比較的軽微なものについては、反則金の納付によって刑事訴追を回避できる「交通反則通告制度」が運用されています。

具体的には、違反点数6点以下が対象です。指定期日までに反則金を納付すれば、刑事訴追を受けることはありません。交通反則通告書は青色であることから、通称「青切符」と呼ばれています。

より重大な違反については「交通反則通告制度」の対象外となり、刑事訴追を回避することができません。この場合に渡される告知書は赤色であることから、通称「赤切符」と呼ばれています。

  • 告知書「赤切符」:刑事罰に該当する、前科が付く
  • 交通反則通告書「青切符」:反則金納付で刑事訴追を回避できる

法的な対応はこのように分かれますが、現行の交通違反の点数一覧を見ると、時速50km以上の速度超過、無免許運転、酒気帯び運転、酒酔い運転などは、いずれも違反点数6点を大きく超えていて「交通反則通告制度」の対象とならないことが分かります。

令和元年「改正道路交通法」の骨子は2つ

道路交通法は頻繁に改正が繰り返される代表的な法律の一つですが、今回の法改正の軸は2つあります。

  1. 運転中にスマートフォン・携帯電話を使う「ながら運転」の厳罰化
  2. クルマに運転を任せる自動運転「レベル3」実用化に向けた法整備

それぞれ順に解説しますね!

「ながら運転」の厳罰化の内容を解説

改正後 交通反則通告制度 罰則内容
スマホ利用(保持) 適用 6か月以下の懲役、または10万円以下の罰金
危険行為を発生 適用しない 1年以下の懲役、または30万円以下の罰金

現状でも「ながら運転」は違反行為なのですが、「交通反則通告制度」の対象となる行為で、罰則内容も5万円以下の罰金(現状)ですから、大幅に厳罰化されることになります。

運転中に「スマホ利用(保持)」した場合は反則金が最大2倍

自動車若しくは原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転する場合において、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置を通話のために使用し、又は当該自動車等に持ち込まれた画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を中止する行為をした者
(出典:警察庁『第198回国会(常会)提出法案 道路交通法の一部を改正する法律案』より)

こちらが運転しながらスマホをいじる「ながら運転」の定義です。これまでも「交通反則通告制度」の対象となる行為でしたが、その反則金の限度額を引き上げるということです。

運転中に「危険行為を発生」させた場合は反則金では済まず刑事罰を適用

道路における交通の危険を生じさせる行為をした者に対する罰則を引き上げる(中略)この行為を交通反則通告制度の対象となる販促行為から除外することとする。
(出典:警察庁『第198回国会(常会)提出法案 道路交通法の一部を改正する法律案』より、一部加筆)

「ながら運転」により交通の危険が生じた場合には、「交通反則通告制度」に違反した場合に課される青切符では済まないということです。

「ながら運転」により、交通の危険が生じた場合には、告知書「赤切符」が適用され、刑事罰に該当する、前科が付くということなんです!

6カ月以内に法施行ということですから、12月までには「ながら運転」厳罰化の規定が施行されることになります。

自動運転「レベル3」実用化に向けた法整備

レベル 自動化の内容
ハンドル操作か加速・減速のいずれか
ハンドル操作と加速・減速
条件付きで全ての操作。緊急時は人間が関与
一定の環境下で人間の関与なく走行
全ての運転を自動化

今回の改正道路交通法では、自動運転システムを指す「自動運行装置」に関する規定が新設されました。「レベル3」の自動運転実用化に向けた法整備の一環と評価されています。

先に成立した改正道路運送車両法と合わせ、システムに運転を任せる「レベル3」の実用化に向けた法整備が完了した。
(出典:日経新聞 2019年5月29日付『自動運転へ法律整う 公道でレベル3、事故責任は課題』より)

新設された規定は大きく2つです。

  1. 自動運転システムの使用条件(速度や天候、時間帯など)から外れた状況で、運転を任せることを禁止すること
  2. 事故などが生じた場合に備えて、走行データを記録装置で残すように義務付けること

禁止事項と義務条件を明確化することによって、「レベル3」の自動運転の姿を法的に定めたということですね。

日本政府のロードマップでは、2020年をめどに高速道路で「レベル3」の自動運転を実用化、交通量の少ない過疎地などに限定して「レベル4」の導入を目標としています。

「レベル3」の自動運転が実用化されるだけでも、とくに高齢者の移動などに際しては、非常に役に立つはずです。進展を期待したいですね!

道路交通法の改正で「ながら運転」厳罰化!危険行為につながると反則金では救済されないので注意!まとめ

5月28日に衆院本会議で可決・成立した「改正道路交通法」について解説してきましたが、いかがでしたか?

今回紹介したこと
  • 2019年5月28日、改正道路交通法が衆院本会議で可決・成立。
  • 改正道路交通法の軸の1つは、運転中にスマートフォン・携帯電話を使う「ながら運転」の厳罰化です。
  • 運転中に「ながら運転」すると、交通反則通告制度の対象となり、6か月以下の懲役、または10万円以下の罰金が課されます。
  • 「ながら運転」が危険行為につながった場合は、反則金では救済されず、1年以下の懲役、または30万円以下の罰金が課されます。
  • もう1つの軸はシステムに運転を任せる自動運転「レベル3」実用化に向けた法整備です。

運転中にスマートフォン・携帯電話を使う「ながら運転」が問題なのは、危険行為につながるからなのですが、実際に危険行為つながった場合、今後は反則金では救済されません。

「ながら運転」による危険行為が、即、刑事罰化される影響は少なくないはずです。

それだけ「ながら運転」による危険性が社会問題化しているということですから、運転している時はスマホを操作しないことを今まで以上に気を付けましょう。

ドライバー全員が気をつければ、もっと安全で快適な車社会になるはずですから!