1年ほど前のことですが…。
日本から出国するときにかかる税金、出国税についての議論があったのを覚えていますか?
その出国税(国際観光旅客税)が、2019年1月7日からいよいよ徴収開始されます。
航空券発券時に航空運賃などと合わせて1人あたり、1000円の負担増に!
もう航空券を購入しているけれどどうなるの?キャンセル時の対応は?
など、分からないことも多いですよね…。
今回は、出国税(国際観光旅客税)の適用ルールなどについて解説します!
出国税(国際観光旅客税)は出国時にかかる税金
出国税(しゅっこくぜい)の正式な名前は『国際観光旅客税』、その名の通り、海外旅行などのために国を出国する際にかかる税金です。
2017年(平成29年)12月22日に閣議決定された、「平成30年度税制改正の大綱」のなかに盛り込まれていて、法制度化されて、いよいよ2019年1月7日から実施に。
2019年1月7日から徴収開始と言われても!いつ決まったの!?
そう思ってしまう人も多いでしょうけれど、1年前からの既定路線なんですね…。
出国税(国際観光旅客税)の概要
名称 | 国際観光旅客税 |
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原案 | 平成29年12月22日閣議決定「平成30年度税制改正の大綱」 |
根拠法 | 平成30年2月2日閣議決定「外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案」 |
納税義務者 | 船舶又は航空機により出国する旅客 |
税率 | 出国1回につき1,000円 |
適用時期 | 平成31年1月7日(月)以後の出国に適用 |
徴収・納付方法 | 購入する船舶又は航空会社のチケット代金に上乗せ |
非課税対象 | ・船舶又は航空機の乗員 ・強制退去者等 ・公用船又は公用機(政府専用機等)により出国する者 ・乗継旅客(入国後24時間以内に出国する者) ・外国間を航行中に、天候その他の理由により本邦に緊急着陸等した者 ・本邦から出国したが、天候その他の理由により本邦に帰ってきた者 ・2歳未満の者 ・日本に派遣された外交官等の一定の出国については免除 |
国税庁ホームページ | 国税庁『国際観光旅客税について』 |
出国税(国際観光旅客税)は、実際の徴収方法としては、国外に出る船舶とか航空機のチケット代に上乗せされることになります。
多くの場合、国外に行く手段は飛行機になると思いますが、飛行機を利用する場合には航空券を購入の際に空港税などと同様に航空券料金に上乗せされることになります。
2019年1月7日以降は、片道1000円分だけ飛行機のチケット代が高くなると、そう考えていてOKです。
出国税(国際観光旅客税)の目的
環境整備 | ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備 |
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情報拡充 | 我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化 |
地方活性化 | 地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上 |
船舶又は航空会社(特別徴収義務者)が
出国税(国際観光旅客税)から得られた税収は、主に、表に記載した3つの分野に投入され、2020年の訪日外国人旅行者4000万人の目標達成のために活用される方針です。
税収増の規模としては、1年間の税収として500億円を見込んでいます。
参考までに、平成30年度予算額で言うと、酒税が約1兆3千億円、たばこ税が約1兆円、自動車重量税が約6600億円程度です。
日本政府は、出国税(国際観光旅客税)は、観光先進国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図るための恒久的な財源を確保するために創設された税金としていますが…。
出国税(国際観光旅客税)は、消費課税ということになりますので、国民の負担は増えるわけです。使用用途はしっかり監督して欲しいですね!
財務省『消費課税の概要』
出国税(国際観光旅客税)についての注意点
出国税(国際観光旅客税)については、いくつか注意点がありますので解説しておきますね。
基本的に、これまでに購入した航空券については追加の負担はありません。
旅行会社によっては1月7日以降出発便の場合、出国税の負担がある場合もありますが、それも支払い時の料金に含まれていますので、改めて支払う必要はありません。
これから購入する航空券には、必ず出国税(国際観光旅客税)がかかってくる、という区分になります。
出国税(国際観光旅客税)は2019年1月6日までに購入した航空券にはかからない
出国税(国際観光旅客税)は、2019年1月7日以降の出発分でも、1月6日までに航空券を購入していれば原則としてかかりません。
旅行会社のパックプランなどで購入している場合は、航空会社への代金支払いが直前になるケースもあるのですが、この場合はあらかじめ出国税(国際観光旅客税)が旅行代金に含まれています。
出国税(国際観光旅客税)は、船舶又は航空会社が「特別徴収義務者」として乗客に代わって国に納付することになりますので、一般乗客が空港で1000円を取られるというわけでは無いんですね。
LCCのキャンセル時には要注意!
ジェットスター | 手数料4,150円 |
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バニラエア | 手数料4,000円 |
ピーチ | 手数料3,240円 |
(注:空港施設使用料等の払い戻し手数料の一覧です)
出国税(国際観光旅客税)は、日本を出国する際にかかる税金ですから、航空券をキャンセルした場合には、原則として出国税(国際観光旅客税)分が返還されることになります。
JALやANAなどのいわゆるフルサービスキャリアについては、航空券のキャンセル時に、出国税(国際観光旅客税)などの諸経費部分が返還されることになるので問題はありません。
問題となるのは、LCC(格安航空会社)を利用している場合です。
LCC(格安航空会社)の中には、航空券以外の諸経費部分は、払い戻し手数料という名目や払い戻し一切不可という条件で返金を受け付けないケースがあります。
日本で比較的メジャーなLCC(格安航空会社)3社の、空港施設使用料等の払い戻しにかかる事務手数料を一覧にまとめました。
2019年1月6日時点では、表の3社のなかでは、バニラエアのみ「国際観光旅客税の払い戻し」について明記しています。
ジェットスターおよびピーチは、「空港施設使用料等」「諸税等」の払い戻し、という表現となっています。国際観光旅客税がそのなかに含まれるものと推測は出来ますが、明記はされていません。
出国税(国際観光旅客税)が2019年1月7日から徴収開始!まとめ
出国税(国際観光旅客税)が2019年1月7日から徴収開始となることについて紹介してきましたが、いかがでしたか?
- 出国税(国際観光旅客税)は、船舶や航空機で海外へ出国する際にかかる税金です。
- 出国税(国際観光旅客税)は、2019年1月7日出発便より徴収を開始。航空券代に上乗せされるかたちです。
- 出国税(国際観光旅客税)は、1回の出国につき1000円の税額となります。
- 出国税(国際観光旅客税)は、2019年1月7日以降の出発便でも、1月6日以前に支払いを済ませてあれば追加の支払いは生じません。
- キャンセル時に出国税(国際観光旅客税)が払い戻されるかについては、特にLCC(格安航空会社)については注意しましょう!
出国税(国際観光旅客税)については、やはりLCC(格安航空会社)の対応が注目されるところです。
現状の払い戻し手数料の水準だと、LCC(格安航空会社)の場合は空港施設使用料等などが比較的安い水準ということもあり、わざわざ手間をかけて請求する人は少ないと思います。
…というか、返還請求を少なくするためにわざと手数料を高めに設定している感が否めませんよね~
出国税(国際観光旅客税)は国が管轄する国税なわけですから、返還基準についても、手数料がかかるのは仕方が無いにしても、実費水準に抑えるなどの行政指導を合わせて行って欲しいと思います。
出国税(国際観光旅客税)が無駄なく活用されるよう、今後も注目していきます!