2019年3月7日、内閣府は、景気動向指数の1月の基調判断を、これまでの「足踏み」から「下方への局面変化」に引き下げました。
景気はすでに後退局面に入っている可能性が高いのでは?と、ニュースでも大きく取り上げられていますね…。
ところで、景気動向というほど畏まったものではないですが、内閣府は国民から広く「消費者マインドアンケート」の回答者を募集しているのをご存知でしたか?
少しでも国民の声を届けるための手段として有効活用したい「消費者マインドアンケート」についてご紹介します!
景気動向指数は景気に関する総合的な指標
景気とは、経済活動全体の動向のことです。
経済用語の一つなのですが、日本語で「景気」という場合には、雰囲気など数字に出来ないものも含まれていると考えられていて、外国語に訳するのが難しい言葉とも言われます。
景気には、数値として現わされる経済動向、数値では表現できない気分的な要素、この2つに分かれるということですね。
とはいえ、中心になるのはやはり数字で表現される部分です。
内閣府が毎月発表している「景気動向指数」は、景気に関する総合的な指標として使われています。
景気動向指数には「CI」と「DI」2つの指数がある
CI(Composite Index) | 景気拡大や後退の速度や程度を表す指数 |
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DI(Diffusion Index) | 経済指標のなかで景気の拡大を示す指標の割合を示す指数 |
「景気動向指数」は、景気に関する総合的な指標ですが、そのなかみは2種類あります。
もともとは、DI(Diffusion Index:ディフュージョン・インデックス)のみが使われていました。DIは、採用している経済指標のなかで、景気の拡大を示す指標の割合がどのぐらいあるのか示す指数です。好景気の波及度合いを現わすものということですね。
CI(Composite Index:コンポジット・インデックス)は、より新しい指標で、景気変動の大きさや量感を把握するためにつくられたものです。景気の良し悪しを、定量的に計測するための指標ということです。
内閣府の「景気動向指数」は、CIとDIどちらも採用していますが、現時点ではCIの方がメインとして参照されることが多くなってきています。
景気動向指数には先行指数・一致指数・遅行指数の3種類がある
先行指数 | 景気に先行して動く指数(景気の動きを予測する) |
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一致指数 | 景気とほぼ一致して動く指数(景気の現状把握に利用) |
遅行指数 | 景気より遅れて動く指数(事後的な確認に利用) |
CIとDIどちらも、先行指数・一致指数・遅行指数の3種類があります。それぞれ、私たち消費者の行動に関わるものとしては、次のような指標があてはまります。
消費者態度指数は先行指数
消費者態度指数は、消費動向調査の一部として、今後半年間の「暮らし向き」・「収入の増え方」・「雇用環境」・「耐久消費財の買い時判断」を調査して数値化したものです。景気の動きを予測するための、先行指数のひとつです。
商業販売額は一致指数
商業販売額は小売業と卸売業の2つに分かれますが、どちらも1か月の商業販売額を指す指標で、景気とほぼ一致して動く指数です。景気の現状把握に利用される、一致指数の代表的なものです。
消費者物価指数は遅行指数
こちらは一般に生鮮食料品を除くコアCPIが用いられますが、消費者物価指数は景気よりやや遅れて動く指数です。事後的な確認に利用される、遅行指数のひとつです。
景気動向指数平成31年(2019年)1月分(速報)の概要
先行指数 | マイナス1.3ポイント(5か月連続の下降) |
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一致指数 | マイナス2.7ポイント(3か月連続の下降) |
遅行指数 | マイナス0.1ポイント(2か月連続の下降) |
先行指数が5か月連続で下降していて、一致指数も3か月連続の下降。遅行指数にはまだ本格的な影響は見られないものの、全体として下降トレンドなことが分かりますよね。
この状況を受けて、内閣府では「景気動向指数(CI一致指数)は、下方への局面変化を示している。」と判断しています。
中国経済が減速している影響が、想定以上に現れていると言えそうです。
内閣府では「消費者マインドアンケート」も実施中
調査名目 | 調査結果 | 調査方法 |
消費動向調査 | 消費者態度指数として景気動向指数に反映 | 日本全国より8,400世帯を抽出して、調査票を配布・回収 |
消費マインドアンケート | 内閣府Webサイトに集計を発表 | インターネット上で誰でも回答できるアンケート |
内閣府が景気の把握を目的に、一般消費者を対象に行っている調査は、「消費動向調査」と「消費マインドアンケート」の2種類があります。
もっとも基礎的な調査が、「消費動向調査」。調査世帯に調査票を配布・回収して、消費者態度指数として景気動向指数に反映されています。
もう一つが、インターネット上で誰でも回答できるアンケート形式で実施されている「消費マインドアンケート」です。
内閣府では「消費動向調査」を毎月実施
内閣府では、消費者の暮らし向きに関する考え方の変化や物価の見通しなどをとらえ、景気動向の把握や経済政策の企画・立案の基礎資料とすることを目的として、「消費動向調査」を毎月実施しています。
日本全国より8,400世帯を抽出して、調査票を配布。回収したデータをまとめた調査結果が「消費者態度指数」で、先行指数の一つとして「景気動向指数」を構成する要素の一つとなっています。
調査票のサンプルが公開されていますが、これを見ると、景気の動きを予測するための調査だということが良く分かります。
内閣府の「消費マインドアンケート」は試験的に実施されているアンケート調査
内閣府が毎月発表している「景気動向指数」は、数値として現わされる経済動向の傾向ですが、景気はこれだけで判断できるものではありません。
数値では表現できない気分的・雰囲気的な要素を補完するために、内閣府では「消費マインドアンケート」も実施しています。
「消費マインドアンケート」は、「消費動向調査」よりも幅広い人々の気持ちを把握するために試験的に実施されているアンケート調査です。
「消費マインドアンケート」の回答画面を見ると、質問している項目自体は、「消費動向調査」と大きくは変わらないことが分かります。
※「消費マインドアンケート」は、原則、毎月20日を締切として調査を行っています。
内閣府では消費者マインドアンケートの回答者を募集中!まとめ
内閣府が毎月発表している「景気動向指数」と、一般消費者を対象に実施している2種類の調査を解説しましたが、いかがでしたか?
- 2019年3月7日、内閣府は、景気動向指数の1月の基調判断を「下方への局面変化」に引き下げました。
- 景気の悪化が景気動向指数にも現れてきたのではないかと危惧されています。
- 景気動向指数には「CI」と「DI」2つの指数があり、それぞれ先行指数・一致指数・遅行指数の3種類から構成されています。
- 内閣府が一般消費者を対象に行う「消費動向調査」は、消費者態度指数として景気動向指数に反映されています。
- 「消費マインドアンケート」は、より幅広い人々の気持ちを把握するために試験的に実施されているアンケート調査です。
日本政府は、1月末の段階で、景気拡大が戦後最も長い6年2カ月に達した可能性が高いとしていましたが、その実感があるかというと微妙ですよね…。
今回の景気動向指数の発表で「やはり」と思った人も多いかも知れません。
景気御判断は難しいものですが、広く国民の声を届けることができるのが、「消費マインドアンケート」。
現状どれだけ利用されているのかは分かりませんが、せっかくの発言の機会ですから、時間があったらぜひ回答してみて下さい!