2019年11月19日、日本政府がマイナポイント制度の導入時期と予算規模を固めたことが報道されました。
導入時期は、2020年9月。ポイント還元額は、上限2万円の25%、最大5000円をポイント還元するとしています。
最大5000円のポイント還元が実施される期間は、2020年9月~2021年3月までの7か月間となる模様です。
日本政府がマイナポイント制度の導入時期とポイント還元額についてお伝えします!
マイナポイント制度は消費活性化とマイナンバー普及の一石二鳥を狙った施策
マイナポイント制度は、ごく簡単にいうと次のような制度です。
- 個人番号カード(マイナンバーカード)を取得しマイキーIDを設定
- 設定したマイキーIDを、民間の提携キャッシュレス決済と紐付ける
- 紐付けたキャッシュレス決済を利用するとマイナポイントが貯まる
- マイナポイントは紐付けたキャッシュレス決済にて利用可能
個人番号カード(マイナンバーカード)とキャッシュレス決済を紐付けて、国が利用額に応じてプレミアムポイントを付与。このプレミアムポイントを『マイナポイント』と呼んでいるわけです。
マイナポイント制度については、次の記事を参考にしてください。
マイナポイント制度の導入時期とポイント還元額
2019年11月19日、日本政府がマイナポイント制度の導入時期と予算規模を固めたことが一斉に報道されました。
主な内容としては次の通りです。
マイナポイント制度の導入時期は2020年9月
マイナポイント制度の導入時期は2020年9月と報道されています。
総務省の「マイナポイント活用官民連携タスクフォース」での議論の結果は公開されていますが、そこでは2020年10月導入が示唆されていましたので、1か月導入が早まったことになります。
今年10月に消費増税対策として導入したキャッシュレス決済へのポイント還元制度が2020年6月末に終了することから、できるだけ間を開けずに前倒ししたい意向があり、2020年9月導入となったということです。
ポイント還元額は最大5000円、予算規模は2000億円
同時に、ポイント還元額は最大5000円となることも報道されています。
1人当たり最大2万円までの提携キャッシュレス決済の利用に対して、25%(5000円分)のマイナポイントを還元する方針を固めたということです。
予算規模としては、令和2年度予算に2000億円超を関連費用として計上する方向となっていることが伝えられています。
なお、ポイント還元額が最大5000円となる期間は、2020年9月~2021年3月までの7か月間です。
マイナポイント制度の方針確定までの紆余曲折
マイナポイント制度の是非については、さまざまな議論が行われています。そこに対してのコメントは差し控えるとしまして…。
『お金節約.com』編集部として気になったのは、意思決定の過程が良く分からないということでした。
ひとまず、現時点で分かったことについてはご報告しておきたいと思います。
2015年(平成27年)SMBCグループによる発案か
『マイナポイント』という言葉がインターネット上に最初に登場したタイミングを調べてみると、2015年(平成27年)5月14日、三井住友カードが自由民主党政務調査会・IT戦略特命委員会のマイナンバー利活用推進小委員会に提出している「マイナンバー制度の利活用案について」という資料に辿り着きました。
マイナンバー制度に独自ポイント『マイナ・ポイント(仮称)』を創設するという概要であり、ポイント還元をマイナンバーカードを持つ動機付けとすること、地方創成に繋がる施策であることなど、主要な骨格はほぼこの時点で見えてきているように感じられます。
2016年(平成28年)総務省によるマイキープラットフォーム構想
翌2016年(平成28年)3月24日、総務省より『マイキープラットフォーム構想の概要』が示されています。
この段階で既に、マイキーIDの方向性はほぼ固まっていたことが分かります。
2017年(平成29年)総務省「マイキープラットフォーム」の運用開始
2017年(平成29年)9月25日、総務省は「マイキープラットフォーム」の運用を開始。
実証事業として先行的に参加する東京都や千葉県東金市など33自治体で図書館など住民向けサービスに利用を始め、マイナンバーカードの普及を目指すことを表明。
マイナポイントの制度設計は「マイナポイント活用官民連携タスクフォース」
【高市早苗総務大臣】(前略)マイナポイント事業について、制度設計は「マイナポイント活用官民連携タスクフォース」で行っている。 民間のキャッシュレス事業者からは、この事業をトラブルなく実施するためには、各社のシステム開発やテストに要する期間として少なくとも6か月程度の準備期間が必要だということで、令和2年10月頃の開始が適当ではないかといった意見が多く示されたが、それでは切れ目ができてしまうので、補正予算の活用ができれば、補正予算成立後、すぐに取りかかれば9月からの開始は可能。オリンピック・パラリンピック東京大会期間中は恐らく大会開催に係る経済波及効果が見込まれる。大会は9月6日までなので、9月の頭から事業開始することができれば、国内消費を下支えできる。(後略)
(出典:令和元年第11回経済財政諮問会議「議事要旨」より)
2019年(令和元年)11月13日に開催された、令和元年第11回経済財政諮問会議「議事要旨」での高市早苗総務大臣の発言から、マイナポイントの制度設計は、総務省管轄の「マイナポイント活用官民連携タスクフォース」で進められてきたことが分かります。
この段階で、9月導入案も示されていますね。
自民党の経済成長戦略本部がポイント還元率25%(上限5000円)を提言
自民党同本部は還元率に関し、プレミアム付き商品券など過去の消費活性化策を参考に「25%とし、国民がメリットを強く実感する制度設計にする」よう要求した。普及率が10%台にとどまる同カードの利用を後押しする効果もある。19年度補正予算案に関連費用を盛り込むよう求める方針だ。
翌2019年(令和元年)11月14日、自民党の経済成長戦略本部の会合にて、マイナポイントの還元率を25%とするよう提言。
2020年9月導入案、還元率25%案が、相次いで表面化していく流れに。
最終的な決定は閣議を経て?
2019年11月19日、今回の報道が一斉に行われる運びとなりましたが、当日の午前中には定例閣議が開催されています。
閣議の議題を見る限りは、マイナポイント関連は含まれていないのですが…。
定例閣議にて何らかの決定があったのかどうかは現時点ではわかりませんでした。
マイナポイント制度は2020年9月から開始、ポイント還元額は1人あたり最大5000円とする方針!まとめ
日本政府がマイナポイント制度の導入時期と予算規模を固めたことについてお伝えしましたが、いかがでしたか?
- 2019年11月19日、日本政府がマイナポイント制度の導入時期と予算規模を固めたことが一斉に報道されました。
- マイナポイント制度の導入時期は、2020年9月と報道されています。
- ポイント還元額は、上限2万円の25%、1人当たり最大5000円をポイント還元すると報道されています。
- 現時点では、最大5000円がポイント還元される期間は、2020年9月~2021年3月までの7か月間となる見込みです。
- マイナポイントの発案から制度実現までには、5年程度は要している模様です。
今回、改めてマイナポイント制度が導入されるまでの意思決定の過程を調べてみたのですが、正直なところ簡単には全容が掴めませんでした。
一定の情報公開は行われていると思いますが、課題も感じたのですよね…。
- 発案者(機関)と発案の趣旨
- 制度設計者(機関)と制度設計の趣旨
- 必要な予算規模と期待される効果
- 最終的な決定者は誰か
- 当該施策の成否判断
最終的には、この一連の流れを検証する必要があると思いますが、現時点でも①~④までは国民に分かりやすく公開されるべきなのではないかと思います。
マスコミも、正直この機能を果たすことができていないように感じられました。
各社とも、『25%・5000円』ということは大きく報道しているのですけれど、細部が非常に曖昧な報道になっているという印象を受けました。
日本における意思決定の流れについて、改めて見つめてみたいと思います。