最近、寒い日が続いていますね。首都圏でも雪が降る日が増えてきました。
気温が下がると注意したいのがスマホのバッテリーです。
スマホのバッテリーに使用されているリチウムイオン電池は寒さに弱く、最悪故障を招くことも…。
スマホのバッテリーは寒さに弱いこと、リチウムイオン電池の弱点と対策について解説します♪
リチウムイオン電池の特徴と歴史
スマホとかノートパソコンのバッテリー持続時間は、ひと昔前に比べると、かなり長くなっています。
長時間駆動できるバッテリーに貢献しているのが、軽量で高出力なリチウムイオン電池!
リチウムイオン電池の特徴と、歴史を見てみましょう。
リチウムイオン電池の特徴
正式名称 | リチウムイオンリチウムイオン |
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重量エネルギー密度 | 100–243 Wh/kg程度 |
体積エネルギー密度 | 250–676 Wh/L程度 |
出力荷重比 | ~250–340 W/kg程度 |
充電/放電効率 | 80%–90%程度 |
リチウムイオン電池の正式名称は、リチウムイオン二次電池。放電のみの電池を一次電池と呼ぶのに対して、充電も可能な電池を二次電池と呼びます。
この記事では一般的な呼び方に従って、充電可能なものを「リチウムイオン電池」と呼びますね。
リチウムイオン電池の定義は、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行うということです。
一般的には、正極にコバルト酸リチウムが使用され、Li-ion電池、LiB、LIBなどとも表記されます。
リチウムイオン電池の特徴は、エネルギー密度・動作電圧が高い一方で、自然放電は少なくて済み、メモリー効果が無いということ。
簡単にまとめると、軽量で高出力の電池を実現できるということですね!
スマートフォンをはじめノートパソコンなど、現在の電子機器の多くで、リチウムイオン電池がバッテリーとして用いられています。
図表データ等出典:Wikipedia『リチウムイオン二次電池』より
リチウムイオン電池の歴史
1960年代 | リチウムを電池に適用するアイデア創出 |
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1970年代 | 主に大学の研究室での基礎研究が続く |
1980年代 | 企業による実用化研究が続く |
1986年 | LIBのプロトタイプが試験生産 |
1991年 | ソニー・エナジー・テックによりリチウムイオン電池を商品化 |
リチウムイオン電池が世界で初めて商品化されたのは、1991年、ソニー・エナジー・テックによるものです。
リチウムイオン二次電池という名前も、ソニー・エナジー・デバイスによって命名されたものなんです!
軽量で高出力の電池を実現することができるという特徴から、主にモバイル電子機器、スマートフォン用として2000年代に急速に普及。
リチウムイオン電池は、日本メーカーのシェアが高く、9割以上を占めた時代もありましたが、電子機器生産の進展とともに、中国・韓国が主要な生産地に移行。
現在ではハイブリッド自動車用の需要が増えてきていて、日本メーカーの投資額が再び増加してきています。
リチウムイオン電池の主要な原材料、リチウムは希少金属、いわゆるレアメタルに分類されるもので、日本は全て海外からの輸入に頼っている状況。
リチウムの可採埋蔵量は南米のアンデス山脈沿いに多いと推測され、実際、チリやアルゼンチンはリチウムの主要生産国となっています。
日本・チリ経済連携協定(EPA)が2007年9月3日に発効していますが、リチウムをはじめ、天然資源の安定供給も目的の一つとされています。
リチウムイオン電池は暑さ・寒さに弱い
2月に入って、首都圏でもとくに寒い日が続いていますよね。ここ数日は、連日、雪も降ってきて生活に大きな支障が出ている地域もあるでしょう。
寒くなると注意したいのがスマホのバッテリー!
現在、スマートフォンのバッテリーに使われているリチウムイオン電池は、多くのメリットがある反面、暑さ・寒さには弱いという弱点があるんです。
iPhoneの適正使用温度は0℃~35℃
スマートフォンの代表的な存在、アイフォン(iPhone)の適正使用温度は0℃~35℃とされています。
apple.com のホームページでも、適正温度での使用を呼び掛けています。
Apple製デバイスは、広い周囲温度範囲で正しく動作するように設計されており、最適な範囲は16°C~22°Cです。バッテリー容量に回復不能な損傷を与える可能性があるため、35°Cを超える周囲温度にデバイスをさらさないことが特に重要です。損傷を受けた場合は、そのバッテリーが一回の充電でデバイスを駆動できる時間が通常よりも短くなります。周囲温度が高い場所でデバイスを充電すると、より深刻な損傷を与えることもあるので注意してください。推奨されるバッテリー温度を超えると、ソフトウェアが80%以上の充電を制限する場合もあります。また、高温な環境でのバッテリー保管でさえ、回復できないダメージをバッテリーに与える可能性があります。温度が非常に低い環境でデバイスを使用する場合もバッテリー駆動時間が短くなることがありますが、この状態は一時的なものです。バッテリーの温度が通常の動作範囲内に戻ると、パフォーマンスも通常の状態に戻ります。
(出典:apple.com『極端な周囲温度を避ける。』)
リチウムイオン電池は0℃以下に弱い
リチウムイオン電池は、極端に温度が高い状況や低い状況では、バッテリー内部の化学反応が遅くなり、結果としてバッテリーのもちが悪くなるという弱点があります。
リチウムイオン電池が採用されている機器の中でも、とくにスマートフォンに対する影響は深刻です。
ハイブリッド車のような自動車とか、工業用ドローンの場合は、リチウムイオン電池も比較的に大きなものが採用されています。発電量も大きいため、パフォーマンスは非常に低下しますが、バッテリーの性能を維持するだけの熱を発生させることができます。
その一方で、スマートフォンの場合は、搭載されているリチウムイオン電池も比較的に小さく、スマホ自体を温めるほどの電流を流すことができません。
このため、0℃以下など非常に寒い状態に長時間置かれると、十分な電力を供給できなくなってしまうんですね…。
スマートフォンの寒さ対策
apple.com のガイドラインを見ると、結局のところ人間にとって快適な温度がスマートフォンによってもベストだということが分かります。
降雪などで非常に寒い時には、次の点に気を付けましょう!
- スマホを長時間外気に晒さない
- できるだけ人肌の温もりが伝わるようにポケットなどに入れる
- カバンに入れて外気と直接触れるのを遮断するだけでも効果がある
万一、スマートフォンを長時間外気に晒してしまった場合は、急激に温めるのは危険です。
もし機器を凍らせてしまったような場合は、そのまま充電するのはNG!充電する前にゆっくりと室温に戻す必要があります。そうしないと、不慮の化学反応によって、バッテリーに回復不能な損傷を与えてしまう危険性があるんです。
温めるにしても、ホッカイロとか、ストーブ、ドライヤーなどの人為的な熱源は避けた方が無難です。急激な温度変化で、画面が割れたり、内部に水滴が出来てショートすることもあり得ます。
室温でゆっくりもとの状態に回復させるようにしましょう!
スマホのバッテリーは寒さに弱い!【リチウムイオン電池の弱点と対策】まとめ
リチウムイオン電池の特徴と、暑さ・寒さに弱いこと、スマートフォンの寒さ対策についてご紹介して来ましたが、いかがでしたか?
- リチウムイオン電池は、軽量で高出力という特徴があり、スマートフォンをはじめ多くの電子機器に採用されています。
- リチウムイオン電池は、近年では電子機器だけでなく、ハイブリッド車・電気自動車にも採用されています。
- リチウムイオン電池には、多くのメリットがある反面、暑さ・寒さには弱いという弱点もあります。
- とくにスマートフォンの場合は、機器を温めるほどの発電量が無いので、寒い時期に問題が発生しやすくなります。
- スマホを寒い外気に長時間晒して異常が生じてしまった場合には、室温でゆっくり通常の状態に戻してあげるようにしましょう!
雪とかでものすごく寒くなると、スマホのバッテリーが減ってきたところで、突然電源が落ちたりしてしまいます。
これはリチウムイオン電池が正常に動作しなくなってしまうために起こる現象なんですね。
寒い時には自分だけでなく、スマホの対策にも気を配り、冬を快適に乗り切りましょう♪