総務省の家計調査項目で、「グレープフルーツ」を「他の柑きつ類」に統合する案が示されたことが話題になっています。
統合の理由は、グレープフルーツの消費量がかなり減ってきているからなのですが…。
グレープフルーツの消費量が減っているのは、高血圧の薬との併用で副作用が出てしまうことが影響しているのでは?
…そんな指摘もあるんです。
グレープフルーツと高血圧の薬を一緒に摂ると、副作用がでる場合があることについて解説します!
グレープフルーツの消費量は激減しています
総務省が「家計調査2020年収支項目分類改定(案)」を示したのが、2019年1月23日。
このなかで、食品としては唯一、グレープフルーツについて言及されていたんです。
家計調査2020年収支項目分類改定(案)
総務省は、毎月「家計調査」を実施して、収支項目分類に従って分類・集計した結果を公表しています。
家計調査の収支項目分類は、家計消費の変化に対応するため、5年ごとに見直しを行っています。次の改定は、2020年なのですが…。
この2020年改定案の冒頭が、これまで独立していた「グレープフルーツ」の項目を無くす(統合)というものだったので、ちょっとした話題になっているんです!
グレープフルーツの消費量は10年間で6割減
総務省の家計調査「二人以上の世帯」での統計を見ると、確かにグレープフルーツの消費量は激減しています。
2007年は単発的に高い値なので除外するとして、2008年~2017年の10年間で、694円から283円へと、約6割減という大幅な減少です。
家計調査2020年収支項目分類改定(案)では、「グレープフルーツ」を「他の柑きつ類」に統合する理由として、「消費支出に占める構成比が継続的に低くなっているため」との指摘がありますが、データから見る限りはまったくその通りです…。
グレープフルーツの消費量は、どうしてここまで減少したのでしょうか?
グレープフルーツと高血圧の薬を一緒に摂ると副作用の可能性が
グレープフルーツの消費量が激減した理由として指摘されているのが、特に高血圧の薬と一緒に摂ると副作用を生じさせる可能性があることです。
この副作用についての認知が広まってきたために、グレープフルーツを買い控える人が増えてきたのではないか?と指摘されているんですね。
グレープフルーツと薬の相互作用
相互作用にかかわる主な薬物 | 代表的な薬物名 |
カルシウム拮抗薬 | フェロジピン(血管拡張剤) ニフェジピン(血管拡張剤) ニソルジピン(血管拡張剤) |
高脂血症治療薬 | アトルバスタチン(高脂血症用剤) シンバスタチン(高脂血症用剤) |
催眠鎮静薬 | トリアゾラム(催眠鎮静薬) |
精神神経薬 | カルバマゼピン(抗てんかん薬) |
グレープフルーツと薬の相互作用については、どのような仕組みで発生するのか、これまでの研究により明らかになっています。
グレープフルーツの果肉に含まれるフラノクマリン類という成分が、代謝酵素「シトクロムP450 3A4 (CYP3A4) 」の働きを阻害してしまうことが原因です。
グレープフルーツのフラノクマリン類によって薬物代謝も阻害されてしまうため、薬の分解・排出が遅れて、結果的に薬物の血中濃度が上昇してしまいます。
ごく単純に言うと、想定よりも、薬が効きすぎてしまうということですね。
高血圧の薬にはとくにその影響が大きいことが分かっていて、必要以上に血管が膨張した状態が持続してしまうことで、血圧が下がったり、頭痛、めまいなどの症状を引き起こすことがあるんです。
グレープフルーツの影響は3~4日持続するケースも
グレープフルーツと服用する薬が相互作用の影響を受ける時間は、薬によって異なりますが、長いものでは3~4日程度持続するものもあります。
体内で服用した薬の濃度が上がる状態が3~4日程度持続してしまう場合があるということですね。
このため、グレープフルーツと飲み合わせの悪い薬を服用している間は、グレープフルーツの同時摂取を避けるだけでは不十分で、グレープフルーツの摂取自体を禁止する必要があります。
グレープフルーツ同様に注意した方が良い柑橘類
グレープフルーツの他にも、「スイーティー、ざぼん(ぶんたん、ばんぺいゆ等)、だいだい」などにもフラノクマリン類が含まれており、グレープフルーツと同様の相互作用が起こる可能性があると指摘されています。
一方、「バレンシアオレンジ、レモン、かぼす、温州みかん、スイートオレンジジュース」などはフラノクマリン類をほとんど含まないため、相互作用の可能性は低いとされています。
総務省の家計調査項目からグレープフルーツが消える?まとめ
グレープフルーツの消費量が激減していることと、その背景を調べてみましたが、いかがでしたか?
- 総務省が「家計調査2020年収支項目分類改定(案)」でグレープフルーツを独立した統計対象から除外(統合)する案を示しました。
- その理由としては、グレープフルーツの消費支出が減り続けていることをあげています。
- 家計調査のデータを見ると、グレープフルーツの消費金額は10年間で約6割減、大幅に減少していることが分かります。
- グレープフルーツの消費が減っている背景として、特に高血圧の薬と一緒に摂ると副作用を生じさせる可能性があること、その認知が広まってきた影響が考えられます。
- 循環器の疾患(心臓・血管病)で薬を服用している場合には、グレープフルーツとの食べ合わせについては十分注意してください!
グレープフルーツはスーパーでいつも見かけている果物なので、ここまで消費量が減少しているということには驚きました…。
グレープフルーツの消費量減少の理由の一つとして、特定の薬との飲み合わせの問題が指摘されていることにも注意が必要ですね。
既にお薬を処方されている方は、主治医からお話があったものと思いますが、今回は参照先を多く設定していますので、ぜひそちらも参考になさってください!