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固定価格買取制度(FIT)の見直しは家計に朗報?【FIT終了で電気代は約1割安くなります】

固定価格買取制度(FIT)の見直し
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編集長より子
編集長より子
『お金節約.com』編集長「より子」です。

経済産業省が再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を終了する方針を示したことが話題になっています。

ところで、固定価格買取制度(FIT)とは、そもそも何なのでしょうか?

制度が終了するからには、問題点も少なくなかったわけですよね…。

固定価格買取制度(FIT)が導入された目的と、問題点について解説します!

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)とは

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)とは、再生可能エネルギーの価格競争力を人為的につくり出すための仕組みのこと。

具体的には、電力事業者が再生可能エネルギーを買い取る価格について、割高な価格に固定することを義務化して、再生可能エネルギー事業への新規参入を促す制度です。

再生可能エネルギーの普及政策として世界中で実施

エネルギー区分 将来性 現在のコスト 政府の価格介入
再生可能エネルギー 豊富 高い 必要(FITなど)
石油等従来型エネルギー 乏しい 安い とくに不要

(実際には従来型エネルギーにも法規制は存在)

地球温暖化への対策とか、エネルギー資源の埋蔵量問題を考えると、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーにいずれはシフトしたい。

世界中で多くの人がそう考えているのですけれど…。

エネルギー産業は典型的な資本投下型の産業なので、規模のメリットが大きく効果を発揮します。石油等を燃料とする火力発電など従来型エネルギーは、既に広く普及していて、価格的な優位性を確立している状態ですよね。

提供されるエネルギーとは「電気」のことで、電気自体には何も太と差別化できる要素を持たせることはできませんから、市場経済に任せたままで、何も政策的な支援を行わなければ、再生可能エネルギーが普及することは永遠に無いことになってしまいます。

となると、政府が介入して、固定価格買取制度(FIT)によって再生可能エネルギー産業の育成を行うことが必要では無いか。1990年代から、世界各国でそう考えられるようになり、現在では再生可能エネルギー産業を育成するための標準的な政策になっています。

日本の再生可能エネルギーの利用促進のための法整備

2003年(平成15年)施行 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法
(略称:新エネルギー利用特別措置法)
2012年(平成24年)施行 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法
(略称:再生可能エネルギー特別措置法)

日本の再生可能エネルギーの利用促進のための法整備は、2段階で進みました。

2003年(平成15年)施行の新エネルギー利用特別措置法では、電気事業者に、販売電力量に応じて一定の割合で再生可能エネルギーを含む新エネルギーの利用を義務化。

義務の履行方法として、他の事業者から新エネルギーを購入することも可能とし、各電力会社が新エネルギー(再生可能エネルギー)を購入する流れを整備し始めることになります。

そして、2012年(平成24年)施行の再生可能エネルギー特別措置法で、対象を再生可能エネルギー全体に拡大して、全量買い取り(最大20年間)を義務化。

この段階で、世界各国で導入されている固定価格買取制度(FIT)が、日本でも本格的にスタートすることになりました。

固定価格買取制度(FIT)のメリットとデメリット

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)は、市場メカニズムに人為的に介入するということですから、当然、メリットとデメリットがあります。

導入時にはメリットの方を比較的過大に評価していて、時間が経過するにつ入れてデメリットも明らかになってくるという、良くあるパターンではあるのですが…。

固定価格買取制度(FIT)のメリット

固定価格買取制度(FIT)導入のメリットとしては、とにかくも、再生可能エネルギーの発電量が増加したことです。

日本の発電電力量の構成比を見ると、2011年度には水力を除く再生可能エネルギーの占める比率が2.7%だったのに対して、2017年度には8.1%となり約3倍に増加しています。

増加した再生可能エネルギーの内訳を見ると、圧倒的に太陽光発電が占める割合が高いことが分かります。

固定価格買取制度(FIT)導入により、新たに運転を開始した設備容量の約94%、実際にFIT認定された容量の約81%を太陽光発電が占める状況。

固定価格買取制度(FIT)の導入によって太陽光発電が急増!

ひとことでまとめると、固定価格買取制度(FIT)のもたらした効果は、日本中に太陽光発電設備が建設されたことと言って良いでしょう。

固定価格買取制度(FIT)のデメリット

固定価格買取制度(FIT)のデメリット電気代の約10%を「再エネ発電賦課金」が占める状況!

消費者目線で見ると、固定価格買取制度(FIT)導入の最大のデメリットは、電気代が約1割上がったことです。

電力会社の料金設定は、総括原価方式を採用しています。とくに不正などが無ければ、事業に必要となった費用をそのまま料金に転嫁することが認められているんです。

つまり、固定価格買取制度(FIT)導入によるコスト増は、そのまま利用者に請求されているわけです…。

日本の家庭や企業が負担する金額は、今年度は総額2.4兆円、標準的な家庭の場合で年間の負担額が9200円程度に膨らむ見通しです。

これだけ電気代の負担が増えてしまうと、他の出費を抑えることになり、回りまわって経済全体が停滞してしまいますよね…。

さすがに負担が大き過ぎるということで、固定価格買取制度(FIT)は終了する方向で検討されているんですね。

固定価格買取制度(FIT)の見直しは家計に朗報?まとめ

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)見直しの動きについてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?

今回紹介したこと
  • 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)は、再生可能エネルギーの普及政策として実施されています。
  • 2012年(平成24年)施行の再生可能エネルギー特別措置法で、固定価格買取制度(FIT)が運用開始。
  • 固定価格買取制度(FIT)のもとで、発電電力量の構成比は、再生可能エネルギーの占める割合が約3倍に増加。増加した再生可能エネルギーの8割以上を太陽光発電が占めています。
  • 固定価格買取制度(FIT)の運用にかかる費用は、電気料金に含めて請求されていて、電気代の約10%を占める状況。
  • 負担が大き過ぎることが懸念され、固定価格買取制度(FIT)は終了する方向で検討されています。

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)は基本的に終了する方向で検討されていて、他の代替策などについての議論が進んでいます。

代替策を講じるコストも発生するはずですが、今回の見直し議論は「電気代が高くなり過ぎてしまった」ことから始まっていますので、新施策の費用を、単純に電気代に転嫁するという方向性にはならない可能性が高いです。

家庭で負担している電気代は安くなる可能性が高いということですから、家計にとっては朗報と言って良いと思います!

問題はこれからの代替策の議論がどのように進むかですよね…。『お金節約.com』編集部でも、再生可能エネルギーの利用促進策については引き続き追って行きます。

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