憲政記念館は国会議事堂に隣接した、日本の議会政治の歴史が学べる展示施設です。
じつは体験型の設備がかなり多いのが特徴!
お子さんがあまりに幼い場合は難しいかも知れませんが、小学生ぐらいからなら家族全員で楽しめるスポットです。
5月3日の憲法記念日に合わせて行ってみるのもおすすめです!
今回は、憲政記念館の訪問体験レポートです♪
憲政記念館は衆議院が運営する展示館
憲政記念館は、日本の議会政治に関する展示施設。
国会議事堂のすぐ隣にあり、記念館の運営は衆議院事務局の管轄となっています。
まずは憲政記念館の基本情報を確認して見ましょう!
憲政記念館の基本情報(アクセスと地図)
施設名 | 憲政記念館 |
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住所 | 〒100-0014 東京都千代田区永田町一丁目1番1号 |
入館料 | 無料 |
開館時 | 9:30~17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 毎月の末日及び12月28日から翌年1月4日 |
ホームページ | 憲政記念館 |
憲政記念館には、一般用の駐車場はありません。国会議事堂の隣接地でもありますので、基本的に地下鉄など公共の交通機関で行くことを第一に考えると良いです。
憲政記念館への交通案内
- 東京メトロ 丸ノ内線・千代田線「国会議事堂前駅」下車2番出口から徒歩7分
- 東京メトロ 有楽町線・半蔵門線・南北線「永田町駅」下車2番出口から徒歩5分
- 都バス 橋63系統「国会議事堂前」下車 徒歩3分
大きな位置関係としては、国会議事堂のほぼ対面にあるということを認識しておくと良いです。国会議事堂は非常に目立つ建物なので、初めて行く場合もそれほど迷うことは無いと思います。
憲政記念館の受付は「尾崎行雄」銅像が目印
憲政記念館は、一般来客用の受付(入口)はちょっとだけ分かり難いです。普通に建物の入口と思われる場所が、職員用の入口になっているんですよね…。
一般来客用の入口は、「尾崎行雄」銅像(写真緑丸)を目印に進み、向かって左手が入口になります。
憲政記念館は大人から子供まで楽しめる施設
1960年(昭和35年) | 尾崎記念会館が建てられ憲政記念館の母体となる |
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1970年(昭和45年) | 日本の議会政治80周年を記念して設立 |
1972年(昭和47年) | 憲政記念館が開館 |
憲政記念館は、国会の組織や運営などを、資料や映像によってわかりやすく紹介することを目的として設立された展示館です。
国会のさまざまな仕組みを体験できる展示も多く、大人から子供まで楽しめる施設です。
幼い子供だと理解が難しいかも知れませんが、小学校3~4年生ぐらいからなら、十分楽しみながら学習できる施設になっていると思います。
憲政記念館は2フロア構成で見学所要時間は1時間強
2階 | 映像上映と基本展示 |
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1階 | 体験型展示施設(ミニ国会はここ) |
憲政記念館は、2フロア構成になっています。
順路としては、まず2階で映像上映とか基本展示を見学した後に、1階に降りて体験型の展示施設を見ていく流れとなります。
見学にかかる所要時間は、映像をある程度ちゃんと見る前提で考えると、1時間ちょっとはかかると考えておくと良いと思います。
もちろん1階にあるミニ国会で記念撮影だけするとか、そういう利用方法なら数分で済みますし、逆に全資料をしっかり閲覧すれば半日ぐらいはかかってしまいます。汗
【豆知識】憲政記念館は都心観光の拠点にも最適
憲政記念館は、比較的空いています。国会議事堂を見学する観光客が団体で入るタイミングはあると思いますが、常時大混雑というわけではまったくありません。
その一方で、休憩用のソファーとかトイレ、公園施設など、設備は非常に充実しています。コインロッカーもありますし、喫煙室も完備しています。
入場料は無料で、入館に際してのボディチェックも無く、出入りもし易いので、霞が関の官庁街見学とか、国会議事堂周辺の都心観光の拠点に使うのも便利な使い方だと思います!
永田町・霞が関近辺は、コンビニも多くが庁舎内店舗で、路面店がほとんどありません。一休みできる場所が少ないので、その意味でも憲政記念館はおすすめです!
憲政記念館の主な展示内容(受付~第一展示室)
ここからは、憲政記念館の主な展示内容を写真中心にご紹介します。
基本的に順路に沿って、まず2階を見学してから1階に降りる流れで見て行きましょう!
憲政記念館の受付
憲政記念館に入ると、まず最初に受付が見えてきます。
受付では特に何か記帳するようなことは無く、手間はかかりません。リーフレットがもらえるので、これは受け取っておくと便利です。
受付の近くにはガラス張りの喫煙所も設置しています。千代田区は路上喫煙が全面的に禁止されていますし、永田町・霞が関近辺は警備の警察官も多いので、路上喫煙は事実上不可能です。憲政記念館は、喫煙者の人にも有難い施設になっていますね。
受付を過ぎると、憲政記念館の来館記念フォトフレームも設置してあります。
家族で行ったら、記念写真を撮っておきたいスポットですね!
憲政記念館の2階が『第一展示室』
憲政記念館は、順路としてはまず2階から見学、その後に1階に降りるかたちです。
- 2階が第一展示室「日本の議会政治の歴史を解説」
- 1階が第二展示室「国会の仕組みを解説」
大きくこのような役割分担になっています。
憲政史シアター
一番最初の展示施設、憲政史シアターでは「憲政史の歩み」という映像解説が上映されています。上映時間は約22分です。
幕末から今日に至るまでの憲政史に関する主な出来事を、映像で学ぶことができます。
【必見】平成おじさん写真撮影スポット
憲政史シアターを出るとすぐ、平成の元号発表時の様子を再現できるスポットがあります。
小渕恵三官房長官(当時)は、平成への改元に際して「平成」という文字が書かれたプレートを掲げて発表、「平成おじさん」として時の人になりましたね。
それが再現できるスポットが設置されているんです!
憲政史映像選択コーナー
次が、憲政史映像選択コーナーです。
3台のパソコンで映像を選択して見ることができますが、タイトルは次の通りです。
- 国会のすすめ
- 憲政の歩み
- 憲政のあけぼの
- 帝国議会の歩み
- 新しい国会の歩み
- 婦人参政への道
- 議事堂ものがたり
- 憲政擁護運動から普選の実施まで
- 昭和の開幕から新国会の誕生まで
憲政の歩みコーナー・壁面コーナー
さらに進むと、憲政の歩みコーナー・壁面コーナーが見えてきます。
フロア中央部が憲政の歩みコーナーで、幕末期から現代までの関係資料・写真などが展示されています。展示面積で言うと、2階『第一展示室』のメイン展示はこれですね。
このコーナーは、多くが撮影禁止になっています。(資料毎に、撮影禁止のものには注意書きがあり一目で分かるようになっています)
壁際には、壁面コーナーとして、平成の国会の流れを年表形式でまとめた企画展示が行われています。
平成各年度の年表があるのですが…。そう、平成元年は竹下内閣で始まったのでしたね。
平成2年の党首寄書も展示されています。
日本共産党の不破哲三委員長だけ、マジックペン書き!
そして平成最後の年表が綴られている途中の、平成31年の年表。
平成30年4月1日には、新元号「令和」の発表がありましたね。新元号パネルもさっそく展示されています!
【必見】令和プレート写真撮影スポット
憲政記念館のなかは、基本的に自由に写真撮影が可能です。
新聞社とか出版社から提供を受けた一部展示資料については写真撮影不可ですが、一つひとつ明記してありますので、判断を誤ることは無いかと思います。
新元号「令和」プレートの前で写真撮影することもできます!
この場所はとくに写真撮影スポットとして何かの仕掛けが用意されているわけでは無いのですが、希望者が多いだろう、という意味で写真撮影スポットとしてご紹介しますね。
映像検索コーナー
メインフロアを過ぎると、映像検索コーナーがあります。3台のパソコンで、日本の憲政史に関わる項目を検索して、政治家の肉声を聞いたり略歴を見たりなどができます。
検索可能な項目は次の通りです。
- 憲政史上の人々
- 歴代の衆議院議長
- 歴代の内閣総理大臣
- 錦絵紹介
立体ビジョンコーナー
2階「第一展示室」の最後は立体ビジョンコーナーです。
帝国議会第1次仮議事堂に初登院する議員たちの様子とか、はじめての議会での出来事を立体映像で見ることができます。上映時間は約10分。
立体映像というのは、ミニチュア模型というかジオラマ風の背景がいくつか用意されていて、そこに立体映像が投影されるかたちです。
ジオラマ舞台はかなり作り込まれていて、模型好きの人とかは楽しめると思います!
憲政記念館の主な展示内容(第二展示室)
1階に降りてくると、第二展示室の前には日本国憲法の全文が掲示されています。
この先が「議場体験コーナー」、第二展示室のメインスポットです!
【必見】議場体験コーナー
憲政記念館の1階(第二展示室)は、憲政記念館全体のクライマックスと言っても良い、議場体験コーナーです。
議員席に座って記念撮影するもヨシ、演壇に登壇して記念撮影するもヨシ、家族の記念になること間違いナシです!
衆議院議場の演壇が、4分の3サイズで再現されています。4分の3でもそれなりの大きさはありますね!
演壇では、総理大臣の所信表明演説を再生することができます。
- この位置に再生ボタンがあり、それを押すと
- ここが開いて映像と音声が再生されます!
ボタンを押すと総理大臣演説がスタートします!実際に再生される総理大臣演説の録音データはこちらです!再生時間は約3分。
今回の訪問時には、2019年(平成31年)1月28日に行われた、第198回通常国会の総理大臣施政方針演説の、冒頭と最後の部分を抜粋編集したものになっていました。
議場体験コーナー内の展示物など
写真向かって左の「振鈴」は、議長席にある振鈴とほぼ同型のもの、また衆議院議長用の水差しとグラスも展示されています。
これが衆議院の各投票用紙です。内閣総理大臣指名投票用紙は赤字で印刷されているんですね!
議長・副議長の選挙、内閣総理大臣の指名の際には、こうした投票箱に先ほどの投票用紙を投じるわけですね!
賛成する場合は白票(写真向かって左の白い木札)を、反対する場合は青票(写真向かって右の青い木札)を投じます。
こちら、かなり濃い青色に見えますが、実際の展示物がそうなっているんです…。
記名投票の際に、投じられた木札を積み上げて集計表示する計量器です。
数字が刻まれていることが分かりますね!
白票と青票は各議員席にも、このようなかたちで置かれています。
議場体験コーナー外の展示物など
議場体験コーナーを出ると、議員記章のデザインの移り変わりが展示されています。
いわゆる「議員バッジ」が、かつての貴族院議員記章から、現在の衆議院・参議院記章まで、どのように変化して行ったのかが分かります。
ここでは電話を取ると、歴代の名物総理の音声を聞くことができます。
吉田茂元首相をはじめ、錚々たる面々が並んでいますが、いつか安倍首相もここに登場するのでしょうか!?
1988年(昭和63年)3月まで実際に使われていた、衆議院の議員登院表示盤が展示してあります。登院した際に、自分の名札を「赤地」から「黒地」に裏返していたとのこと。
- 黒地:出席
- 赤地:欠席
….ということで、国会議員の出席簿のようなものですね。
現在ではタッチパネル方式に切り替わっているため、旧表示盤がこうやって参考展示物になっています。
国会の速記(衆議院)コーナー
さらに衆議院速記者養成所の資料も展示されています。
衆議院速記者養成所は1918年(大正7年)創立、国会での発言はすべて速記によって記録されています。
速記符号の一覧表が展示してあるのですが、これを読み書きするには、確かに相当の専門技術が必要だということが分かります…。
国会の仕組コーナー
国会の仕組コーナーでは、5台のパソコンで、国会の仕組みなどをわかりやすく解説。
クイズ形式で国会の知識を問うなど、お子さんでも楽しみながら学習できるスペースです。
情報検索コーナー
情報検索コーナーでは、6台のパソコンで、国会関係のホームページとか衆参両院の審議中継などを見ることができます。(訪問時は2台が調整中でした)
衆議院刊行物展示コーナー
ここまでくると、いよいよ最後。
出口付近では、書類関係、刊行物の展示閲覧スペースが設けられています。
最後に記念スタンプもぜひ押しておきましょう!
入館時に頂けるリーフレットに、記念スタンプを押すところが用意されています!
尾崎メモリアルホール
憲政記念館は、「議会政治の父」と呼ばれた尾崎行雄を記念する「尾崎記念会館」が母体となりました。
現在も、「尾崎メモリアルホール」として一室用意されていて、尾崎行雄の生涯を紹介する展示が行われています。
憲政記念館内のレストラン「霞ガーデン」
憲政記念館は、レストラン「霞ガーデン」が併設されています。
今回の訪問時は定休日だったのですが、基本情報・メニューなどは参考情報として掲載しておきますね!
レストラン「霞ガーデン」の基本情報
店舗名 | 霞ガーデン |
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営業時間 | 10:00~17:00 |
ランチタイム | 11:00~14:00 |
定休日 | 土・日・祝(但し憲政記念館の特別展開催期間中は営業) |
ホームページ | 尾崎行雄記念財団「霞ガーデン」 |
永田町・霞が関界隈は、コンビニの路面店を見つけるのも難しい状況ですから、憲政記念館にレストランが併設されているのは嬉しいところですね!
注意点としては、原則として、土・日・祝は定休日となること。但し、憲政記念館の特別展開催期間中は土・日・祝でも営業するというかたちです。
レストラン「霞ガーデン」のメニュー(写真のみ)
ここからは入口に貼り出されていたメニュー写真を掲載しておきます。
立地を考えると、かなりリーズナブルなお値段になっていると思います。
「霞ガーデン」でランチを食べられなかったのは残念でしたが、次回は必ずレストラン営業日に来ようと思います!
尾崎行雄像に見送られつつ、憲政記念館を後に…。
国会前庭(北庭)の時計塔と日本水準原点標庫
憲政記念館のすぐ目の前には、国会前庭(北地区)が広がっています。
誰でも公園と同じように、休憩などに利用できます。
国会前庭(北地区)の見所は2つ、時計塔と日本水準原点標庫です。
時計塔の三面塔星型は「立法・行政・司法」三権分立の象徴
憲政記念館を出て、国会議事堂を右手に見ながら進むとすぐに時計塔が見えてきます。
1960年7月に完成した三面塔星型の塔ですが、単純に言うと、3つの頂点を持つ星形の断面をした時計塔です。
3つの頂点には、立法・行政・司法の三権分立を象徴するという意味が込められています。
塔の高さは31.5m、近くで見るとかなり高く感じます。
努力の上にさらに努力して向上するという意味の、「百尺竿頭一歩を進む(百尺の竿の先に達しているけれど、なおその上に一歩を進もうとすること)」という諺から、百尺(30.3m)よりも高い31.5mに設定したのだそうです!
一日4回、10時・13時・17時・22時にチャイムが鳴るのですが、時に5km先にも聞こえることがあるほどの大音量。前庭で昼寝していても起きてしまいそうですね…。
日本水準原点標庫には日本水準原点を収納
さらに前庭を進むと、石造りの日本水準原点標庫が見えてきます。
ごく小さな建物ですが、ローマ風神殿建築に倣った本格的な建築物。確かにパルテノン神殿とか、そういう名残を感じますね!
明治期の数少ない近代洋風建築として建築史上貴重なもので、東京都指定有形文化財(建造物)に指定されています。
日本水準原点標庫のなかには、日本水準原点が収められています。
日本水準原点は、日本の水準測量の基準点。
地盤沈下の影響を避けることができる古くからの台地上にあり、地下10m以上の深い場所から標庫の基礎を築くことで、原点の高さに狂いが生じる心配を極力排除しています。
とはいえ、大地震の影響はやはり受けてしまうわけで…。
日本水準原点の東京湾平均海面(Tokyo Peil:略称T.P.)からの標高は、2011年10月21日に改定されていて、それ以降は24.3900mに設定されています。
これは、2011年3月11日の東日本大震災で、日本水準原点が24mm沈下したため、補正する必要に迫られて改定されたものです。
東日本大震災は測量にも影響を与えるほどの巨大地震だったのですね。
憲政記念館は体験型施設としてもかなり面白い!まとめ
国会議事堂に隣接する憲政記念館の展示内容をお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
- 憲政記念館は国会議事堂に隣接した、日本の議会政治の歴史が学べる展示施設です。入場料が無料なのも嬉しい♪
- 体験型の展示も多く、子供が小学3~4年ぐらいからなら、家族全員で楽しめる場所になっていると思います。
- トイレやコインロッカー、自動販売機に喫煙室と一通りの設備が整っていて、公園施設もあるので安心して利用できます。
- 近隣にコンビニとか手軽に休める場所が少ないため、永田町・霞が関などの都心観光の拠点としても便利に使えます。
- 憲政記念館とつながっている国会前庭(北地区)も、時計塔と日本水準原点標庫は見ておきたいスポットです。
憲政記念館は、設備も充実していて展示内容も面白く、予想を遥かに超える面白い展示館でした!
その割に空いているので、都心のオアシス状態なんですよね…。
もうちょっと上手に広報すれば、都心観光の人気スポットに変身できるかも?
ゴールデンウィークを近場で済ませようとか、都心でゆっくりできる場所を探している人にも最適ではないかと思います。
平成から令和への移り変わりは、憲政記念館で満喫しましょう♪